2021ー問題82

 

30歳、女性

頸部の皮疹(図:表面やや光沢を伴う多発する不整形淡紅褐色斑)とDS像(図*:白色の樹枝状構造)

図*の矢印と最も相関する組織所見はどれか

1、表皮の鋸歯状変化

2、組織学的色素失調

3、顆粒層の楔状肥厚◯

4、錯角化のない過角化

5、真皮浅層の帯状リンパ球浸潤

 

 

 

診断:扁平苔癬

 

図の矢印(白色の樹枝状構造)はWickham線条に相当。

組織学的には、顆粒層の楔状肥厚に対応。

 

回答率19%

 

 

 

扁平苔癬      あたp292

lichen planus 

 

・性差はない

・成人に好発

 

・直径 5 〜 20 mm 程度の多角形および地図状の灰青色〜紫紅色の丘疹、

 ないし硬貨大までの扁平隆起した紫紅色斑

・しばしば中央は陥凹する

・表面は特有の光沢を有するか、白色調の鱗屑をわずかに付着する

・皮疹が融合して局面を形成することもある

 

 

・Wickham線条:皮疹の表面の細い灰白色線条

          融合局面では網目として観察される

          顆粒層の 楔状肥厚に対応する

 

・病理…不全角化を伴わない過角化

    顆粒層の楔状肥厚

    表皮突起の鋸歯状の延長

    液状変性

    真皮乳頭および乳頭下層での帯状 (band-like)のリンパ球浸潤

 

    液状変性により真皮浅層に変性した角化細胞が認められる(シバット小体)

    真皮にはメラノファージも認められる(組織学的色素失調)

 

 

 

 

<コメント>

以前、千葉大外川先生が専門医試験対策のお話をされた内容です。

最近のDS関連の出題は炎症性疾患も押さえておかないと解けないですよね。。。

 

主な炎症性疾患のDS所見

・尋常性乾癬→明るい紅色の背景

       小点状血管(dotted vessels)が一様に分布

       白色の鱗屑

 

・慢性湿疹→黄色い鱗屑(痂皮)

      小点状血管(dotted vessels)が斑状に分布

 

・扁平苔癬→Wickham線条

 

・ジベルばら色粃糠疹→黄色の背景

           小点状血管(dotted vessels)

           辺縁に鱗屑

 

 

 

参考:JDE letter 2022 1月号

   令和3年度皮膚科専門医認定試験の概況と傾向分析