高橋君の質問ー「今度の選挙結果も含めて国政についての東さんのご意見を伺いたい・・・」遅くなりました。できるだけ、簡潔にお答え致します。 今世紀初めての先の国政選挙は、国の指針や、あるべき国家像を有権者に問う、とても有意義な選挙だったように思います。同時に国民の思想性や民度も試された選挙でした。そして、その劣悪と低下が今更ながらに証明された選挙でした。  結果はご存知の通り、自民党の圧勝に終わりました。原因は、現在の国民の間に何となく充満している閉塞感。そして不平等感。 「不当な利益を得ている人がいる」と不満を感じている有権者の多くが、変化を期待している。 言葉を変えると、公的部門に対し、多くの人が、ある種の胡散臭さを感じている。公益の旗を翳してはいるが、実態は国民の血税を使って、自分達の利益だけを追求している・・・・・・・だから、そんな社会を何となく、変えてくれそうな自民党(小泉内閣)に漠然とした最後の期待を込めた証左が今回の結果と言えるでしょう。  結論から申しますと、小泉自民党の、完全改革は不可能でしょう。 今回の選挙で、選ばれた自民党内の改革抵抗派、並びに保守派が強力な抵抗をし、改革はやがて失速するでしょう。それは、次の予算委員会を見れば、一目瞭然でしょう。ちょっと目先のこと、表面的なことは変ったように見せかけるでしょうが、本質的なことは何も変らないと思います。一度既得権益を掌握した者が、おいしい蜜をそうそう簡単に手放す筈がありません。 彼らは、利益と権力を得る事のみに執着しているのです。死守するに決まっています。そもそも、改革が実現可能なら、先のKSD問題、機密費問題などとっくに解決と改革のメスが入っているはずです。ところが、何もなされていない。外務省の予算は去年と同じ、機密費の予算もいけしゃぁしゃぁと組み込まれている。 行政の倫理観を疑います。 こんな、民意を無視した政治は他に例を見ないでしょう。今度の選挙における、自民党の公約には、改革反対派の抵抗に合い、「特定財源の見直し」「郵政三事業の民営化」などの項目が列記されていませんでした。 この事実からもお分かりのように、改革は無理なのです。 恐らく、するつもりもないでしょう。 「道路特定財源の見なおし」について・・・・・・・これ以上、整備新幹線や地方の高速道路が必要でしょうか? 僕の地元(宮崎)の高速道路、僕はそこでたった一台も擦れ違わずに宮崎・都城間を走ったことがあります。 まるで、僕の専用道路のような気がしました。 それらを造るのにも、維持するのにも、一体いくらの予算がかかるでしょうか? 新しい雇用も生むとか景気対策なんて悠長なことを言ってる場合ではありません。  社会資本整備を牽引する時代はとっくに終わったと思います。 郵政三事業は2003年に公社化することは既に決定していますが、その先は「その時、考えましょう」と玉虫色。 完全民営化なんてできる訳が無い。もししたとしも、財政投融資(国民の郵便貯金)の不正な使い道を完全にクリアーにしてからだと思います。でも、恐らく完全には不可能でしょう。本州四国連絡橋公団などは、永遠に採算がとれないのですから。 郵政族は利益維持と保身に全力を尽くすでしょう。 その他、官僚の天下り先である、財団法人や特殊法人なんて77もある。その、ほんのちょっと、どうでもいい所は廃止や規模縮小、民営化になるでしょうが、殆どはこのまま残るでしょう。 予算消化主義、前例踏襲の既得権益を守るためだけの利権型政治は尚も続くでしょう。ガバナビリティの決定的欠如、そういう政治家を国民が選んだのだから仕方がありません。 無思考者達がチャンネルを支えるように、政治を支える。 本当に国家存亡の危機です。 そして、誰かが、心の中で赤い舌を出している。そいつらに投票した愚かな国民と言う図式。まさに衆愚政治。         他に、財政赤字の解消では、今後数年のうちに、消費税は10~15%に引き上げられるでしょう。全体のπが変らない時代においては、その分配をどうするかが問題なのに、πを拡大しようとしている。  全く理解できない。 不良債権処理も結局は直接消却しか無いでしょう。 完全処理はまず無理。結局は、国民の税金に頼るしかないでしょう。  首相の言う「痛みの共有」とは、どうやら、一部の特権階級を除いた国民全員の痛みらしい。 何となれば、 我々健気でいたいけな国民は一体どんな悪事をしたと言うのでしょう? 景気対策も、量的金融緩和を本気でやれば、景気は回復する可能性が大。しかし、やらない。国は、どうやら、1割の金持ち(勝ち組み)と9割の貧乏人を造りたがってるらしい。 一部には、もう補正予算による財政出動を謳っている政治家もいるらしい。信じられない。そいつに投票したのは一体誰なんだ? 投票した有権者や団体も公表して欲しいものです。見てみたい。先にも述べましたが、小泉首相の「改革の為には、痛みを共有する」発言。全く意味不明です。利益を得られる人と得られない人の格差を拡大する今の政策で、競争に負けた人は痛いよと言ってるだけ。勿論、理念においては、競争優先、効率重視であることは間違いありません。確かに、報酬の差は、生産活動を動機づける手段にはなりますが、この社会は、報酬をぶら下げ、失業という恐怖を暗示しなければ生産が確保されない、下等な社会なのか? ということです。 また、痛みを蒙った人のセイフティネットは如何なものか?  雇用の拡大、社会保障制度の充実? ワークシェアリング? 言っていることは立派です。勿論、学者の机上のロジックですから・・・・・・・できるものなら、して見なよ! と言う感じです。 本当に期待しますって感じですけど・・・・・・まぁ、十中八九不可能でしょうね。 そんな美辞麗句を並べる前に、アジア諸国の国民感情を重視し、閉塞的な外交をしたくなければ、靖国神社には参拝するべきではないでしょう。日本遺族会などが支持母体だから致し方の無いことだと思いますが・・・・・・・・・・ 僕個人的としては、参拝は賛成です。今日の我が国の繁栄と幸福が、先の戦争の尊い人命の多くの犠牲の上に成り立っていることは自明であるからです。 ならば、8月15日を避けるとか、一人でそっと行くとかの策を講じて欲しいですね。  その他、米国のミサイル防衛構想問題、京都議定書の批准問題、沖縄の基地、地位協定問題等も、とても消極的な外交が繰り広げられています。これらなども今の内閣では、改革や是正は無理でしょう。大体、アメリカって何なの?  CTBTに批准していないのは米国だけですよ。まぁ、アメリカについてはまたの機会で・・・・・・・・・ 纏めると、以上のように、小泉内閣の改革は、完全なる改革としては恐らく実現不可能でしょう。構造改革とは、全ての既得権益を無くすことと言っても過言ではありません。 果たして、常識的見地から、そういうことが実行可能でしょうか? 改革が必要だという「総論」と身内を守るという「各論」は永久にパラレルだと思います。       そして、それら実行不可能な党や政治家を選んだ、無自覚で無思考な我々国民に、そのうち最後の審判が下されることになるでしょう。しょうがないですね。          それは、「自由」を最大限保障し、「個」を尊重する、因果関係に支配された近代合理主義の必然の結末とも言えます。しかし、人類には英知という最大の武器があります。これまでの人類の歴史や経験の総体から新しい価値観を構築し、模索する復と無い契機に恵まれたとも言えます。そのユーティリティの模索の義務と権利は我々国民に依存されていると言えるでしょう。 それから、高橋君の第二の質問「大仁田候補についてどう思われますか?」 について・・・・・・・・彼の第一の公約は、「教育改革」でしたよね。しかし、残念ながら、彼の口からその具体的政策やビジョンは聞こえてこなかった。その彼に、40数万人が票を入れた。信じられません。 教科書問題をどうするのか? 現在のゆとり教育の弊害をどうするのか? 授業時間の削減、授業内容の大幅削減問題、 文部科学省の初等中等部局の強さの是正、学級崩壊、 不登校児問題、国旗国歌問題、学校の安全対策 等々、問題山積です。 教育問題というのは実は最も難解で複雑な問題であるにも関わらず、堂々と「教育改革」を謳う、彼の勇気に敬意を表しました。 その前に、彼は、まず、どこまで、政治のことを理解しているのか? そして、教育制度をどこまで理解しているのか? どういう政治思想と教育哲学を持っているのか?  甚だ疑問、いや、未知数ですね。 まっ、ごたごた御託を並べる前に、ちゃんと学校へ行け! ということですかね。確か、明治だったと思いますけど、大学で十分勉強してからでも遅くは無かったのではと思いますけどね。 あれじゃぁ、そこいらのタレント候補と差異が無い。 「ファイー!」で世の中が変れば、こんな楽なことは無いのですが・・・・・・・彼は、これまで、何度となく、プロレスを辞めると言って、その公約を波棄しております。 今度は、そういったことがないことを祈るのみです。                以上、高橋君へ。