学校の後藤君から、約2ヶ月振りに突然電話があった。「御無沙汰です」「お~、御無沙汰!何やってんの?」「今、東さんとこの事務所の前を歩いています」「あっ、そう? じゃぁ、寄りなよ」「いえ、寄れないんです」「どうして? 駅から歩いてきたの?」「いえ、違います」「どっから、歩いて来たの?」「鹿児島から・・・・・・」「え? ど、どこって?」「鹿児島です」  聞けば、夏休みを利用し、約40日間かけて鹿児島から東京(W大、大隈講堂)まで歩いている最中なのだそうだ。後もう少しでゴールなのだ。 何か、その話に感動した。いいね~若いって。 大学入学時まだ幼さの残る18歳の少年だった後藤君が、一つ一つ大人になり、逞しく確実に成長して行っている。 そうだ、僕も、その昔、東京から郷里の宮崎までバックパッキングで歩いて帰ったことがあった。途中何箇所か汽車を使ったが、殆ど歩いた。特に、山陰地方が思い出に残っている。名前は忘れたが、とある小さな漁村で網引きのバイトをした。その時、捕れた魚をその場でそのまま煮炊きし食べた。意までも忘れない最高の味だった。出雲では、流浪の女学生に恋をした。 萩・津和野で野宿していたら所持金を一部盗まれた。 少しずつそういう経験をして英夫少年も大人になって、こうなってしまった。