築120年の水車小屋に発電装置 むつ・宿野部地区

 

 

                        

            水車(手前)の力を使って発電が始まった水車小屋

 

                       

 

 

 青森県むつ市川内町宿野部地区で、120年前に建てられた木造の水車小屋に手作りの発電装置が設置され、発電を始めた。再生可能エネルギーが注目を集める中、古い水車を活用した発電は珍しく、関係者は「地域の活性化につながれば」と期待を寄せる。
 水車小屋は1893(明治26)年ごろ、旧宿野部村の住民らが建てたという。水車は直径3.6メートル、幅0.5メートル。大正、昭和期に3度の改築や修繕がされた。最盛期に比べて利用は減ったが、今も住民が製粉や餅つきに活用している。宿野部地区会が管理し、市民俗文化財に指定されている。
 水車小屋に電気は通っておらず、地区会長の笹沼正悦さん(62)が地域資源の活用策として数年間、水車発電の構想を温めてきた。今春、元オートレーサーで機械に詳しい地区内の久保田孝さん(69)に発電装置の製作を依頼した。
 発電装置には、使わなくなった自動車用の発電機やバッテリーなどを再利用。水車軸からベルトや歯車で発電機に動力を伝え、蓄電する仕組み。久保田さんが、むつ市内の電気設備会社の助言を受けながら試行錯誤を重ね、ようやく電球1個を点灯できる装置を完成させた。
 住民らを招いて17日、点灯式も開催。今後は装置に改良を加え、発電能力を高める計画だ。笹沼さんは「子どもたちが地域の歴史やエネルギーを考える場になる。地域の振興に役立てればうれしい」と語った。