Thee Michelle Gun Elephant /『Thee Greatest Hits』 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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森に行きたい。

暑くなると森林浴をしたくなるのはわたしだけではないだろう。

 

深呼吸をする。

 

森林浴の醍醐味だ。

緑の香りを胸いっぱいに吸い込む。

気持ちいいだろう。

東京に住んでいる時、高尾山や奥多摩、檜原村に行くことがあった。

 

森林浴だ。

 

身近な非日常に浮かれていた。

確か、奥多摩じゃなかっただろうか。森の中にうどん屋があり、そこで昼飯を食べるのを目標に足取り軽く登っていた。気持ち的にはスキップしたくなるくらいだ。そんな時に不運が訪れた。

 

足を挫いて転ける。

 

足下をよく見ていなかったのか、そこにあった石に蹴つまづき、足をグリんと捻って派手に転ける。

テンションが下がった。

あれだけ浮ついていたのにあまりの痛さにテンションが下がった。

あともう少しでうどん屋だ。何とかそこまでは辿り着いた。

 

行列だ。

 

それはそうだろう。もう少しでお昼時だ。せっかくここまで来たのだから並んででも食べたいじゃないか。

うどんを食べるということがモチベーションになったのか、少し心も前向きになった。

 

「なぁに、軽い捻挫だ。美味しいうどんを食べたら痛みも無くなるさ」

 

と、訳の分からない気持ちで行列に並ぶ。

1時間くらい並んだだろうか、やっと席に案内される。

 

少し嫌な予感がした。

 

店員さんの態度がいささか良くない。

まあ、これだけの行列だ。慌ただしくなっていちいちお客さんに丁寧な接客は出来ないものだ。

寛容だ。行列が嫌いなわたしでも、捻挫したわたしでもこれだけ客が並ぶうどんだ。ご機嫌になるに決まってるさ。

やっとうどんが来た。さぁ、実食だ。

さぞかしい美味いはずだ。

1口啜る。

 

目の前の妻と目が合う。

 

おそらく同じことを考えていた。

普通なのだ。いや、普通以下なのだ。

 

テンションが下がった。

 

そこから、ゴール地点まで妻と話したのは、

「残念だったね、うどん」

という会話だけだ。

しかし、ゴール地点の温泉という楽しみが待っている。

こうなったら、温泉しかない。

ゴールに着いた。

フロントに手続きしょうとおもって行ったら、「すいません、本日は貸切で」

 

目眩がした。

 

 

 

振り返ると、妻の表情も覇気がない。

そして、私に向かってボソッと言った。

 

「もう帰ろっか」

 

そこからの記憶が無い。

懐かしい思い出だ。

 

いつの間にか森に行きたくなくなっている。

 

そんなことを思い出した暑い昼下がりに聴いているのがこの一枚(二枚組だが)だ。

 

ミッシェル・ガン・エレファントの2009年にリリースされた日本コロムビア、ユニバーサルミュージックで出したシングルスを集めたベスト盤『Thee Greatest Hits』だ。

 

このベスト盤は、単なるベスト盤ではない。2009年に急逝したアベフトシへの追悼を込めたベスト盤でもある。それを裏付けるのが発売日。12月16日はアベの誕生日だ。

 

ミッシェルの代表曲を網羅している一枚だけあって聴きごたえがある。

まさにコンプリート版だ。

 

ミッシェルに興味のある人は、この一枚から入れば間違いない。

 

ミッシェルの曲のスタイルの幅の広さを感じる。

 

このCDはデジタル・リマスタリングされているので、『ギヤ・ブルーズ』で書いた録音レベルの問題も解消されている。

 

暑い書斎で、このベスト盤を聴いているとジワっと汗ばんでくるのが解る。

つい、リズムに合わせて身体を揺らしてしまうのだ。

 

改めて聴いて気づいたのが、初期の頃のチバが歌う歌詞は聴き取りやすい。

 

しかし、これだけ捨て曲が無いバンドも珍しい。

楽曲づくりがスタジオで何度もエチュードしながら、緻密に足したり削ったりしている証だ。

 

しかし、今日は暑い。

 

 

 

 

お陰様で人気の『ongaku キョウノイチマイ』のvol.11が発売されました。