2021ー問題80

 

色素斑のダーモスコピー像(図)を示す。

最も考えられるパターンはどれか

1、Multicomponent pattern

2、Fibrillar pattern◯

3、Globular pattern

4、Parallel furrow pattern

5、Parallel ridge pattern

 

 

用語

 

Fibrillar-pattern(繊維状パターン)

・掌蹠メラノサイト系病変、特に色素細胞母斑で見られる代表的所見の1つ

・褐色の細線維状色素沈着が密に集合して一定方向に配列している

・皮溝・皮丘を横切る方向に走行することが多い

・体重による圧迫で角層が水平方向へずれるために生じる

掌蹠の悪性黒色腫でも部分的に認められることがある

 その場合は本パターンを構成する分布・配列・色調・太さが不規則、不整であり、

 irregular fibrillar patternと呼ばれる

 

 

Multicomponent pattern(多構築パターン)

・1つの病変内にDSの構造所見が3種類以上認められる

・それらが不規則、乱雑に配置していると悪性黒色腫が強く疑われる

 

 

Globular pattern(小球状パターン)

・全体的構造所見が褐色〜黒褐色のdots/globulesによって構成される

・Clark母斑ではregular dots/globulesを呈することが多い

(dots/globulesの大きさ、色調、形状がほぼ均一で病変全体にほぼ一様に分布)

・他の母斑類でもみられ、各globuleを囲むように白色調のnegative pigment network/reticular pigmentation(表皮肥厚+角質増生の反映)が規則的に認められればSpitz母斑の可能性が高い

 

・非定型的なirregular globular pattern表在拡大型黒色腫の早期病変(SSM in situ)の可能性があるので生検必要

 

 

 

Parallel pattern

・平行線状の色素沈着を呈する所見の総称

掌蹠のメラノサイト系病変に特徴的な所見

・母斑で見られるPFPや悪性黒色腫で見られるPRPなど、

 診断的価値の高い所見がある

 

 

Parallel furrow pattern(皮溝平行パターン)

掌蹠の色素性病変において、皮溝部に一致して線状の色素沈着が認められる

・掌蹠の色素細胞母斑で見られる代表的所見

・各平行線が1本の実線のものが基本型

 この他に、点線状のdotted-line variantや

(皮溝を挟む)二重線状のdouble-line variantなどの亜型も存在

・組織学的に、母斑細胞巣が皮溝の下部に位置する表皮突起(crista profunda limitans)部に存在し、そこでメラニン色素が産生されるために生じる

 

 

Parallel ridge pattern(皮丘平行パターン)

掌蹠皮膚の皮丘部に一致して帯状の色素沈着が認められる

・掌蹠の悪性黒色腫の色素斑部やその早期病変で高率かつ特異的に認められる

・掌蹠MMの早期段階では組織学的にメラノサイトが主として皮丘の下部に位置する表皮突起(crista profunda intermedia)部で個別性に増殖し、メラニン色素を産生するために生じる

 

 

 

<コメント>

同じ写真が2021年第120回日本皮膚科学会総会教育講演で提示されていたようです。

 

 

 

参考:

『ダーモスコピーのすべて 皮膚科の新しい診断法』斎田俊明

  ダーモスコピー用語解説 末巻付録3