1.こんどの土日(イベント案内)
今日28日、一般的なイベントでは、16回目になる、若鶴の「蔵祭り」がおすすめ。
私がfacebookで招待されている、その他のイベントを紹介する。
A.能登・九十九湾シーカヤック体験・春
能登町小木でのイベント。いつも行きたいとおもいながら実現していない。
B.身近にある南砺の木でいろいろ作って遊んでみよう!
6月5日オープン(お披露目)の「Casa小院瀬見」にて、早くもイベント。
C.田楽あんどんの絵を描こう
砺波駅前の駄菓子屋さんで、夜高行灯のワークショップ
食と農業について、実際の「体験」を通して考えてみませんか。
E.私が主役の夢をかたちに
知り合いのインテリアコーディネーターが独立、リフォーム物件を公開します。
「暮らし方」は「生き方」。夢をかたちにする方法を多くの人に伝えたい。
2.前の土日(感想文)
UNITED PEOPLEのドキュメンタリー作品を中心に、毎月、いのくち椿館で続けられている上映会、
5月21日は「ザ・トゥルー・コスト」という作品だった。
副題は「ファストファッション 真の代償」というもので、安価で大量に販売され、また捨てられていく現代の服の「コスト」に、疑問を呈するものだ。
服の主たるコストである縫製費
バングラデシュでは、最低の賃金と劣悪な作業場環境、まさに無法地帯としかいえない縫製工場が、国の経済を支えている。
法を守れというデモは政府の暴力によって鎮圧される。
「服は私たちの血でできている」というシングルマザーは、子どもを実家に預け、その子が教育を受けてこの境遇から脱することを夢見て、また工場に戻る。
服の主たる原料である綿
猛烈な量の除草薬と肥料、その除草薬に耐える遺伝子組み換えの種、広大な農地を走り回る大型機械。
アメリカの農家では男たちが癌に倒れ、妻たちが「オーガニックコットン」に挑んでいる。
インドでは、地力を失い収量の低下した畑が、借金の「カタ」として奪われ、男たちが首を吊る。
ブーツの原料である皮のなめし工場
強烈な薬品は、何の処理もなされず、農業用水や生活用水でもある川に流れ込む。
村では先天性の障害を持った子供が増え、大人たちも病気になる。
この手の映画ではみな同じ手法だが、
これらの悲惨な映像と、美しいファッション画像、バーゲンに群がる消費者の姿などが瞬時に切り替えられ、
消費社会の華やかさに、嫌悪さえ感じてしまう。
生産拠点を集中させ大量生産することで、価格という意味のコストを極限まで低下させたファストファッションの業界が、
実は人の伝統文化や健康、そして自然環境に、取り返しのつかないような「コスト負担」をかけているということは、誰もがうすうす感じていることだろう。
その現実が、強烈な映像として、この一本の映画にはおさめられている。
まとめにはインタビューを多用しているが、映像はほぼ真実だろう。
一時はその代名詞だった「メイドインチャイナ」だが、
今、現場は「最貧国」と「規制の不備」を求めて、国から国へ移動している。
その実態を知ってしまえば、あとは消費者が反省し、消費行動を変えるほかはない。
さて。
地域おこし協力隊として南砺市へやってきた若者が、
「南砺に灯った町の小さな映画館」
というfacebookページをつくって、この上映会をPRしてくれている。
次回の上映会は6月25日、「選挙フェス」という、3年前の参院選での三宅洋平を追いかけた映画だという。
そこに、
「公金の支払いを受けているみなし公務員(地域おこし協力隊員)が、特定の政治主張を広める活動をするのか」という「いちゃもん」が、私のfacebookスレッドに書かれた。
映画が「特定の政治主張」にあたるとは思えないが、選挙期間中でもあり、微妙なものは自分も感じる。
ただ、「それはまずいんじゃないか」ではなく、「行政に通報してやる」という書き方は、「脅迫」であろう。脅してどうする。
平和を求める、戦争反対、などと言って「九条救助隊」を名乗ってきた自分であるが、ひょっとしたら9.11以前、湾岸戦争あたりから、「第3次世界大戦」はすでに始まっているのではないかと思いついた。
たぶん、国対国ではなく、宗教や立場の違いによる「対立」に目を付けたものがいるのだ。
条約や「制度」で、その対立をあおり、格差を恒久化しようとすれば、反発も出る。
制度を守るための「治安・軍事設備」は、「金儲け」の大いなるネタである。
国を守るために、疑問や異論は封殺される。
紛争にならなくても、その危機感だけでカネになり、
紛争になれば、さらに多くのカネが動く。
将来への不安が、人を駆り立てる。
人々は疑心暗鬼になり、さらに自分の立場とカネを守ろうと躍起になる。
自分の口を拭いながら、声を上げるものを遠目にして、陰口をつかう。
この風景は、すでに「戦時下」なのではないだろうか。
3.連載小説「夏のシンデレラ」 第4回「地区委員長・宮下」
人口5万、有権者4万、投票率65%として2万6千票、過半数は1万3千。
共民党湊市委員会を預かる宮下にとっては、まったく実感のわかない数字だった。
5月28日に、湊市総合会館の会議室で、選挙区から比例代表に回った高橋と、選挙区の野党統一候補になった川藤をよんで、集会をすることになっていた。
10日前になって、そのための湊市委員会を開催した。
いつもの作業小屋である。時間に集まったのは3人だけ。
みな忙しく、そして疲れていた。
「とりあえず始めますか…まず、当日の進行ですが」
宮下はレジュメを読み上げる。
「開会の言葉、これは誰?」
「あんたがしなきゃ」
「本人の前に誰か応援演説がいるわ」
「市民連合から呼べば?」
「金井さん?誰が連絡する?」
「それもあんたの仕事や」
返事をするのは、前委員長ばかり。
夕暮れの作業小屋は、畳のスペースがこざっぱりと片付けられているが、
隅には座布団と配布資料が積まれ、
宮下が差し入れた缶コーヒーにも、誰も手を付けていない。
「岡本でーす」
甲高い声がして、若い男が入ってきた。
「遅くなりました!いやぁ、いいところですね!」
岡本は党員ではない。スタンディングやデモになるとあらわれる。
基本的にニート、時々アルバイトをしているらしい。
お調子者ではあるが、芯はしっかりしている。
「もうダメですよ湊市。いやいやいや、ホント、共民党さんだけが頼りなんです」
「それは、まあ正しいかもしれんが…」
「だって、他の野党に、誰がいます?どこかで集まってます?なんかしてるの聞いたことあります?」
「はっはっは」
「いいっすか、勝つんですよ。基礎票どんだけか知りませんが、現職から市内で1万票、くじってこなきゃなんないんですから」
「一万…」
「10人なら千票づつ、百人でもひとり百票づつ、ひっくりかえさなきゃ、なんですよ。
生半可なことじゃないんですよ」
宮下はあらためて、事態の深刻さを思った。
「とても想像がつかんな。どんな運動をする?」
「いや、まず今は、28日の集会だ」
壁に寄りかかっていた前委員長が、座りなおした。
「この機会に、共民党以外に声をかける。
いろんな人が一つの方向を向けば、今までなかったことが起こるかもしれん。
そもそも今の時点で、今までなかった、考えられん選挙や」
「S党やったら、Jに声かけたら、来てくれんかな。
ダメでも、湊市のS党がどうなっとるのか、教えてくれるかもしれん」
「…M党なら、Kか?」
「電話、知っとるか?なあに、断られて元々や。何でも言うてみい」
「参加者も20人ぐらいじゃカッコつかないですよね」
「なんせ申し訳ないが、俺が行けんもんだから。いや、できるだけ電話するわ」
「僕、チラシ配りますよ。動いてるってだけで、意味ありますよ」
「すんません、遅なって」
作業場の持ち主が、外出先から帰ってきた。
「あー、喉乾いた、これ、いいっすか」
缶コーヒーを開ける。甘い香りが部屋に満ちる。
宮下も、何か、もうひとひねり、ふたひねり、できるような気がしていた。
(第5回に続く)