テレビ等に露出する際は、常にコスプレ状態の為、私服姿だと多少"顔バレ"し難い。
そんな利点も、あるにはある。
反面、そのせいで、気まずい思いをすることも。
数年前。
ショッピングモールでの地方営業。
本番までの時間を持て余し、喫煙所で一服していた。
そこは、モールの従業員も出入りするスペースだったが、私服姿の僕に、誰も気付かない。
遠山の金さん、暴れん坊将軍…貴族。
しめしめである。
ほどなく、僕の隣に、二人組のおばちゃんが陣取り、雑談を始める。
「今日何か芸人来るでしょー?」
「ああ、あの"カンパーイ"のねー!」
「もっと、いま旬の人呼べばいいのにねー!」
「ほんとね―!!」
「アハハハハハ・・・・」
更にこの後、彼女らのお眼鏡にかなう有名人の人選が熱心に議論されていたが、あまりの気まずさに気が動転していた僕の記憶にはない。
針のムシロ…いや、針の布団に針の枕を加えた三点セット。
今なら、針のアイマスクもお付けしたい。
とにかく、地獄。
イヤホンで音楽を聴こうと、選曲した瞬間、ボリュームが最大になっていた…そんな突発的な衝撃に襲われた。
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