父の病院に行く駅からの道すがら、もう秋空のような雲がとても綺麗だった。
この一週間、鬱々とした日々は長いようで、あっという間だった。
昨日でくも膜下出血の術後の魔の二週間が過ぎた。
嘘のように何もなかった。
でも、今はそれが逆に怖い。
心の中では、
もう大丈夫じゃないのか?
普通に社会復帰できるんじゃないのか?
いつもの変わらない日々が戻るんじゃないのか?
と、期待している。
期待が大きくなるほど、絶望に耐性がつかなくなる。
“何か”あったときに、絶対押しつぶされる。
昔から、“良いコト”があるたび、内心に鈍よりしたモノが蓄積された。
だから、今の状況は、蛇の生殺しと一緒でとても気持ちが悪い。
父は、相変わらずぼんやりとテレビを見ていた。
今週から点滴の量を徐々に減らして、調子がよければ管を外してベッドを離れることができる。
口に出したくないが、本当に順調だ。
でも、一か月後は?一年後は?
…何の保証もない。
ただ、一家の大黒柱の収入がなくなったので、覚悟をしなければいけない。