「不適切にもほどがある」が、終わりましたね。

 

 

本作品では、1995年の『阪神淡路大震災』が、ひとつのポイントになっており、小川市郎(阿部サダヲ)と純子(河合優実)親子も、その犠牲になるという設定

タイムマシンバスを使って、昭和と令和を行き来して、それを何とか回避できないかと期待していた視聴者も少なくなかったのでは。

 

そんななか、最終話で印象に残ったシーンを紹介します。

 

1986(昭和61年)年から2024年(令和6年)へタイムスリップしていた小川市郎が、昭和へ戻る前に、別れを告げに、義理の息子犬島ゆずる(古田新太)が入院する病院を訪れて語り合うシーン

 

ネット記事を見ると、二人はこのシーンで撮了したように伺える。

 

入院中のゆずるが、酸素吸入機を押しながら、市郎を見つけ嬉しそうに歩いてくる。

その両脇にはペットボトルのお茶を抱えている。

 

 

以下、二人の会話を再現したい。

 

 

市郎「どれか持とうか?」

 

ゆずる「あぁ いいんです 適度な運動が必要なんです」

 

市郎「ごめんね もう会えないと思って・・・」

 

ゆずる「お別れですか お義父さん・・・」

 

市郎「タイムマシン 最後の1回は渚っちのために使おうと思ってさ 最近元気ないでしょ」

 

 

    病院内のソファに並んで腰を下ろし、しばし沈黙が流れる。 

 そして、そのあと市郎が何か閃いたように話し出す。

 

 

市郎「もう・・・ 会えなくは・・ないね」

 

ゆずる「会えますね お義父さんは むしろこれから四年後です」

 

    ゆずるが結婚の許しを乞うために、市郎とはじめて顔を合わせるのは1986年の四年後、

 1990年(平成2年)

 

市郎「悪いけど 俺は二人の結婚許さないと思う」

 

ゆずる「ハイ 許さないでください」

 

市郎「いいのか? 渚っちが生まれてこないぞ」

 

ゆずる「ご心配なく ふふっ」(そのときすでに純子のお腹には、赤ちゃんがいた)

 

市郎「この野郎! ってことは そこで俺が体を張って二人を引き離せば・・」

 

ゆずる「大丈夫です お義父さんがいくら反対しても ゆずる 譲りませんから

    ゆずる 六本木の覇者ですから」

 

 

    ・・・・・・

 

 

市郎「やがて 渚っちが生まれ 俺と純子がこの世を去る」

 

ゆずる「ところが2024年 お義父さんがタイムマシンで 私の前に姿を現す」

 

市郎「色々あって 昭和に帰って四年後 おまえが俺に会いにくる」

 

市郎「俺は許さない」

 

ゆずる「許さないでください」

 

    ・・・・・・

 

市郎「渚っちが生まれ 俺と純子が死んで・・・」

 

ゆずる「2024年 お義父さんがタイムマシンで現れる」

 

市郎「昭和に帰って四年後・・・」

 

            ・・・・・・

 

            ・・・・・・

 

市郎「止めよう 吐きそうだぁ」

 

ゆずる「はぁい」

 

    二人並んでペットボトルの蓋を開け、お茶を飲む。    ゆずるは、終始笑顔

 

    ・・・・・・・・

 

と、いうシーン。

 

 

過去と未来が交錯する、何とも不思議なやり取りであった。

と同時に、大切な人を亡くし残された人にとっても、非常に印象に残ったことと思う。

 

 

宮藤官九郎(クドカン)は、言葉に出すと途端に宗教くさくなる、会者定離や輪廻転生といった、

どうにもならない世の常を、サラリと表現してくれるところが、気絶するほど悩ましい。

 

結局のところ、答えなんてあるはずもなく・・・。

 

”まわるまわるよ時代は回る”

中島みゆきが自身の辛い経験を、『時代』という作品に乗せて表現したように。

 

くよくよしないで 今日は今日の風に吹かれましょう。

 

これに尽きるのでしょうね。