多くの日本人はマルクスやケインズの「計画経済」幻想に囚われてしまっている。

根本的な「常識的な経済論」をことごとく間違えている。

ここまで経済音痴なのはイデオロギーや政治思想への関心が低いからだろうか。

 

 

 

・「貿易赤字や国家の赤字」は必ずしも悪ではない

 

 

赤字と聞くと日本人は思考停止になり「赤字=悪」だと判断する。そして「黒字」を無条件に良い事だと勘違いしている。

だがこれは誤りである。

 

これは架空の話で現実にはあり得ないが思考実験として聞いてほしい。

この地球上に、A国、B国、C国の3か国しか存在しないとする。

 

そしてA国は経済成長と人口増加から覇権主義を強めたとする。

そしてB国は脅かされていたとする。

そこでB国は急遽、C国から「野戦砲を500門、迎撃ミサイルを1000発購入した。予算は5兆円。」とする。

これ一見すると5兆円と言う巨額のマイナスがあったように「数字上は」なる。

だがそれは「国家と民族の独立を5兆円で買った」という事に成る。

つまりB国としては、「本来の金銭以上の価値」を購入したのだ。(マルクスの等価交換論は誤りである)

そしてその年に、B国の国家の会計が「赤字」だったとしても「事実上は『黒字』」なのだ。

このように数字上は赤字でも、それ以上の価値をその国は買えたのだから損には成っていないのだ。

 

赤字=悪 という常識論は慎重になるべきである。

 

 

・「岸田政権は大軍拡」しているは、数字のマジックであり実態とは反している

 

 

護憲派野党は「岸田政権が大軍拡をしている」「戦争をする国作りをしている」と宣伝しているがこれは誤りである。

日本円はアベノミクス(国債の大量発行)による円安・インフレーションが起きている。

そのために「数字の上は」防衛費(軍事費)が大きく上がっているように見えるが、実際にはほとんど増えていない。

日本円の価値が下がり、インフレーションによって予算が膨らんでいるように見えるのだ。

 

そして自衛隊の問題点は、幹部の多さである。幹部(将校)の数が多すぎて人件費が高すぎるのだ。

師団や方面隊、幕僚監部を廃止して、幕僚本部ー旅団 の編成にするべきだ。

特に陸上自衛隊は音楽隊や太鼓部隊など無駄な部隊が多すぎる。

衛生中隊を最低でもあと5個は増設するべきだ。

 

 

 

・「GDP」「GNP」はもはやその国の真の豊かさを反映していない

 

 

日本人は相変わらず、「田中角栄型の経済成長モデル」を唯一の成功例だと思い込んでいる。

だからGDP(国内総生産数)やGNP(国民総生産数)、GNI(国民総所得数)などを重視するが、はもはや国民の豊かさや国家の価値を反映していない。

生産主義という「マルクス経済学」迷信やケインズ経済学から脱却できていないからだ。

 

例えばビットコインで1億円儲けた人が居るとする。でもその人の「生産性」は限りなくゼロである。

日本人のイラストレーターが、中国人にイラストを描いて、500万円を儲けたとする。

しかしそれも数字上は生産性はゼロである。

このようにプロレタリア(無産階級の労働者)なのに金儲けに成功している人が多く居る。

 

GDP、GNI(GNP)などはもうその国の豊かさを示していない。

工場などで「モノを生産して売る」という形態は1960年代から80年代では有益だったが、ある程度の資本主義国では経済が発展すると意味を失っていく。

GDPとは開発途上国、工業後進国でのみ意味のある数字なのである。

 

昔の昭和時代は、本当に日本は貧乏に成っていた。なので「物が増えてる」ことで幸福に成った人が多く居た。

なので生産性の向上と、豊かさと幸福感がセットに成っていた。

だが現代では生産性の数値と幸福感や豊かさは必ずしも比例していない。

 

※共産主義者は「生産手段の公共化」で差別や戦争のない理想世界が来ると未だに信じているが、もはや生産手段の独占が社会悪を産んでいるとは言えない。そしてプロレタリア VS ブルジョワジーという対立構造自体が成り立たなくなっている。

 

 

 

・日本経済が衰退しているのは「資本主義」や「グローバル化」のせいではなくて社会主義的な終身雇用制と年功序列などが原因

 

多くの日本人の好む言説、もっというと物語性(ナラティブ)は以下である。

 

「資本主義が人間をモノのように扱って、人間を使い捨ての道具にしている」

「資本主義とグローバル化によって個人が抑圧されている」

「日本は新自由主義とグローバル化によって破壊されている」

 

これは誤りである。

実際には資本主義や自由経済、グローバル化が、格差をやわらげ、戦争を抑制して、多くの人々に幸福をもたらしているのである。

少し前の中国やシンガポール、今のインドやインドネシア、マレーシアなどを見ればそれは分かる。

資本主義やグローバリゼーションにも関わらず、これらの国々は成長している。

 

未だに日本では70代や80代を中心に、社会主義や共産主義へのキラキラした憧れを捨てきれない人々が大勢いる。

なので「資本主義の行き詰まり」という言論は好まれる。

だが、実際には多くのアジア諸国は資本主義やグローバリゼーションにも関わらず発展している。

つまり日本国の停滞は「日本社会の構造的な問題」であり、資本主義や自由市場のせいではない。

 

日本では労働者の「解雇」を異様に忌避するあまり、不向きだったり無用の正社員を解雇できないと言う悪習慣がある。

さらに高額な給与をもらっている管理職を減らせないという問題がある。

そしてさらに「終身雇用制度」というソ連でも見られなかった不思議な制度がある。

こんな江戸時代のような(もっと言うと江戸時代にも無かった)非効率なシステムを「古き良き日本の慣習」だと勘違いしている人が多い。

だが終身雇用制や年功序列を廃止しろというと労働組合や大学教授らが「労働者の権利を守れ」とイデオロギーから、反対してくる。

しかし本当は「正社員」と言う概念の廃止や、管理職の労働者の解雇を促進した方が結果としては労働者階級にとって利益に成る。ブラック企業が淘汰され、無駄な幹部労働者が首切りされるので結果としては効率化とコーポレーション化が進んで経済の合理化が起きるからだ。

 

 

・デフレや少子高齢化は結果であり、不景気の原因ではない

 

 

これも誤解されているが、「デフレ」「超少子・超高齢社会」は不景気の原因ではない。これらは長い不景気による結果である。

だが「デフレ脱却」というスローガンばかりが左右から流される。

そして「積極的な財政出動で日本経済は回復する」という言説ばかりが有識者から流される。

 

なぜれいわ新撰組は勿論、自民党はこんな言説ばかりを垂れ流すのか。

単純に言えば、「選挙の時にそう言っておいた方が票が入る」からも大きいかもしれない。

 

バラマキの公共事業を止めます。社会福祉を削ります。と言うと、国土交通省や厚生労働省の官僚たちは当然、予算削減を恐れてそれを批判する。さらに社会党や共産党などの左翼政党は「公共インフラ削減反対!福祉削減反対!」と有権者を扇動する。

また土建屋や医師会なども自民党と癒着しているので、強烈な圧力をかける。

なので「積極的な財政出動→インフレ促進・円安誘導」の方が好まれるのだ。

そして「デフレが諸悪の根源」「デフレこそ真犯人」という間違った言論を主張した方が、誰も敵に回さないので好まれるのだ。

 

少子高齢化もそうである。

少子化については晩婚化・高齢出産の促進、さらに男女平等やフェミニズム運動、性道徳、性革命など様々な要因が入り乱れてるので割愛する

少子化も超高齢化もそれ自体は「不景気の原因」ではない。

例えば中国や韓国では数年前から既に、日本を超えるスピードで超高齢社会・無出産社会に成っているが経済自体は拡大して社会も発展していた。

 

日本の異様な福祉の形態は、例えば後期高齢者に莫大な、胃ロウなど延命治療をはじめ医療費を使っているなどがあげられる。

異様に「寝たきり高齢者」が日本の病院であふれているのは異常である。

また医療費負担が高齢者ほど有利で、病院に病気でもないのにサロン的に通う人が多いのは異常な現象である。

 

だが「後期高齢者の医療費に膨大な税金を使うべきでない」と言うとその人は「高齢者に死ねと言うのか」と言われてバッシングを受ける。医師会やバイエルン社のような大手製薬企業は自民党や厚生労働省と癒着しているので、そのような人物がいたら困るからだ。

デフレや超高齢社会はそれ自体が景気後退の原因ではないのだ。

 

 

 

 

・現実にはロシアや中国などが最もサステナビリティ(持続可能性)のある経済モデルとなっている

 

アメリカや日本よりも、少しばかりは中国やロシアの国家資本主義、独裁的市場経済のほうがまとも(持続可能性のある)な経済システムを採用している。

こう書くと「いや、君はさきほど社会主義や計画経済は良くないと言っていた。なのに大きな政府の体現のような中露の経済システムを評価するのは矛盾も甚だしい」と思うかもしれない。

確かに私は過去の記事でもマルクスやケインズ的な「大きな政府」「計画経済」を批判してきた。

 

だが中国政府やロシア政府は国家の存続を第一に考えて、国家権力の介入を赦す資本主義でありながら平等主義に基づく統制経済は採用していない。

 

今、中国では不動産バブルの崩壊が起きているが中共はこれを助けない。それどころか意図的に崩壊させている。

これは資本主義的には正しい選択をしている。

コウダイグループ(恒大集団)を中共は全く救済する気が無い。失業者が出ようと、破産者が出ようとお構いなしだ。

だがこれは資本主義のメリットである「淘汰」であり、これこそが自由市場の自浄作用なのだ。

日本の「護送船団方式」のように「危機に陥った企業を政府が助ける」という悪習慣こそが愚の骨頂である。

将来性のないスキームからは労働者が移住した方がそれはかえって労働者のためになる。

経営破綻や失業率は悪ではない。自由市場における自浄作用であり、結果としては労働者の利益成るのだ。

 

日本の政治家や厚生労働省は、「失業率」が上がると選挙に勝てないと恐れて失業率があがるような合理化政策を取りたがらない。また共産党系の全労連などが「解雇=悪」と言う間違ったプロパガンダを行って労働者を教育しているせいだ。

 

 

 

 

・もはや経済成長は経済成長ではない

 

日本では「1970年代モデル」が未だに経済の成功例となっている。実際にこの時が日本の歴史上の黄金期でもあるからだ。

だが成功体験こそが、それに固執して失敗の原因にもなる。

つまりだ「団地やマンションを増やして、自動車の新車販売数を上げて、GDPを増やして、失業率を下げて、一億中流を目指す」

というモデルだ。

核家族、一人暮らし信仰、などもこの時代だからこそできたのだ。

 

だがこれら「経済成長」は今では真の「経済の成長」では無いのである。

今の日本は、個人主義を前提とした社会発展モデルではなく、「穏健な縮小社会」に向かうべきだ。

つまり後退主義こそ多くの人々が目指さないといけない。(というよりも不可能なのだ)

 

 

 

 

 

↑ミーゼス研究所のロゴ。リバタリアンの立場から知的財産権に反対している。