先日、僕の高校(都城泉が丘高校)の6年後輩で、早稲田の大学院修士過程を終了し、今は淑徳大学(北野大先生がいる)で、言語学の助教授をしている松永修一なる人物と飲んだおり、彼から1冊の本をもらった。その本とは、彼が書いた『やっちょんな宮崎人』というタイトルの方言の本である。それを読んで思わず笑ってしまった。中身全部が方言のオンパレードなのだ。そして、自分でも怖かったのが、その殆どを理解できたことであった。さぁ、ちょっと、ここで我が地方の方言をご紹介しとこう。折角だから、クイズにしてみようか? 
 問1、つぶれじん  問2、あんまいかかじんなよ  問3、こんちなてげなあんどした  問4、かざがすいがね  問5、ぐらしい  問6、びんたがやんかぶっちょい  問7、じばんぬけしんめきちょい  問8、ぬさいっきじじらをゆがね  問9、なんとんしれんこっばかい  問10、べぶんびんたにばぶたがとまったがね  問11、そげんこまごつゆやんな  問12 ひったまがった・・・・・・・・・・・どうだろう? やっぱり僕は外国人だ。これらの言語が全部初見で分かるのだ。中でも、圧巻だったのは、「ひんつけラッパ」 これには、大笑いした。これは、「かっこつけたがり」という意味である。他に同じ意味で「よかまねしごろ」というのがあるが、これは本では紹介されていなかった。蛙も「びっきょ」だけで「わっどびっきょ」は紹介されていなかった。まだまだかな?って感じだよ! う~ん、松永君! 本の中には、僕が20数年前作ったネタもあった。田舎から出てきて、東京で女の子をナンパした時、「お嬢さん、僕とさるきませんか?」と誘ったのは何を隠そう僕の友人なのだ。「さるく」とは「あるく」という意味である。「私、猿なんかじゃありません」と言われたのが、当時のネタ。
 さぁ、それでは正解です。 問1、青タン(殴られてできるやつ) 問2、あんまりかく(かゆいとこをかく。ひっかく)なよ 問3、これにはたいそう飽き飽きした  問4、臭いがするよね  問5 かわいそうだ  問6、頭(髪)がボサボサだ  問7 シャツ(肌着)を逆様(裏表反対)に着ている  問8、あの人は直ぐに文句(無理なこと)をいう  問9、ばかみたいな(無意味なこと、無駄なこと)ことばっかり 問10、牛の頭にトンボがとまったよ 問11、そんなにわがままを言いなさんな  問12、おどろいた・・・・・・・・以上。諸県地方以外の皆さんは何問くらい分かっただろう? しかし、方言とは不思議な言語手段である。こう言う言語表現は標準語に直訳できない独特のニュアンスがある。言語は、思考の代弁とも言われている。言語とは、その人の考え方や思想まで左右し支配する大切な要件なのだ。その地方地方の重要な文化でもある。こういう文化を大切にしていきたいものだ。因みに、僕らは、東京に上京したころ、視覚的に対象物を捉えると、頭の中にまず上記のような言語(方言)が浮かぶ。それを一つ一つ標準語に直して言語化していたのである。つまり頭の中で通訳するのだ。そんな作業を繰り返し、訓練していく内に、無意識に共通言語が喋れるようになっていったのである。言語のグローバル化もいいが、僕の小説『ゆっくり歩け・・・・・・』にも書いた通り、自分が育った地方の方言を忘れるということは、故郷つまり自己のアイデンティティをも忘れるということなのだ。大切にしていきたいものだ。