今日は、義友会(泉ヶ丘高校OB会)である。残念ながら、毎年、28回生(同級生)は殆ど出席していない。義勇会も例外なく高齢化と組織率低下が進んでいる。


 この職に就いて、「良かったな~」と思えることの一つに思いがけない同級生とかと会えることが挙げられる。

 県税・総務事務所の竹ノ内君、福岡で夢市門という居酒屋をやっている美原君、島之浦に住んでいる岩佐さん、神戸の講演会にひょっこり顔を出してくれた新井君、静岡市在住の山内さん・・・・・・・・・いずれも30年~40年振りの再会である。いずれもこの職に就いていなければ一生会うことは無かったと思われる。

 

 突然「俺を、私を覚えちょる?」とか言われると、正直、姿形もかなり変わり、覚えていたりいなかったりであるが、何かしら関わった人物は大体覚えている。


 先日、ある場所で、彼は突然僕の目の前に現れた。彼は、妻ヶ丘中学校時代の同級生であった。日焼けした顔には皺が増し、ボサボサの頭には白い物が目立っていた。彼は、突然の再会に戸惑った様子だった。

 彼は、唇の端に数ミリの笑みを浮かべ、「俺のこと、覚えちょる?」と聞いた。

 覚えていた。

 彼は、中学のとき、体育大会をずる休みし、その罰で、花瓶を持ったまま階段を何度も登り降りさせられていた。その時の猫背がとても印象的だった。というか、その猫背が何故かカッコ良く僕の目に映った。

 多分、僕の猫背はあの時から始まったのだと思う。


 彼は、あの時のままの猫背で、僕にこう言った。「いろいろあるね~。いっつも、テレビで見ちょいよ。でも、俺は、東君、うんにゃ、知事をいつも誇りに思うちょるよ・・・・・・いっつも、皆と知事のことを話ちょる」


 夏になると、何故だか分からないが、同窓会的な気分になる。原爆記念日や終戦記念日、甲子園とかの昭和っぽい式典やイベントがそうさせるのかも知れない。

 彼は、約40年振りに会った割には余り多くを語らなかった。元々寡黙な方だったし、時間が無さそうだった。それよりも、語りたくないという表情の方が優先していた。僕はそれ以上は引き止めなかった。

 彼は、僕と会って数分後、クルリと踵を返した。縒れたポロシャツに作業ズボン、ゴムサンダル履きだった。

 彼は、もう一回僕の方を振り返り、「東君、相変わらず、猫背は治らんね」と穏やかに笑った。


 少しずつ小さくなる彼の猫背を眺めながら、彼が言った「皆」とはどういう人達なのだろう?と考えていた。