二日前のコメント欄でも話題になっておりましたが、沖縄の豪腕と謳われた、元日本フェザー級上位ランカーにして、現日本スーパーバンタム級9位の宮城竜太選手が敵地イギリスに乗り込み、あのWBC世界スーパーバンタム級の西岡利晃選手と激闘を演じた好漢、レンドール・ムンローとの試合が決定したそうであります…
宮城選手と言えば、物凄いKO率を誇ったボクサーでありまして、あの元WBA世界スーパーバンタム級チャンピオンの李選手に初の黒星をなすりつけ、さらに、現日本フェザー級ランカーの鈴木徹選手の唯一の黒星も宮城選手がなすりつけたもの…
で、この両者のボクサーに通じるものといえば、それぞれ、「技巧派」と分類されるテクニシャンタイプのボクサーでありまして、つまり、その獰猛なる前進ラッシングによって、宮城選手は日本屈指の技巧を粉砕し続けてしまうプレッシャーの塊のようなボクサーであったわけですね…
そして、ビータイトトーナメントに出場してフェザー級優勝、無敗街道を驀進するも、しかし、後の日本チャンピオン、渡辺一久選手に初黒星を喫してしまう…
しかし、そこから奮起して元世界チャンピオンのヨーダムロン・シンワンチャーを撃破するも、国内ではタイトル挑戦のチャンスに恵まれず、フィリピンはマニラに乗り込んでかつての世界挑戦者でもあるジムレックス・ハカの持つWBOアジア太平洋スーパーフェザー級タイトルに挑戦、これ、疑惑の裁定的印象の残る試練の結果となってしまう…
1Rに2度のダウンを奪うも、続く2R偶然のバッティングが発生、あっさりと負傷引き分けという無念の内容に終わる…
が、このハカとはノンタイトルとはいえ、ダイレクトリマッチが実現、しかし、宮城選手が額をカットしてこれまた無念の1R負傷ドローという結果に終わる…
そして、この戦いの後、宮城選手に不遇の時代が訪れてしまう…
ジム移籍のまつわるトラブルに見舞われ、なかなかリングに上がれない苦悶の期間が2年弱…
しかし、執念の再起を遂げる、いきなりの東洋太平洋ランカーに挑むも、衝撃の1RTKO負け…
かつてのタフネスが影を潜め、まるで別人のような厳しい再出発となってしまう…
そして、続く再起2戦目は後の日本バンタム級チャンピオン安田選手との「再起戦対決」に挑むも、これも1RTKO負けに沈み、よもやの2連続1RTKO負けとなり、多くのファンや関係者が胸を痛めずにはいられなかった…
宮城選手最大の武器はエンドレスともいえるラッシング戦法と無尽蔵のスタミナ、そして、打たれても打たれても決して怯むことのない脅威のタフネスであっただけに、この結果は宮城選手を知るものにとっては非常に受け入れずらい結果となってしまったのだ…
安田選手に敗れたこの時点で、宮城選手の年齢は34歳、実に厳しい印象は否定できなかった…
こんな言い方は本当に失礼だとは思うのですが、敢えて申し上げれば、僕は宮城選手が幾多の激闘で背負ったダメージと、また、加齢による身体能力の後退を案じ、そして、このあまりにも残酷にして不動なる「時の流れ」という現実の前に愕然とするほかなかった…
あの、沖縄の頑強、屈強も、永遠不滅ではないのだ…
そう、幾多の名世界チャンピオンでさえも、ことごとく蓄積したダメージと加齢による身体能力の低下と戦い、そして、新勢力に屈せざるを得ない状況に追い込まれていったわけで、つまり、これは恥ずべきことでは全くなく、それを受け入れることも勇気がなければできないのではないか、そして、それも戦いの延長、つまり、プロボクサーという非常にリスキーな職業を選択した者の義務であるはず…と考えなずにいられない心境に陥ったのも事実であります…
しかし、宮城選手は淡々と戦い続けるのだ…
かつては無敗を誇り、KO街道を驀進、時に日本チャンピオンも恐れたであろう猛牛の如き輝かしい実績を投げ捨て、なりふり構わぬ貪欲なるボクサーとして再起に突き進むわけであります…
その胸中たるや、不穏や恐怖がなかったはずはない…
が、35歳を過ぎ、ボクサーの定年と言われる37歳を前に、さらに精力的なる殴り合いの世界に没頭してゆくわけでありました…
東洋ランカーマガレと後の日本チャンピオン安田選手に立て続けに1RTKOに屠られた後、その再起戦で1RTKO勝ちで復活の狼煙をあげると、なんと4連続TKO勝ちでかつての「豪腕復活」の印象を大きくアピールしたのだ…
しかし、その一方で、激しく打ち合うボクシングは若かりし頃と同じ戦術であったため、そのタフネスはかつての無尽蔵とは質が変わっている印象も拭えないのは正直な印象であった…
そして、KOによる4連勝を上げるも、宮城選手は2連敗を喫してしまう…
安本戦ではポイントで優位に立ちながら、しかし、持ち前の強気なる猛攻が裏目に出てしまい終盤逆転負け、その再起戦でタイ選手に1RTKO負け…
ぐぐぐっ…
さすがに厳しいか、どれだけ勇猛にして闘魂逞しくとも、しかし、定年目前の36歳もう限界ではないのか…?
が、不屈の沖縄の豪腕はまたリングに帰ってきたのだ…
そして、敵地名古屋に乗り込んで日本スーパーバンタム級6位の林翔太選手に挑んだんであります…
圧倒的不利予想が立つ…
無理もない、そのKO数は破格であるが、しかし、連続TKO負けの36歳、宮城選手を応援している僕がこんな言い方をするのは不本意でありますが、ズバリ申し上げれば、「名のある強豪」ではあるが、全盛期はかなり前に過ぎ去ってしまったボクサー…ということになり、非常に胸が痛い…が、これは事実でもあるのだ…
が、しかし、宮城選手は現日本ランカーの林選手相手にダウン応酬の末なんと判定勝ちを収めてしまうっ!!!
36歳定年ギリギリのボクサーの、その延々たる執念の前進に若い日本ランカーが判定に屈したのだ…
さて、そして、衝撃のニュースがボクシングマニアの間で飛び交うことになった…
現WBC世界スーパーバンタム級10位、かつて、WBCの指名挑戦権を得、日本の切り札、西岡利晃選手に挑みんだレンドール・ムンローの対戦相手として海を渡り、なんと宮城選手が敵地イギリスの地へ乗り込むという…
厳しい戦前予想は免れない…
が、そんなことは分かりきったことである。
ここは確実に日本や東洋太平洋へ挑むべき、と言う声もあろうし、しかし、その定年まで半年を切った宮城選手に残された時間とチャンスを考えたらノンタイトルであろうとも、世界ランク獲得のために海を渡るべき、という声もあろう…
さまざまな意見もあろうが、しかし、この一戦は「決定」したのだ…
宮城選手は、そのボクサー生命の全てを賭して、その青春の全てを賭して、海を渡ると決断したのだ…
思えば、宮城選手は、もうさすがに厳しいだろう、もうさすがに限界だろう…という窮地や結果を、幾度も幾度も跳ね返してきたではないか…?
今回の敵地遠征でありますが、果たしてどんな結果が待っているのでありましょうか…?
思えば、かつて沖縄のジム所属時代に同門であった、沖縄出身の名ボクサー、あの仲里繁さんの、フランスの地へ乗り込んでのWBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、マヤル・モンシュプール戦を思い出さずにはいられない…
激闘必至…
奇蹟の世界ランク獲得を祈る!!!
ってことで、いつかの豪腕炸裂、敵地フィリピンの地で行われたWBOアジア太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチを貼っておきます…
Jimrex Jaca vs Ryu Miyagi WBOアジア太平洋タイトルマッチ YOUTUBE
その、「蛇のように伸びる右ストレート」をお楽しみいただき、36歳のボクサーの奇蹟成就の応援お願いします!!
御愛読感謝
つづく