腕を組んで 首斜めして 一人よがり考えた
誰にも言わない 約束もない
晴れることのない あの日の事
黙ったままの赤い空
すれ違う人も立ち止まる人も教えてはくれないだろう
優しく密かなさよならの仕方教えてはくれないだろう
不安を拭うことを一生出来ない恋なら
あたしは大きな声であなたにさよならを言おう
途方にくれて道に迷って暗い暗い闇の中でも
遠くに香る あなたのにおい
手探りで探した あの日のこと
この淡い日々よ腐るな
すれ違う人も立ち止まる人も慰めてくれないだろう
疑い始めたあたしの元には何も帰らないだろう
「どこにいてもあたしの事を忘れたりしないで」
この言葉を何よりもあなたに言いたかったわ
今日初めて旦那の病院に行って来た
書類手続きも いい加減済まさないといけないし
いつまでも現実逃避みたいなことしとくわけにもいかない
一つずつ 確実に未来へ進まないといけない
まぁとにかく至る所に施錠、施錠
スタッフ全員が腰に物凄い数の鍵をぶら下げて歩いている
その鍵のジャラジャラいう音がとても嫌だった
面会室も3種類あり
ガラス越しの部屋
個室
マン喫みたいに仕切りだけで数部屋あるところ
個室とガラス越しの所にはスタッフが付き添っていてくれる
私は個室を選んだ
ケースワーカーの男性スタッフが付き添ってくれた
約三週間ぶりの対面
すっかりアルコールは抜け少し痩せたようだった
「ありがとうな」
一言目だった
「ごめんな…大丈夫か?痩せたな…」
そう言いながら私を抱き寄せようとしたけど…私は離れた…
不覚にも涙を出してしまった
椅子に座り 沈黙が続いた
ただずっと私を見ている
せっかくだから話しなさいとケースワーカーさんに促され「俺は…」と話し始めた
別れたくない、子供達に会いたい、今度こそやり直すから家に帰らせてくれ……
久しぶりにまともな口調で話すのを聞いた
目も淀んでいない
「愛しとるから…」
その言葉にまた涙が出たけど何故か同時に確信した
“私はこの人とは暮らせない”
吐くかもしれない
暴言の嵐になるかもしれない
会う前は色んな事想像してたけど
会ってみると自分でも驚くくらい落ち着いていた
ただ何度も涙は出た
だけど…
この涙を旦那に癒して欲しいという気持ちはわかなかった
この人とは愛した日々の向こうには行かない
もう私の中には居ない
居なくなっていくはず…