【「プロ野球キャンプ時の民泊特区」申請を!】

プロ野球のキャンプがいよいよ始まった。それは合わせて宮崎が全国でいちばんメディア に取り上げられる月の始まりを意味する。今年も、新生・福岡ソフトバンクホークスはもちろん 清原や上原が注目を集めそうな巨人、そして後半には新球団・楽天イーグルスも来県して ますます盛り上がってくるだろう。 プロ野球のキャンプも海外が減り、高知も阪神以外は撤退したことで事実上は宮崎と沖縄 の2県に集まってきた。これで事実上“棲み分け”ができた気もするが、相手は最強の沖縄 だ。米軍基地の問題なども抱えていて、なんといっても政府が応援団に付いている。万一、 巨人が沖縄にでも行ってしまえば、また勢力図は大きく変わる可能性もある。決して安穏と していてはいけない。

しかし昨年からの球界改革の中で、「ファンサービス」が重視されつつあることは宮崎には 追い風にはなると思う。飛行機でなければ訪問できない沖縄に比べれば、宮崎は自家用車で 少なくとも九州一円からは訪ねて来ることができ、繰り返し訪問することも可能だ。また、宮崎市 観光協会なども名産品や郷土料理のコーナーを練習場周辺に設けるなど積極的な施策を実施 している。 しかしキャンプに来た観衆が観光客になりうるかというと、これはなかなか難しい。確かに統計的 には「観光客」に該当するが、実際は高速を降りて野球場周辺で過ごして高速で帰ってしまっては ただ単に統計に貢献した以上のものがない。どう街や地域に取り込んでいくか、が鍵となると 思う。

以前このメルマガでも書いたが、私は観光のキーワードは地元の人との“顔の見える交流” だと思っている。確かにキャンプは「選手を見に来る」のが目的なので、地域との交流は、 なかなか見出しにくい。そこで、私は「プロ野球キャンプ時の民泊特区」を提案したい。 一般的に料金を取って不特定多数の客を宿泊させると「旅館」として旅館業法や食品衛生法の 適用を受ける。これらの適用を受ければ、客室は5室以上。台所とは別に調理場が必要になる など極めて多大な設備投資を必要とする。 一昨年4月に一部その規制が緩和される「簡易宿泊所」の定義が広がった。しかしその対象は 「農産漁村滞在型余暇活動」いわゆるエコ・ツーリズム、グリーン・ツーリズムとといわれる農山 漁村での体験を主眼としたもので、都市部では、国体などで特別に需要が逼迫する場合を 除いて認められていない。

しかし、昨今低料金のビジネスホテルも増えたとはいえ、2月がホテルがなかなか逼迫する。 確かにうれしいことだが、野球以外のビジネスも当然存在しており、野球が理由にホテルが取れ ない、というのはあまり好ましいことでもない。そこで、市民が格安で県外から来た野球ファンを “民泊”させられる仕組みがあれば県外客には多くの需要が考えられるのではないだろうか。

例えばダイエーファンなら、ダイエーファンを条件に民泊希望者を募ればいいし、巨人ファンなら 巨人ファンを募集すればいい。観光協会などがホームページなどをデータベース化して紹介など もしても良いだろう。ファン同士なら話にも花が咲き、一緒に球場に行ったり選手御用達の 食堂や観光地なども案内したりも出来るだろう。また、利用者が福岡などに戻った後も、 公式戦を見るために宮崎から逆に訪ねて一緒に応援するなどの交流が生まれるのでは ないだろうか。

具体的には野球キャンプ時には民泊希望者の住居を「旅館業法上の簡易宿所」に位置付ける。 これにより面積や台所の規制などが大幅に緩和される。これにより、料金を収受しての宿泊が 可能なようにする。 もちろん食事や宿泊部分がある程度の質を確保される必要はあるので、認定制度などを 設ける必要はあるだろう。また、既存の旅館業に影響が及ばないように野球応援者以外は マスコミも含め利用は認めないなどの措置も取る必要もあるだろう。 とにかく、このような人的交流こそがキャンプを“観光資源”として活かす道だし、それが 沖縄に負けないキャンプ地としての独自性を出すことにもなる。しかもこれは特に莫大な 投資も必要ない。

キャンプが終了すると、毎年“経済効果”が発表される。これは多い年では100億円などと いわれるが、現状でそんな莫大な額の経済効果を実感できている人など宮崎県民に1人 もいないのではないだろうか。第一、そんな効果が本当に毎年あるならば、宮崎の観光は こんな惨状にはなっていないはずだ。 そんな雲をつかむような数字よりも、市民一人ひとりが「私たちでお迎えする」といった気持ちで 参加できる「宿泊特区」ができれば、よほど県民も実感が持てるのではないだろうか。 それこそ沖縄との差別化にもなり、新