「行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張、我に与らず我に関せずと存候」

 何年前だったか、ジョーダンズ三又が主催する芝居「おーい、竜馬!」で勝海舟役をやらせて頂いた。懐かしい科白である。


 県民ブレーン座談会や各団体等から陳情・要望が間断なく寄せられ、地方が抱える行政課題について切実な声が噴出する。

 高速道路、国・県道整備、港湾や鉄道等各インフラ整備、景気・雇用対策、地場産業の活性化、地上テレビ放送デジタル化対策、森林・林業・木材産業の振興対策、中山間地域対策、過疎法・中山間地域等直接支払い制度、地域振興5法、医療・医師確保、介護療養病床の問題、福祉、教育、有害鳥獣対策・・・・・・・列挙すれば切りが無い。


 次の政権はこういう行政課題にどう答えてくれるのか?

 特に、ただでさえ整備が遅れた本県のインフラ整備の更なる遅延・後退は懸念される。相変わらず、今後も、時の政権・政府に、陳情要望合戦を続けて行くのだろうか? いずれにしろ、地方税財源の確保は不可欠である。

 この在り方が変わらない限り、地方の衰退は終わらないような気がする。特に、本県などは、現在の地方政治の状況からも、もっと取り残される可能性もある。


 2大政党制の時代、政党はしっかりした理念・ビジョン・政策を立てて頂く必要がある。そんなことは当たり前である。その政策や理念に共鳴する人が、彼ら彼女らの代表を送り、それによって政策を実現する政党政治は必要であろう。

 地方行政・地方政治は、今後、政権が交代する度に、その政策や理念と向き合って行かなければならない。

 

 地方行政は中央行政とだけ向き合い、戦前のように、政党・政治は無視しても良いのだろうか? 政治主導と高らかに言われれば言われるほど、政治はもっと無視出来ない筈である。

 県民党とは、70年代の革新自治体時代の反動で、80年代に流行ったイデオロギーである。別に、だから悪いと言っている訳ではない。それはそれで重要であろう。

 

 政治を横に置いて、既存の中央の行政制度を巧みに利用することだけが、地方行政の技術なのだろうか? 

 この国は一体どこへ向かっているのだろう? 地方は一体どうなってしまうのだろう? 

 これは、本当に民主主義の発展に必要なコストなのだろうか? 誰かが足を引っ張っている。いや、誰もが足を引っ張っている可能性もある。民主主義の成長と国家や地域の発展の足を引っ張っている可能性だ。

 PHP総合研究所の江口氏から、励ましのお手紙を頂いた。

 「行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張、我に与らず我に関せずと存候」

 と書いてあった。有難いことである。