「アイヌが先住民族では無い」論の誤りには興味がない人も多いかと思いますが、私としては大東亜戦争肯定論者や民族派右翼がどういうミスリーディングをするのかの標本になる話題です。

共産主義者と民族派(反米保守)は地下茎(リゾーム)では同じだという良い例に成ると思います。

1970年や80年代の左派系の学者らの言説を、民族派も真に受けてしまい、左派系の言説を批判しつつも間違った理論を展開しいてる事が多いです。

 

 

 

・「アイヌが先住民になると大和系の日本人が侵略者の子孫として『逆差別』を受ける」という意見

 

チャンネル桜系のチャンネル北海道などに出ている、アイヌ否定論者は次のような主張をする。

 

「仮にアイヌが北海道の先住民族だとしたら、今の道民の日本人は侵略者の子孫でありアイヌ団体から『日本人は出て行け

!』などと言われたら追放されてしまう」「北海道を開拓・開墾した日本人や屯田兵らが侵略者になり我々の先祖を犯罪者扱いすることに成る」

「北海道の子供たちに、あなたたちの祖先は侵略者ですと教えるのか!」

 

まず彼らの認識の誤りは「先住民族=18世紀に侵略者に土地を奪われた人々」という思い込みがある。

別にアイヌが先住民族に指定されてもそれで「非アイヌ系の北海道民が侵略者として扱われる」と言うことはない。

ネイティブアメリカン諸民族には、ヨーロッパ系・アフリカ系・ヒスパニック系を侵略者として追放できる権利は無い。

それは西側諸国のルールでは人権侵害に成るからだ。

 

北海道は日本国の法的な領土であり、我が国の国是たる「カイロ・ポツダム宣言‐サンフランシスコ平和条約」にも合致している。「先住民族の権利」は他の民族や集団の権利を深刻に侵害しない範囲内でしか行使できない。

また北海道の日本人は「開拓者・移民者・植民者・移住者・入植者の子孫」と呼べても「侵略者」や「帝国主義者」の子孫には成らない。

アイヌ人が近代立憲国家・国民国家としての主権国家を形成した事は一度も無いからだ。

なので松前藩の統治や、日本帝国(明治新政府)が北海道を接収したのは国際法上の侵略には当たらない。

また和人(大和民族)の渡島(つまり北海道)への移民は推定13世紀ごろ(もっと早ければ10世紀やそれ以前)に起きており、日本人にも北海道の土地への権利はあると考えた方が自然だろう。

 

※その証拠に、日本帝国は敗戦したときに「北海道の放棄」を一度も連合国総司令部(連合国GHQ)から突き付けられたことが無い。千島列島と樺太は帝国政府は放棄してソ連が占領した。

 

 

仮にアイヌ団体とやらが「国連で保障された先住民族の権利」を口実に日本人の追放を主張してもそれは財産権や居住権の侵害に成るのであり得ない事である。

 

日本本土人を「北海道への侵略者」と解釈しているのは、「アイヌ解放運動」を口実としている極左グループ(統一共産同盟や東アジア反日武装戦線)つまり過激な共産主義者やアナキストなどごく一部であり「アイヌを先住民族として保護しよう」という運動とはかけ離れている。

「アイヌを先住民族として認めたら日本人が侵略者の子孫として迫害される」とは現実的に起こりえない杞憂である。

 

 

↓13世紀に縄文人とは無関係なアイヌが侵略したと言っている時点で見る価値がないアイヌ否定派の親日愛国動画

 

 

 

 

 

・「金田一京助のデタラメな『日本の地名はアイヌ語起源説』が無批判にバラまかれている」という指摘

 

元筑波大の名誉教授だった中川八洋さんは、

「共産党員でマルクス主義者だった金田一京助(言語学者)は、ことあるごとに『東北地方の日本の地名はアイヌ語由来』だとした。単なるダジャレや語呂合わせがほとんどの「東北の地名の語源はアイヌ語説」は空前絶後の捏造である。

隠れ共産党員の金田一京助は、北海道と東北地方をソ連に献上する為に、そして日本文化への憎悪から東北からの歴史と日本語の抹消を謀ったのである。」と主張している。

 

アイヌ否定論者も同じように「東北地方や北海道の地名や方言をなんでもアイヌ語由来だとするのは文化や歴史の盗用である」

「東北地方や北海道は日本では無かったというロシアのプロパガンダに利用される」「左翼は日本人から歴史や伝統を奪いたいので、アイヌ起源論を振りかざして東北や北海道から日本人の痕跡を消そうとしている」と主張している人が多い。

だが、金田一京助あたりから始まった「語感が似ているからと言って無理やり語呂合わせしてるだけの低級な理論」と、

「それなりの帰納性と科学的な思考に基づいた冷静なアイヌ語研究」は分けて考えられるべきである。

 

確かに今の日本ではアイヌ文化に対するオリエンタリズム的な憧れから、なんでもアイヌ語に結び付ける都市伝説レベルの言説が多いのも事実である。

 

 

しかし、逆に言うとアイヌ語由来の東北や北海道の地名が無いのかと言われたらそれも異なる。

 

そしてアイヌ否定論者は「アイヌ語と呼ばれている言語は「縄文時代の日本語」(以下、縄文語)だった可能性がある。13世紀ごろに北海道を侵略したアイヌが、縄文人の文化や言葉を取り入れたと考えるべきだ」とする。

その根拠として「アイヌは狩猟採集民族なので農業や漁業をする文化がない。土器を作らない。なので農業や漁業さらに鉄器や土器に関連する語彙が出てくるわけがない。」が出される。

 

つまり文化的に乏しいアイヌが、縄文人を征服した後にその縄文語を取り入れた。

むしろアイヌ語こそが縄文日本語由来なのだ。という説である。

 

だがこれは前述した記事にも引用したトイヌプリさんも言うように「縄文人とアイヌ人は断絶していない」方が正しいだろう。

そして言うまでもなく「アイヌが漁業や農業をしない。土器を作らない。」という言説がそもそも間違っている。

アイヌ文化は気候変動などにより姿を変えた複合的な縄文文化の継承だと考えた方が良い。

 

話を戻すと、「金田一京助の無理やりな語呂合わせが間違っているからと言って、アイヌ語由来説はほとんどが誤り」には成らないのである。そしてアイヌ語とは縄文語の原型を現代日本語よりとどめている可能性もある。

民族派右翼からすると「日本語よりアイヌ語の方が縄文語に近い」というのは不快感があるのだろう。

 

 

 

 

 

・アイヌ先住民運動が「ポリコレ」になっていて、「批判や反論が、差別に成るからとして検閲」されているという主張

 

またアイヌ否定論者は、

「アイヌに関する事柄が、事実であっても指摘したり批判すると、『差別だ』『ヘイトスピーチだ』と言われてタブー化される。事実であっても差別につながるからという口実で日本人への言論統制が行われている。」

 

「差別やヘイトスピーチを口実に検閲が行われるのは旧被差別部落や在日コリアンと同じ流れである。アイヌが先住民族では無いと言う指摘、歴史的な事実がポリコレにより規制されている」という論を張る。

 

まずこれに関して言うと彼らの言う『事実』『歴史の真実』が実際に間違っているからである。

13世紀の頃にアイヌの大規模な侵略があり、現地の擦文(さつもん)縄文人を大虐殺した、という彼らの主張は間違っている。

 

また「縄文人とアイヌの間には文化や風習の断絶がある」というのも学術的に間違っている。

「うるしの器」「縄文土器」が急激に13世紀後半から見つからなくなったのは東日本の広範囲にみられる現象であり、気候変動などの様々理由で廃れていったのだろう。北海道は様々な民族や文化が入り混じる混合の地帯となり、もっというと「アイヌ化」していったのだとも考えられる。

さらに何度も指摘しているが、アイヌが狩猟民族なので、土器を作らない、農業や漁業をしないと言うのは間違いである。

 

 

※10世紀から14世紀までは地球(北半球の特にヨーロッパ)は温暖化していったが、それから19世紀までは小氷河期に入っていた可能性が指摘されている。

当時の極東アジアがどうだったのかまでは推測できないが、北海道の文化形態が変化したのは気候の変化ももしかしたらあるのかもしれないと調査中。

ちなみに江戸時代や帝国時代の日本は今よりずっと寒かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

いずれにせよ「アイヌが先住民族では無い」という否定論者の言う「事実」「真実」が間違っているので批判されているのであって、別に「差別だから」「ヘイトスピーチだから」という理由でまともな学術界隈で相手にされていないのでは無い。

つまり「本当のことだがポリコレ化されて批判から特別に守られている」のでは無いのである。

 

そして筆者の独断と偏見で言わせてもらうと、「アイヌが先住民族では無い論」こそがインターネットではポリコレ(政治的な正しさ)とされていると思われる。

アイヌが先住民族であるとする言論よりも、どちらかと言うと「アイヌは先住民族では無い。アイヌが先住民族だというのは左翼系の学者の陰謀」だとする「アイヌは先住民族では無い」論の方が多い。

 

ネット上では「アイヌが先住民族だと主張する人は嘘つきか無知である」「反日感情から日本をおとしめる反日工作員である」というレッテルが張られている。

少なくともネット上では「アイヌは先住民族では無い」論の方がポリコレ(正しさ)と成っている。

アイヌ否定論者こそ「先住民族たる縄文人の子孫は大和民族であり、アイヌは侵略者」という皇国史観的なポリコレを持っている。

 

 

 

・アイヌ利権は「新しい同和利権」「公金チューチュースキーム」だとする批判

 

「アイヌは先住民族だと認めない」愛国者達らが良く言う意見は「アイヌ利権は新しい同和利権で目的はマイノリティーの保護を口実と、公金の汚職と腐敗の正当化だ」という理論である。

ネトウヨの新しいリーダーの1人、暇空茜(ひまそら)の良く言う「公金チューチュースキーム」である。

 

否定論者いわく「アイヌ人というのはもう存在しない、日本人と既に同化したアイヌを先祖に持つ旧アイヌ系日本人が居るだけだ」「既に存在していないアイヌ語の復興や、アイヌ文化の復興というものに日本人の税金を使うのはいかがなものか」

「そもそもアイヌには復興するような文化や伝統も無い。アイヌ文化の大半は縄文人のものである」という物がある。

 

だがこれらは「13世紀に日本人と相いれない、残虐で野蛮なアイヌ人が侵略してきて、現地の縄文人を殺戮した」というナラティブが前提となっている。

アイヌの異民族であり、日本人とは関係ないのだから日本人の税金を使うなという事である。

 

だが以前の記事に書いたように縄文‐中世オホーツク文化‐擦文(さつもん)‐アイヌは連続性があり、むしろアイヌ文化こそが縄文文化の原型を含んでいる可能性が高い。

もちろん大和民族も縄文系と弥生系の混合だがユーラシア大陸から来た弥生系の方が濃く、アイヌや琉球民族の方が縄文人性(?)を比較的に多く残している可能性がある。

つまりアイヌ文化を復興し、研究することは縄文時代の原初日本語や日本文明のルーツやアイデンティティを考察する貴重な手掛かりに成る可能性がある。

アイヌが北海道を侵略して文化や言葉を盗んだ説には無理があるのだ。

 

皇国史観や「大和民族こそ縄文人の正当な継承者説」を信じる人々にとって、琉球やアイヌの方が縄文人度数が強いと言うのは彼らからしたら都合が悪い。

なのでアイヌを「他人の国に勝手に移り住んで、勝手に先住民族を自称しているふとどき者」と言う風にしておきたいのだ。

 

 

 

 

 

暇空茜の言う「公金チュースキーム」だが税金の無駄遣いをNPOやNGOに文句を言うなら、余計な地方議員の削減や地方自治体の削減をした方がはるかに税金の削減に成る。

元明石市長の泉房穂も言うように「47個も都道府県は要らない」のである。

不必要な自治体や都道府県を廃止すれば、その分余分な議会は勿論、公立学校や役場も削減できる。

また特殊乗車券(国会議員の新幹線乗り放題)なども今となっては時代錯誤である。

 

 

 

・アイヌ解放運動と「アイヌは先住民族である」論の意図的な混合?

 

アイヌ否定論者(アイヌは先住民族では無い派)は恣意的に「極左の主張するアイヌ解放論」と「アイヌは先住民族でありその言語や文化を保護するべきだ」という運動を混同させて、「アイヌを先住民族だとする主張は反日主義である」と誤認させていると思われる。

 

アイヌ解放論とは共産主義者やアナーキストが「日本人の加害性」を強調して、東北や北海道は日本人の土地では無いと主張して日本国家を解体しようと言う運動である。これは少数の極左分子が唱えている。

有名な所によると東アジア反日武装戦線(アナキスト系)のアイヌ革命論などが有名である。

(このアイヌ革命論はアイヌは原始共産主義であるというやはり縄文ファンタジーつまり縄文時代ユートピア仮説に基づいている。皮肉にも共産主義者の嘘に右翼が騙されているパターン)

 

 

アイヌ解放運動(アイヌ革命論)を行っている極左グループ

 

統一共産同盟・・・・左翼共産主義系? 反天皇制に力を入れている。ピリカ全国委員会があるが「遺骨取戻し運動」など限定的な活動のみ。

 

ブント(共産主義者同盟)統一委員会派・・・・マルクスレーニン主義系。三里塚闘争やパレスチナ支援・反イスラエル運動に注力。公式サイトを見ると後期高齢者ばかり。

 

アイヌ民族党・・・・アイヌ民族主義系? 北海道の道央・日高地方にある沙郡(さる)群に本部がある。公式サイトを見る限り活動はほぼ行われていない。

 

日本共産党・・・アイヌ民族の権利拡大を主張している。だが護憲運動や反核運動に注力。アイヌ運動は後回し。

 

社民党・れいわ新撰組・・・アイヌ解放運動に理解があるが、積極財政や脱原発に重きを置いている。

 

朝鮮総連(朝鮮労働党)・・・・活動家がアイヌ運動に参加していた。ただしマスコミの北朝鮮報道と安倍晋三の暗殺、統一教会叩きにより一気に影響力は低下??

 

部落解放同盟・・・・日本共産党は犬猿の仲。同和利権(汚職)が批判されて現在は西日本を勢力圏とする程度。社会党が衰退したので政治的影響力は国政だと皆無。

 

 

かつて活動していたグループ

 

東アジア反日武装戦線・・・・アナキスト系。テロ事件を起こして鎮圧された。今は解散。

 

 

 

このようにアイヌ解放論は現代では一部の極左分子の主張や活動を除けばほぼ衰退している。

そして(アイヌや縄文時代は原始共産主義だった説を根拠とする)アイヌ解放論は1970年代に盛んだったのであり現代の「アイヌを先住民族として認めよう」とは異なる次元の運動である。

アイヌ否定論者はこれらの運動を、故意なのか本当に間違えているのかは分からないが混同して語っているように思われる。

そして彼らは「アイヌを先住民族としようとか、アイヌ文化を復興しようと言っている人々のバックには共産主義勢力や反日主義勢力が居る」と誇大宣伝している。

 

近年の「アイヌは先住民族である」「アイヌは縄文人の子孫である」という見解・運動はイデオロギー的なものではなくて考古学や歴史学から始まっている。

むしろ「アイヌは先住民族では無い」論こそ皇国史観や教派神道のさらに右派がイデオロギー的な理由で編み出している。

 

 

 

・「アイヌと日本文明が全く異なるのでアイヌが縄文を継承している訳がない」説

 

 

アイヌ否定論者は日本文明とアイヌ文化が本質的に異なっている事を理由に、アイヌが縄文の継承者である事を否定している。

 

「仮にアイヌが同じ縄文人の子孫ならなぜ日本人とアイヌはこうも違うのか。日本語とアイヌ語は全くお互いに意思疎通が不可能である。それどころか大和言葉(やまとことば)とアイヌ語は全く異なる。日本語とアイヌ語なら、朝鮮語の方がまだ日本語に近い。」

 

「アイヌの神話やユーカラにはクニノトコタチ(国之常立)などの日本神話の神々が一切出てこない。それどころかユーカラには日本には生息していない虎が出てくる。神話や宗教が本質的に異なるのはアイヌが外来民族である証拠である。」

 

 

たしかにアイヌ語と日本語は単語から文法まで大きく異なっている。

この点に関しては私は素人なので詳しい人らに任せるが、、、。

 

https://www2.ninjal.ac.jp/past-projects/languagedispersal/Hudson1999.pdf

 

 

 

 

 

 

 

個人的な独断と偏見を言うと、日本語とアイヌ語が大きく開きが出来たのは、「漢字を使う」という影響が大きいと思う。

漢語(中国語)の四字熟語や概念が入ってくるのは大きい。

また仏教や道教など宗教が入って来たのも大きいだろう。仏教用語は実は日本語にも多く、漢字のまま日本語に入って来たのだ。

刹那、修羅、畜生、なども元々は仏教用語だと言われている。

仁義、勇気、武勇なども元は道教や儒教の影響の概念である。

宗教が文化や言語に与える影響は大きく、イスラム世界ではアラビア文字やアラビア語が広く普及した。

また前述したように日本語は漢字を使うという事でゆるやかに自己漢化して発音などが大きく変化したのではないだろうか。

アイヌ語は漢字文化や道教や仏教儒教のような異国宗教との接触が無いのでより純粋な縄文語の影響が残っているのでは無いか。これは素人のあてずっぽうだが。

 

いずれにせよ日本語とアイヌ語に開きがあるのは後の歴史を考えるとそれほど不思議ではない。

そもそも言葉とはかなり流動的で120年くらいで大きく変わるというのを忘れては成らない。

今の日本人が江戸時代の文書を読んでも教養や知識が無いと読み辛いように、約2300年前の言語はかなり変わっているというのは当り前である。

 

またユーカラに虎が出てくるのはアイヌがシベリアの原住民で日本文化でない証拠だとよく言われるが、虎や像は日本には住んでいないのに昔話にはよく出てくる。

それこそ「虎穴に入らずんば虎子を得ず」のような中国伝来の言葉のように。

ゾウも仏教の影響か、インドの神聖な生き物として日本文化にも登場する。

また空想上としても、龍・キリン・四獣(玄武 青龍 朱雀 白虎)なども。

 

ユーカラがシベリアの情景だと言う理由でアイヌが非日本的な存在とはならない。

 

 

 

・「アイヌ復興運動がロシア軍の呼び水になる」と言う意見

 

アイヌ否定論者は前提として、「13世紀に移住しきて縄文人を虐殺した」という間違った歴史事実を持っているのでそもそもスタート地点から間違えているのだが、次もそれである。

 

「『日本人を殺戮して、土地を奪って、文化を盗用すれば先住民族に成れる』という前例を作るのは危険である。

将来、中国人、朝鮮人、ロシア人は同じことをするだろう。特にプーチンが北海道に侵攻するときはアイヌ民族解放を口実にする。」

 

「ロシアの領土的野心は今は西方(ウクライナとルーマニア=モルドバ)に向いているが、やがて東方(日本)にも向くだろう。

ロシアは必ず東北や北海道は元来日本人の土地ではないと主張する。」

 

「ウクライナで既に、ロシアは傀儡政権のドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国を作り彼らに保護の要請をさせることでウクライナ侵略を可能にしている。ウクライナを見れば北海道の先住民族はアイヌだとするのは危険である」

 

 

まずアイヌ民族が縄文人を虐殺したというのがそもそも間違いなのだが、仮にアイヌが先住民族として認められたからと言って、東北や北海道が日本国の法的領土で無くなるとはならない。

先ほども書いたが、カイロ・ポツダム宣言‐サンフランシスコ平和条約において「北海道は日本国の合法的な領土」と成っているのだ。

日本帝国は敗戦時に南洋群島(ミクロネシアなど)、朝鮮半島や台湾群島を手放したが、北海道は今も日本国の領土である。

 

よくプーチン大統領やメドベージェフ元首相が「千島列島がロシアの領土に成ったのは第二次世界大戦の結果である。日本側はその現実を受け入れるべきだ。」と発言しているが、逆に言うと第二次世界大戦の結果(カイロ・ポツダム宣言とサンフランシスコ条約)として「北海道は日本人が平和的に開拓した、権利を有する領域」と証明されたのだ。

 

よってプーチンが「アイヌ民族の解放」「北海道や東北をアイヌに取り戻す」と言うのを口実にしてもそれは国際法上は侵略である。

そして北海道にロシアが攻めてくるのが心配なら、軍備増強や小型戦術核の保有を推進する運動をやるべきだろう。

ロシア側からしたら軍事的な優位性が確保されているかどうかが重要で有って、アイヌが先住民族かどうかは口実に過ぎない。

あくまでも日本政府の国防政策の問題であり、「アイヌを先住民族と認めるのはロシア軍の呼び水になる」というのは関係ない次元の話である。

 

ドネツクやルガンスクの親露派政権は「ロシア語を話す民族的ロシア人」が起こした運動である。

かれらは国民としてはウクライナ国民だが、民族的にはロシア人で言語的にもロシア語話者だった。

アイヌも一応ロシア連邦の先住民族と成っているが、日本国の合法的な領土に侵略したらそれは西側諸国が容認するはずがない。

日本政府はアイヌの村落にロケット弾を撃ち込んだりしていない。

そもそもドネツクPRやルガンスクPRも国際的に認証されていない。

イランや中国もロシアとは同盟国だが、自国内に分離独立運動を抱えているのでこれを容認していない。

 

 

 

・アイヌ否定論者(先住民族では無い派)はアイヌの何がそんなに気に入らないのか?

 

「アイヌは先住民族では無い」論は、LGBT法案の時もそうだが、「理由があるから反対している」のでは無くて「反対するために無難な理由を探してる」感が大きい。

そして個人的な所感を言うと「アイヌが先住民族である事よりも、アイヌが縄文人の子孫だと言われることに憤慨してる」感じがする。

皇国史観や、教派神道の内部のさらに極右派(モラロジー研究所など)は「世界で唯一、日本民族は一貫して天皇を中心に一国一文明・単一民族として3000年間あり続けた」という信条がある。

そして大和民族よりも琉球民族やアイヌの方が縄文人度数が高いという事も彼らからするとその世界観に反するので気に入らないのである。

アイヌは特に「天皇制の外の民族」だが彼らが縄文人の子孫だとなると、日本人は太古の昔から天皇を中心にまとまってきたという彼らの世界観が成り立たないのである。

(念のために言うと、天皇や公家などがこういう考え方を持っていたとは考えにくい。)

 

「素晴らしい縄文人の子孫の、一番の正当性がある子孫は大和民族」という考え方も、縄文時代ユートピア仮説(縄文は原始共産主義だった)という、60・70年代辺りに共産主義者が流していた願望論が土台に成ったと思われる。

左翼の嘘に、右翼がさらに間違った理論を建ててしまったという皮肉な展開である。

 

縄文人が武器を作らなかった、毒を使わなかったは間違いである。

平和な縄文人が、凶暴なアイヌに滅ぼされたというのは「縄文時代が憲法9条教を体現していた」という共産党員らのおかしな主張の亡霊では無いか。