大竹まことさんと目黒区・碑文谷にあるゴルフの打ちっ放し場に行った。確か、スウィング碑文谷とかいう名前である。行ったというより、僕はただ観ていただけだったが・・・・・
 大竹さんから「どこで会う?」と聞かれ、碑文谷を指定したのは、僕だった。
 
 夏の昼下がりの打ちっ放し場は奇跡的に気持ち良かった。予想通りだった。これに会いたかったのだ。
 昔、最も好きな場所だった。というか落ち着く場所、癒される場所だった。それも、夏の昼下がりの打ちっ放し場が、一年の中で最も好きだった。
 遠くに蝉の声。そよ風。誰かのボールを打つ音。抜けるような青空。夏の練習場には、暑さのせいか、余り人がいなく、都会の喧騒の中でそこだけがいつも別世界・異次元の空間だった。
 
 碑文谷の打ちっ放しは何年振りだったろう? 98年10月(自主謹慎)までは、毎日のように行っていた。
 練習場の横に小さなバンカー用練習場がある。打ちっ放しに来たのに、そのバンカーに午後ずっといて、さんまさんに「お前、おかしいで~!」と突っ込まれたことがあった(笑)。
 あの頃、僕の居場所は、仕事場より練習場だった。
 
 大竹さんが打つのをずっと眺めていた。「お前も打ってみたら?」の誘いに、ちょいと乗っかった。
 クラブを手にするのは何年ぶりだろう? 確か、3年前くらいにちょっと手にしたことがあったっけ? それくらいである。随分軽く感じられた。 今はクラブセットも持っていない(笑)。
 
 当然、当たらないと思った。アディダスの雪駄にグローブも付けず、2・3回素振りして、アドレスをした。あの頃と同じ、ルーティンワークだった。周りのお客さん達が僕に一瞬注目するのが分かった。
 とても懐かしい感覚が蘇って来た。これでも、昔、オフィシャルハンデ3のプレイヤーだった。所詮、昔取った杵柄であるが・・・・・・・・
 
 スウィングをした。身体はぶれなかった。球はきちんと見えた。 次の瞬間、白球は、クラブのヘッドにきちんと弾かれ、番手通りの弾道を示し、青空に舞った。いい球筋だった。あの頃のように緩やかに糸を引いていた。
 大竹さんが驚いて「お前、いいじゃないか? 本当に、お前、やってないのか?」。ちょっとした疑いと嫉妬の眼差しである。僕自身も勿論、その球筋を疑っていた。
 
 長く長く、身体に覚え込ませた技術は、もしかしたら、例えば、自転車乗りのように忘れないのかも知れない。
 勿論、聊か下手にはなるのだろうが・・・・・・・ゴルフも趣味としてはたまにはいいかもな、と思った。
 
 最近、時々、ゴルフの夢を見ることがあった。今年の全英OPを、見るとも無く、偶さか観ていて、タイガーウッズのどんなときも崩れないあの強固なルーティンワークに注目していた。
 夢を見たのは、そのせいかも知れない。タイガーではなく、ルーティンワークの夢だった。おかしな夢である。
 
 練習場では、ほんの10発程度しか打たなかった。しかし、今日になって左肩・左腕が痛い。どうやら、今でも、正しい打ち方をしているようだ。
 そして、正しいルーティンワークをしているようだ。ただ、ゴルフに関してはね・・・・・・・・・