コルヒチン
保険適応疾患
1、痛風発作の緩解及び予防
2、家族性地中海熱
痛風では、
析出した尿酸塩結晶がマクロファージに取り込まれ細胞内オルガネラの損傷を引き起こす。
→NLRP3 インフラマソームが活性化
→強い炎症が惹起(痛風発作)
家族性地中海熱では、
NLRP3 の関連分子であるピリンをコードするMEFV 遺伝子変異によりインフラマソームが活性化され,自己炎症が生じる。
効果のある疾患
好中球の関与する病態に有効
ベーチェット病
全ての症状に効果的 通常1mg 2× 適宜増減
特に結節性紅斑・粘膜病変・関節炎に◎
ベーチェット病の皮膚粘膜病変診療ガイドライン
口腔内アフタ:推奨度B
主要臓器病変を有さない例について勧める。
外陰部潰瘍:推奨度B
投与することを推奨する。
結節性紅斑:推奨度B
一定の効果はあるが治療対象によってその効果が異なる可能性がある。ベーチェット病の治療薬が少ないことも勘案して投与を推奨する。
ベーチェット病でも、
病因の一つに自然免疫系であるインフラマソームに注目が集まっている。MEFV遺伝子変異が高頻度に検出され、病態にNLRP3 インフラマソームが関与している。
その他、Sweet病、遊走性結節性紅斑、膿疱性乾癬、再発性多発軟骨炎、後天性表皮水疱症などの水疱症、壊疽性膿皮症、蕁麻疹様血管炎、限局皮膚硬化型全身性強皮症の異所性石灰化など
用法用量
副作用
強い毒性を持つ
(ヒト致死量は0.8mg/kgとされるが、これ以下での死亡例もあり)
コルヒチン中毒では
摂取後2〜24時間で激しい消化器症状
数日で骨髄抑制、多臓器障害
7日目以降に脱毛
代表的な副作用として、下痢(用量依存性)
長期内服では、再生不良性貧血、顆粒球減少、血小板減少などの血球減少、末梢神経障害
その他、脱毛、CK上昇、横紋筋融解症
微小管障害による細胞分裂阻害作用のため、細胞分裂の盛んな臓器を障害しやすい。
末梢神経障害は、タキサン系と共通で微小管阻害による軸索輸送障害。
腎機能に応じて減量が必要。
抗HIV薬、マクロライド系抗菌薬、シクロスポリンなどの併用薬に注意。
10〜20%が尿排泄で、
肝代謝酵素CYP3A4により代謝される。
CYP3A4を阻害する薬(抗HIV薬、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬)、P糖蛋白を阻害する薬(シクロスポリン)と併用するとコルヒチン濃度が上昇することがある。
肝腎機能低下時には副作用出やすいので要注意
禁忌
胎盤通過性があるので、妊婦には禁忌。
しかし家族性地中海熱では妊娠、授乳中も継続するよう推奨されている。
ベーチェット病の男性で精子減少症の報告あり、
催奇形成や妊孕性の低下は未だ不明だがベーチェット病の男性では妊娠計画時に注意が必要そう。
肝臓又は腎臓に障害のある患者で、肝代謝酵素 CYP3A4 を強く阻害する薬剤又は P 糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者
参考;