鬼ごっこをしている恵理と光多が近づいてきた。鬼の光多は懸命に恵理を追いかけているが、二人の距離は少しも縮まらない。恵理がうまく調整しているので、距離が開くこともない。光多よりも恵理のほうが楽しんでいるようだ。
「光多君と遊んでいるときの恵理って、本当に幸せそうね」
貴子が二人を目で追いながらいった。「ねえ、洋行さん。もし私たちにも子供ができなかったとしたら、洋行さんは簡単に諦められる?」
「たぶん無理だと思う。貴子さんも同じだろう?」
「もちろんよ。育てるのは大変だと思うけど、子供はいたほうがいいもの」
「結婚したら、早く子供を作ろう」
「それがいいわね」
そういって、貴子は梅畑を見渡した。「来年の春になったら、ここに家を建てるのね」
「そして、秋には結婚」
「来年は人生の一大イベントが続くわ」
「いまから楽しみだ」
「ついでだから、家が完成したらここで新築祝いもやりましょうよ」
「僕は構わないけど、だれを招待するの?」
「洋行さんの両親に、恵理と恵理の旦那さんと光多君。それに、私の兄と義姉さん。それぐらいかな」
「大事な人を忘れていないか?」
「だれ?」
「貴子さんのご両親」
「いけない。一番大事な人を忘れていたわ」
貴子は舌を出しておどけてみせた。
完
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