ようやく「無条件?一人10万円支給」が動き出して、
これに関しては、「新しい時代」への大きな一歩だと思っている。
(私はベーシックインカム論者なので、ベーシックインカムでブログ内検索をかけていただければ、と思う)
ただ、本当の経済対策は、これからで、
それこそ、このコロナ禍の、本当の恐ろしさはこれから顕在化する、
政府や銀行の手におえるものではない、と思っている。
「終息したら前と同じように・・・」などという人には、
正常化バイアスにもほどがある、といいたい。
以下しばらく、
経営の専門家はもちろん、前線で仕事をしている人なら当たり前のことを書く。
興味のない人にもわかるように書いていきたいので、
しばらくお付き合い願いたい。
店も工場も営業所も、
およそ経済活動である限り、「売り上げ」-「仕入れ」-「経費」=損益
である。
損益は、黒字(プラス)でなくてはならない。少なくとも黒字になる方針がなくてはならない。
黒字になる見通しのない事業は罪悪でしかない。
ちなみに、経営者の報酬は損益から出ていると思われがちだが、厳密には損益は資本に対する配当で、現場の者に対する人件費は、すべて「経費」とみなすべきであろう。
休業などで売り上げが立たない場合、
収益を守るため、まず真っ先に「仕入れ」がなくなる。
すでに仕入れた在庫は、プラスの財産から、一瞬のうちに「負の財産」に化ける。
ただこれは、腐ったり陳腐化しなければ、
いずれ売れるということで「融資」でしのぐ手もある。帳簿上は財産である。
しかし、現代は経済のサービス化が進んでおり、実際に「モノ」が動く割合は、むしろ少ない。
経費の多くは、人件費をはじめ、機械など設備の減価償却(具体的には借金の返済)、そして家賃地代といった「固定経費」であり、
電気代など節約できるものはむしろ少なく、効果もうすい。
売上がないと、この「固定経費」が、もろに損益を悪化させる。大赤字になる。
固定経費をまかなうだけの粗利益(売上-仕入れ)が取れるかどうか、
そこが「損益分岐点」である。
消費税が3%や5%の時、それを消費者に転嫁できなかったときには、損益はふっとぶ、と言われたように、優良企業でも利益率など数パーセント、ひと桁も下の方だろう。
売上が何割というペースで減れば、それは何を節約しても、
巨大な「赤字」にならざるを得ない。
ここからが大事なところなのだが、
一時期の「赤字」を、利息があろうとなかろうと、借入金でまかなえば、
その返済は、さらに固定経費とならざるを得ない。
バランスシートを棄損し、以降の時期の「損益分岐点」を高めてしまう。
つまり、「ますます損をとりかえすことが難しくなる」のだ。
そのままでは、死を待つのみ。
つぶれる前の企業がバタバタしはじめるのは、こういう理由だ。
めざとい経営者は、すでに人件費から削減を始めている。新規採用の取り消し、雇止め、首切り(早期退職募集)
続いて、設備や会社そのものの身売りも始まるだろう。
大手は、会社から人やモノを切り離して収益を改善できる。
最悪倒産したところで、損は金融機関などに分散される。株主なら、株を買った金額だけのことだ。
しかし自営業者や中小は、そもそも「利益」ではなく「経営者の人件費」を伸び縮みさせて損益を作っている。
そして、経営者の多くは、個人資産を会社の担保に差し出している。
ちょっと赤字が続けば、丸裸になったうえに、レバレッジで借金が増える。どこにも逃げ出す道はない。
経営者個人の「損益分岐点」が、どんどん上がっていく。
見通しは暗くなる一方だ。
早めに「整理」、できなければ、「自己破産」
首を吊れば、その保険金で家族取引先を守れるかも、と頭をよぎる。
それが、5月以降、日本を襲う、本当の「コロナ禍」だ。