インドネシアの新幹線、はじめからわずか150kmの距離を結ぶという話だったそうで、見直しは賢明な判断だろう。
現地の技術でできることをする方が、どう考えても国にとってプラスだ。

そういえば、先月末から北陸新幹線の敦賀以西延伸について、「小浜京都ルート」が話題になっている。
うちで読んでいる北陸中日新聞の論調も好意的だ。

最初の言及は、「日経」のスクープらしい。
 日本経済新聞
 朝日新聞
 「タビリス」の見解

以前、とある講演会で、JR西日本の関係者に、「北陸新幹線延伸について、JR西はどんな風に考えているのか」をきいたところ、個人的な見解なのでオフレコで、ということながら、「米原なんかにつないでどうするんだという気はします」とおっしゃっていた。(バラしちゃった…)

アホみたいな暫定フリーゲージトレインという話は別として、
個人的には、湖西線をミニ新幹線化するのが一番いいと思っていた。だが、小浜京都ルートというのも、なかなか妙案だ。

私の考えは、いつも「そもそも論」から始まる。
そもそも、新幹線とは何か。

公共交通には、「早く安全に移動する」という機能面と、建設から人の交流までの「地域振興」という、どちらかというと心理的な面と、ふたつの、かなり相反する「目的」がある。
もちろん双方に「経済性」という掛け算をするわけだが。

北陸新幹線にも、東海道新幹線の「バイパス」としての機能と、
かつて「裏日本」と言われた、北陸地方の振興と、二つの目的があるだろう。

北アルプスに長大なトンネルを掘る「最短距離」プランが、
S時カーブで上越経由になったとき、すでに「バイパス」機能は二の次になったのである。

最高速度にもこだわらず、従って妙に鼻の長い不格好なデザインにする必要もなくなった。
(北陸新幹線のデザインは、おおむね好評だ)

地域振興優先というのは、新幹線の見返りに、「地元負担」と「並行在来線の切り離し」という、重い十字架を背負わせる建設スキームと一体のことであろう。
いわば21世紀に走リ出す新幹線の「運命」である。
さらに、新しい新幹線のニーズの半分は、「非ビジネス客」であるという。
「観光路線」としての価値は、新幹線開業後の、死活問題なのだ。

北陸(観光)振興ならば、若狭は無視できない。
そして、終点とされる新大阪などどうでもいい、近畿三都の東はじにして、日本の観光の総本山、京都へのアクセスこそが大事になる。
さらに、どのルートを取るにしろ、北陸から名古屋へのアクセスには、現状から大した変化は起こらない。

多少距離が長くなっても、到着時間の違いは数分のことだ。他の路線と影響しあわない新幹線の良さは、ここにある。
敦賀から先、魅力的な「駅」を結んでいくという、シンプルな鉄道敷設の原則に従って、「小浜京都ルート」を、私も支持したい。


(画像は、JRの北陸新幹線のサイトより)

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