各国から景気対策の情報が発信されていて、
不景気の気配が濃厚である。
今年は全世界で生産が前年を下回るだろう。

景気よりも天気、天気よりやる気、などというが、
さほどに、「景気」が世の中を左右するということでもある。

景気は集団心理的なもので、実態がない。
だからこそ、既存経済で研究し尽くされているのに、コントロールできない。

どんなに景気が悪くても、子供の教育や食事回数を減らすという人は少ないだろう。
それは、数少ない、確実な投資で、未来への希望だからだ。
実は、希望、成長するという見通しこそが、好景気の正体なのではないか?

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保険会社が年金保険を売りに来たとき、
生命保険で早死にしてよし、年金保険で長生きしてもよし、と笑ったことがある。

人の不安で商売するのが保険屋で、好景気であればなお、その後の不景気を示唆して加入を募るだろう。

不景気の正体は、「不安」である。
将来の収入減少という見通しが、現在の消費収縮になる、
とてもシンプルな話なのだ。

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減税で景気回復という人がいる。
ちょっと前までは、私も大賛成だった。

しかし、不安の正体は収入が減少するという見通しなので、
心ある人ならむしろ逆張り、景気回復のために消費も納税もすべき、と思うのではないか。

どんなに、世の中に必要だと思うことでも、
自分の損を見込んで、人は動けるものではない。

収入の保証があれば、人は更なる借金も、投資もできる。
不安の反対は信用であり、信用保証はコントロールできる、というのがMMT理論の本質だろう。

今こそ、信用貨幣によるベーシックインカムを、実験と称してでいいから、導入すべき局面だと思っている。
嫌ってきた党も含め、あらゆる政治家に、はたらきかける局面だと思っている。