先日、三軒茶屋の安部さんという若い女性から、突然事務所に電話があり、僕に連絡を欲しいと言うことだった。 三軒茶屋の安部さん? はて? 一体どこの誰だろう? それにしても、僕に直接でなく、何故事務所に連絡を? もしや? 最近流行りの「隠し子発覚?」 あるいは「愛人発覚?」「10年前に産んだ子がこんなに大きくなりました!」なんて、ランドセル背負った子供を連れて来られたらどうしよう? ドキドキこわごわ、早速安部さんに電話した。1回のコールでいきなり若い女性が出た。「出た!」僕は、心の中で叫んだ。「はい、アコム、三軒茶屋支店です!」「え? アコム? そ、そちらに安部さんという方いらっしゃいますか?」「はい、私が安部です」「僕、そのまんま東と申しますが、今日、事務所の方に電話を頂いたそうで……」「あ、そのまんま様でいらっしゃいますね」「はい! 一体、なんでしょう?」「あのう、先日、我社の会員にご登録頂きましたよね?」「は?」消費者金融のアコムにお世話になったことは無い。「いつのことですか?」「えっと、1996年、五反田支店に御登録頂いたと思うのですが……」記憶をたどってみる。思い出した。確かに、7年前、消費者金融が社会問題になっていた頃、社会勉強と興味本意(自動登録機の中に監視員が入っているという噂があった)で登録だけした。「先日って、7年前じゃないですか?」「はい。あの時、粗品をお渡ししていなかったので、今回こうして御連絡差し上げた訳でして……」訳でしてって、7年もたって……それは結局、新規の再登録の勧誘だった。しかし、消費者金融が、顧客の獲得に必死なくらい、この国の不況は深刻なのだなぁ、とつくづく実感した次第である。