奇才、松尾スズキ氏が主宰する劇団「大人計画」の公演を、赤坂の草月ホールに観に行った。何を隠そう僕は、「大人計画」が、下北沢の小さな劇場で細々とやっていた当時からの隠れファンなのだ。この劇団からは、僕と同郷の個性派俳優、温水洋一氏らが巣立ち、最近では、作家の宮藤官九郎氏がブレイクしている。もう10年以上前からの隠れファンなので、この劇団の公演だけは、一般と同じくきちんと並んでチケットを購入する。今回の公演も当日券売り場に並んで買った。そしたら、何と3階席。この3階席というのが、客席という代物ではなく、天井周りのキャットウォークに臨時に席をこしらえたものであった。僕の直ぐ横には照明用のでかいライトがある。ライトの熱で、暑くてしょうがない。舞台はほとんど真下を見下ろす感じ。高所恐怖症の僕には堪らない! 真上から、それも振るえながら芝居を観るのは生まれて初めてである。この座席にも驚いたが内容にも驚いた。主演は荻野目慶子さん。そう、最近某監督との禁断の愛をカミングアウトした、かの荻野目さんが、舞台で突然素っ裸になったのだ。一瞬、目を疑った。何かの事故か、ミスかなと思った。でも違った。オッパイプリンプリンのまま淡々と芝居は続いている。ちゃんと台本通り、演出通りに彼女は脱いだのだ。脱いだだけではなく、四つん這いになり、お尻の肛門を松尾氏に向け、それを松尾氏がシゲシゲと眺めているのだ。一体、どういうシーンなんだ? と思いきや、松尾氏は、荻野目慶子さんのお尻をじっと見つめ、突然、「うんこは情報の泉だ!」と叫ぶ。この奇抜さが、まさに松尾ワールドの魅力なのだ。