1・15(火)文化人類学の最後の授業だった。先週8日(火)に既にレポートを提出し終わっている割には、以外に受講生が多かった。通常、レポートを提出した授業はもうそこで終わりだ。出席を取らないなら尚更のことだ。しかし、この授業は違った。そのことについては、先生もビックリしていた。それは、偏に彼の授業が興味深く面白いことに起因する。 最後の授業で感動するかなと思ったが、残念ながらしなかった。 ケチがついたのだった。 思えば、この授業は、最初の講義要綱に「出席重視」と書かれてありながら、出欠が全く取られなかったり、年度初めの時のレポートに関する説明と後期になってからの説明に多少の食い違いがあったりした。 しかし、そんな小さな矛盾点は授業の面白さで帳消しになっていた。しかし、最後の最後に来てケチがついた。 以下そのことについて説明するーーーーまず、レポートの提出日である。 レポートの提出日は1月8日(火)教場提出、厳守(普通は、10、11日、事務所提出)とされた。 8日は今年の学校の授業の始まりの日、冬休み明けの初日。 皆、さぞ、冬休み・正月返上でレポートの執筆に余念がなかったと考える。 この提出日は勿論先生が決めた。 決められたルールだから、学生は否応無しに従わなければならない。 それは学生としての義務だ。 ここまでは良い。 問題はここからだ。 そして、昨日最後の授業の15日。 先生が信じられないことを口にした。「今日、レポートを持ってきた人はいますか?」 すると、もっと信じられないことに、何人かの学生が手を挙げた。 8日厳守じゃなかったの? どういうこと? つまり、彼らは厳守のルールを破ったのだ。 しかも堂々と・・・・・・・しかも、手を挙げている。 じゃぁ、死ぬ思いで期限を遵守した僕らは一体なんだったんだ? とプチンと切れそうになったが、まっ、何と我慢した。 さぁ、問題はこれからだ。 先生がその彼らに「今日、レポートを持って来た人は、立って下さい」と注文したのだ。 そして、僕ら(立っていない学生達、つまり提出の期限を守った学生達)にこう言ったのだ「あなた達にお伺いします。このルールを守らなかった人達を許していいですか? 許していいと思う人は手を挙げて下さい・・・・・・」 「何を言ってるんだ? この先生?」そう思った。 辺りを見まわす。誰も手を挙げない。 当然だろう? 誰が手を挙げられるだろう? 先生が続ける「じゃぁ、レポートは、受けつけますが、なんらかのペナルティを加えた方がいいと思う人は手を挙げて下さい・・・・・・例えば、点数を低くするとか・・・・・・・・」 誰も賛成の手は挙げない。 当然だ。そんな邪悪なことができようか? そして、先生は、信じられないことに、こう続けたのだ。「みんな、許してくれるそうだから、今、立っている人は、座っている人達に謝って下さい・・・・・・それは、ルールを守らなかったのだから当然ですよね・・・・」と。 おい、おい、待て、待て! 以上のことについて、ロジックとして物凄くおかしくないか? 一見正当な民主主義の情景であるかのように思えるが、とんでもない!   読者の皆さん、よ~く、考えてみて下さい。 そもそも8日の提出日(絶対厳守)をルールとして決めたのは、先生本人です。 先生の独断です。 我々に相談があった訳でもなく、我々が話し合いで決めた訳でもありません。つまり、ルールを決めたのは先生であり、そのルールの変更権は絶対的に彼にあるのです。 いや、彼にしかないのです。 つまり、僕らに変える権利はないのです。 もしあるのなら、最初からその権利が認められるべきだったのです。 提出日を8日にする時から、僕らのコンセンサスを得るなんらかのリアクションがあってもよかったのです。 でも、実際は無かった。 無かったことをとやかく言っている訳ではありません。 学生は、先生がルールを決めることに暗に同意しているし、それが大学全体のルールであるからです。 しかし、ここで、あたかも「皆さんの意見を聞いているんです」と言っているかのようであるが、単なる責任の摩り替えで、稚拙なトリックにすぎません。 実はここでルールを変えているのは先生なのです。 「今日、レポートを持って来た人は?・・・・」と言った時点で、8日提出厳守のルールを反故にしているのは先生なのです。 なのにどうして、立っている人は僕らに謝らなければならないのでしょう? 本来なら「もう、受けつけません」という毅然たる態度で望まなければならないはずなのに、「どうですか? 皆さん許してもいいですか?」と我々に同意を求めているのです。 そして、あたかも僕らが、立っている人に審判を与えているような状況を捏造してるのです。 ご~まんかましてよかですか? 「あんたが最初からルールなんだから、あんたが決断すべきだ! そして、もし、ルールを変更するのなら、つまり、彼らの一週間遅れのレポートを受け付けるのなら、あんたが、ちゃんと提出日を守った学生に謝るべきだ!」 どうでしょう? 僕の意見は・・・・・間違っているでしょうか? 本来なら、教場で意見すべきだったのでしょうが、時間の関係でプロテストできなかったので、この場を借りて言わせて頂きました。 あしからず・・・・・・・彼は、最後にこう言いました「大学では好きなことを見つけてどんどん勉強して下さい。 でも、あんまり勉強しすぎないで下さい・・・・・大学院なんかにいって、余り研究に没頭しすぎると、偏狭になり、視野が狭くなり、周りの物が広角的に見えなくなります。 そして、公正な判断ができなくなってしまいます」「できてないのは、あなたです!」そう心の中で突っ込んだ今日の僕だった。 尚、以上のことについてご意見、ご感想、ご質問等ありましたなら遠慮なく、BBSの方までお願い致します。