20日(土)劇団「東京ティンティン」の芝居を、山ちゃんと松ちゃんを誘って早稲田ドラマ館に観に行く。今回で2回目。残念ながら今回は、あのシュールなチン出しは無かった。主宰の本田君に聞くと、「今回は敢えて、出さなかった」と言うことだった。それでも、おばちゃん(僕が勝手にそう呼んでいる女優さん。名前は分からない)は、日本人のエリートサラリーマンに恋する日系の黒人女性の役で、とてもノリノリだった。きっとウーピーゴールドバーグあたりがお気に入りなのだろう。実は、彼女とは、先日早稲田の学生会館で偶然会った。その時パンフをもらったのだ。その後、地下鉄の九段下の駅で、便所を捜していたら、またまた、偶然会ったのだ。きっと、何かの縁なのだろう? 
 芝居が終わって、主宰の本田君らを飲みに誘った。早稲田のリトルデヴィ夫人と言われ、スキャンダルの女王の名を欲しいままにしている、F・J・YURI嬢の家で、今期3回目の「お好み大会」である。YURI嬢のマンションは、それなりに広いのだが、築30年以上経っていて、彼女の部屋は9階建ての4階部分なのだが、何と雨漏りがするという不思議なマンションなのだ。そして、最大の欠点は、冷房が無い。おまけに風通しが悪い。夏の夜は地獄である。 でも、元来僕は冷房が苦手なので、あの部屋を大変気に入っている。というのも、あのマンションの所有者が、僕が「アキト」と言う一人芝居をやった時、そのアキトを世に出した歌人・窪田空穂(うつぼ)先生のお孫さんなのだ---(因みに、窪田空穂先生のご子息、つまり所有者のお父様は早稲田大(文学部)の教授である---そんな不思議な縁もあって、あの部屋を大層気に入っているのだ。彼女は、所有者の教授親子相手に、あきんどのような顔で「そいで、部屋代、なんぼに勉強してくれんねん?」と生粋の大阪弁で値切ったのだそうだ。教授親子は困惑の表情を浮かべながらも、11万円の家賃を9万円にしてくれたのだそうだ。恐るべし、YURI嬢大阪魂である。 
 扇風機の生暖かい風をまともに受け、汗だらだらでお好みを焼くと、一昔前の大阪の下町チックでとてもいい風情なのだ。半分、破れたスダレ。飛び交うべたべたの大阪弁。鳴らない風鈴。汚れた煎餅布団。奥の和室は畳がはげかけ、蛍光灯が壊れていて点滅している。押し入れの奥はどうなっているのか謎である。まだ、誰も覗いたことはない。僕は、そこを「千と千尋の神隠し」と呼んでいる。そこの前で、寝ると皆不思議な夢を見るのだそうだ。ほら目を閉じて、耳をすませてごらん、不思議な国の不思議な物語がきっと見えてくるよ・・・・ラララララ~ラララ~・・・・・
 全体として、とても女性の部屋とは思えない風情もまたおかし。因みに、YURI嬢は、この部屋でボーイフレンドと何度となく同棲を試みるが、彼氏は直ぐに出て行ってしまうのだそうだ。出て行くと言うより、きっと神隠しに遭うのだろうと僕は思っている。。因みに、彼女は、最高に長く男性と付き合ったのは、3ヶ月で、1クールの「連ドラ娘」と言われている。また、最短、2時間で別れた経験もあり、「火曜サスペンス娘、略して、火サス嬢」とも異名を取っている。
 その彼女の部屋に、東京ティンティンの個性派メンバー3人。山ちゃん、松ちゃん、大森クンちゃん・・・・・・・・それに、土曜日は、現在城西大学陸上部監督で、日体大の大学院生でもある平塚君が加わり、まさに個性派揃いの、文字通り、千と千尋の神隠し的「お好み大会」であった。平塚君や僕は、それなりに暑さには慣れているが、劇団主宰の本田君などは、ちょっと太りぎみの身体付きのせいか、雨に打たれたように汗をかき、まるでマラソンの30キロ地点のようにゼイゼイ言いながらお好みに必死に食らい付いていた。それでも、彼は、19000円のアパートで暮らしているらしく、YURI嬢の部屋をやたら広く、豪華に感じていたみたいだった。一見、ばらばらなメンバーのようだったが、それぞれに目標や夢を持った個人で、とても楽しく有意義な時間と空間だった。 時間はあっという間に過ぎ、それはまるで神隠しにあったようで・・・・・・・・いつのまにやら、眠ってしまったらしく、ふと目が覚めると、そこに、顔無しにそっくりの高橋君が立っていた。 キャァー! ラララララ~ララァラ~