…さて、このニュースにはすでに幾つかコメントを頂いております…
亀田一家の傍若無人に端を発し、『世界』の権威が損なわれた印象も拭えず、また、相次ぐ日本人の世界挑戦失敗・惨敗を受けて議論が盛り上がっている『世界挑戦資格問題』とちょっと交わらざるを得ないこの敵地挑戦決定…
また、初めにお断りさせていただきますが、国重選手本人には非が無い…
本人は32歳のベテランボクサーでその実力で世界ランクを得たわけで、世界チャンピオンから指名を受け、それに応え、また、世界王座を奪うために戦うことが全てである…
これはボクシング界がどのような『世界』を望むのか…、また、ボクシングファンがどのような『世界』ならば認められるか…という議論であります。
では、国重選手の前の戦い、チャンピオンカーニバルにおける、日本チャンピオン・嘉陽選手と戦った時の記事を再収録してみますか…
2008 2 11 日本ライトフライ級タイトルマッチ
チャンピオン・嘉陽宗嗣×挑戦者・国重隆
テレビ観戦しました…
1R サウスポー同士の戦い。その立ち上がり、スピーディーな嘉陽が試合の主導権を握るかに見えた。積極性とアグレッシブでチャンピオン・嘉陽の10-9
2R ベテランの31歳、世界ランク10位の国重、老獪にクリンチを多用、嘉陽の攻撃を寸断、積極性で嘉陽を採りたくなったが、しかし、クリーンヒットがあまり両者見られない… 互角の10-10
3R 国重、リーチの長さを生かした右リードが嘉陽を捕らえる場面が多い。嘉陽、大きなフックを振るうも空転…。国重の左が嘉陽の顔面を捕らえる。さらに、嘉陽の出入りを封じるクリンチ… ここは国重10-9
4R 嘉陽、本当に戦い辛そうだ。国重の右は射程距離も長く、真っ直ぐにもフックにもなって、さらに力強い。嘉陽、手数も少ないか… 国重10-9
5R 嘉陽、流れを変えたい。積極的に動くも、国重の老獪なボクシングに思うように戦えない様子。開始間もなく
両者の頭が交錯、嘉陽、右目上をカット、再会するも再びドクターチェック…
続行不可能の裁定…
負傷判定勝負…
あらぁ…!? 5Rも採点しなくちゃいかん… って、これ、国重の10-9…
HIGEGE91のテレビ採点… 49-47で挑戦者・国重隆選手の勝ち!?
うわぁ、マジ…!?
公式の採点、49-49、48-48×2…
うぉ!?
負傷判定によるドロー!!!!
チャンピオン・嘉陽宗嗣選手のドロー防衛!!!
…くぅ、これはしかし、チャンピオンには分の悪いドローでしょう!?
僕には国重選手の老練な巧さと長い右リード、さらに左のクリーンヒットが印象に残る戦いとなりました…
嘉陽選手、これにきっちり勝ってフライ級で世界挑戦…なんて話が一人歩きしてましたが、ライトフライでパワー負けしていてはそれはないでしょう…と言う内容に見えました…
厳しい現実であります…
負けと判定されてもおかしくないような出来の悪さでありました…
これはどう贔屓目に見ても、フライ級の世界挑戦はない… このままで挑戦者として認めたくない…
僕は嘉陽選手を応援しているし、贔屓もしていますが、これでは認められない…
辛いところだが、見てみぬ振りは出来ない…
むむむ…
逆に国重選手、なかなかいい意味で「いやらしく」「試合巧者」でありました… チャンピオンはまともに奇麗に受け止めすぎたか…
突き放してショート連打、腕を振り解いて速攻連打、思い切り踏み込んでマシンガン連打…
それが嘉陽選手のボクシングではないのか…?
これは大きな課題が残ったタイトルマッチとなりました…
国重選手とのリマッチを果たさないで、その先は見つめづらい試合でした…
…なんて内容でありましたが、これは国重選手に分の良い引き分けに僕は見えましたが、完勝とも言いがたい、まぁ、「勝者不在」が適当なタイトルマッチであった…とも言えそうでした。
で、国重選手、確か、中島健選手に勝って世界ランク入りしたのですよねぇ…?
地域タイトルは未獲得での世界挑戦…という意味が議論の的になりますが、『敵地挑戦』という圧倒的不利を承知で挑む以上、この部分は差し引いて認めたいのが僕の気持ち…
で、頂いているコメントを紹介しますか…
■国重選手のタイトル戦が決まりましたね。6月14日にメキシコシティでエドガル・ソーサに挑戦です。当人も驚いたということから、チャンピオンからオファーを受けたようですね。そのうちヒゲゲさんが話題にするでしょうけど、お決まりの記念挑戦と捉えるか、挑戦する資格は充分あるという議論が出そうです。チャンピオン陣営は、多分国重選手の18勝(2KO)2敗1分という戦績の2KOと、32歳という年齢的な部分を考慮し、残念ながら安全な相手としてオファーしたのだと思います。しかし5度目の防衛戦を行うチャンピオンに、敵地、それもメキシコシティと考えるだけで絶望的だと思ってしまいます。 ジェームス
■国重の世界戦が絶望的と言われるジェームスさんのご指摘はわかります。ソーサは百戦錬磨ですし標高22
40メートルですもんね。ただ、チャベスさんと同じで、困惑したソーサの姿が見れるかもしれないと思うと私もち
ょっぴり楽しみにしています。持ち味を存分に出し尽くして頑張って欲しいです。 楽都
■国重は一応一桁ランカーですし、2月の嘉陽との試合は負傷引き分けでも有利を指摘する声も多かったので
敵地挑戦というハンディを考えればまだ認められる挑戦だと思います。タイトル獲得歴が無い点は引っかかるか
も知れませんが・・・でもソーサをあのクリンチ地獄で翻弄するかも知れず正直言ってちょっと楽しみです。戎岡
は以前、ポンサクレックが王者の頃に指名されたものの挑戦認められなかったことがありましたがオーレイドン
の指名も同様のパターンの様な気がします。記念挑戦とは言いたくないですが・・・ チャベスのボディーブロー
…なんてコメントをすでに頂いておりました。
さてさて、ファンにとっても、業界内部にとっても、また、本人にとっても嫌な言葉があります…
記念挑戦…
嫌な言葉ですねぇ… しかし、思えば最近の日本人世界挑戦惨敗は多々あるのも事実…
WBAフェザー級のジョンに挑んだ武本選手、WBCスーパーフライ級のミハレスに挑んだ菊井選手、WBAスーパーフライ級のムニョスに挑んだ相澤選手、WBCミニマム級のイーグルに挑んだ八重樫選手…
その他にも世界戦はありましたが、言い方は失礼かもしれませんが惨敗ではなかったし、いわゆるファンをがっかりさせるには至らず…でしょうか?
※念のため僕の印象を書けば、相澤選手は次戦で河野選手と真っ向勝負をしたし、菊井選手は敗戦とはなったものの再起後日本バンタム級タイトルマッチに挑むハードマッチメイク、八重樫選手は顎を割られながらも最終ラウンドまで気合で頑張りましたし、武本選手はその再起後世界一桁ランカーと引き分けてます…ので、それぞれその後に繋がる敗戦であったと言えます… 従って、今後結果を残せればその評価も変わるでしょう…
上記4名のボクサーで無冠のままチャンピオンを呼び寄せて世界戦を戦った武本選手だけ。日本王座を獲得していたのは菊井選手、東洋太平洋王座を獲得していたのは八重樫選手と相澤選手…でした。
内容も含め、武本選手は確かに無謀と言われても仕方がない部分ありました…(現・東洋太平洋王者の榎選手に2度敗れていたし、彼を差し置いて挑戦を決めてしまった部分はファンはちょっと納得いきませんでした)
さて、では国重選手はどうか…?
皆さん、それぞれ、多くのご意見がありそうですが、『敵地挑戦』ならば応援したいかなぁ…
で、WBCスーパーフライ級王者のミハレスに挑んだ菊井選手のケースが一番国重選手に近い世界挑戦…
敵地でメキシコ開催…
酸素の薄い土地での戦い…
準備期間一ヶ月…
不安要素多数あります。こう言ってはなんですが、敵地での王座奪取の可能性は低い…と言われても仕方がない状況…
相手は18連勝中のV4達成のエドガル・ソーサ・・・
過去に亀田長男の対戦相手の候補になったことありましたね…
そう、ソーサがまだ世界下位ランカー時代で、対戦相手の候補として挙がったのに「中止」になって対戦相手変更になったことあります…
亀田一家、流石でした…
国重選手はサウスポーで腕も長く、非常に老獪な戦いをする選手であります。
嘉陽選手とは互角でした…
相手の良さを殺すボクシング、右リードが長く伸びるボクシング… 一説にはクリンチが多すぎるなんて評価もありますが、その『日本屈指の老獪』が本場メキシカン世界王者に通用するのか…!?
試合は一ヵ月後…
三十路ボクサー勝負の刻…はメキシコの地…
さて、皆様はどのようにお感じになりますか…?
御愛読感謝
つづく