どうも、こんにちは&こんばんは!
またまたお久しぶりになっちゃいました、ひどうです。

現在進行中のお話が全っ然進まないので、季節柄の小話を書いてみました。
お花見したいなぁ。今までの人生で多分お花見はしたことないですね。
絵に描いたようなお花見がしたいっす。
どんちゃん騒ぎしてベロンベロンのぐてんぐてんに酔っぱらってみたいなぁ。←いやいや普段からもデロデログテグテになってるので、それはどうかと思う…。

とりあえず、ひどうにしては短いお話ですが、読んでやってくださいまし。


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とあるロケの休憩時間。
俺は最上さんと一緒に小さな川を見つけ、その川縁を散策するように歩いていた。
「敦賀さん!桜が咲いてますよ」
最上さんはまるで宝物を見つけたかのようにそれを指差し、そのままその樹に向かって走り出した。
桜の樹の下までくると彼女は手のひらでヒラリと風に舞いながら落ちてくる花びらをすくう。
その桜の花びらと一緒に彼女が風にさらわれそうで、俺は慌ててその背を追いかけた。
樹の下から桜を見上げて目を細めている彼女を、ふわりと背中から緩く抱きしめる。
突然のことに最上さんは顔を肩越しに俺の方へ向けた。
「どうしたんですか?」
「…いや、君の上に毛虫が降ってこないようにガード」
「まだ花がたくさん咲いているうちは大丈夫ですよ」
葉っぱが多くなると毛虫も落ちてくるようになりますけど、と彼女はクスッと笑う。
「ついでに花見でもしようか?」
「桜以外に何にもありませんけどね」
ふふっと俺は小さく笑い、ジャケットのポケットからコーヒー缶を取り出し、最上さんの目の前にかざす。
「これでもいいかな?」
「敦賀さん、いつの間に…」
さっきここに来る途中にね、と言って彼女にひとつ手渡した。
ホットで買ったコーヒーは丁度良い飲みやすい温度になっていた。
俺たちはその樹の根元に並んで腰を下ろし、コーヒーを飲みながら上を見上げる。柔らかな春の太陽の光が淡いピンク色をした花々の隙間から俺たちの上に降りてくる。
時折いたずらに吹く風が花々を揺らし、その花びらとともに雪のようにチラチラと光が舞う。
「ソメイヨシノってね、自分の力じゃ増やせないんだって。種になるべき実が実らないから」
最上さんは何を言われているのか分からないといった表情で俺を見た。
「挿し木っていう方法で人の力を借りないとずっと枯れるまでひとりぼっちなんだって」
「…なんだか寂しいですね」
最上さんはひらひらと儚い舞を踊る花びらを手のひらで受けた。
「でも、樹も人もそうやって支え合っているっていうのは素敵なことだと思うよ」
だからここにある桜の樹も、誰かが植えたっていうこと。
桜は自分の仲間を育ててもらい、人はその素敵な花を愛でたり、それで癒されたりする。
人も同じで、誰かを支え、そして誰かに支えられている。
俺は確実に最上さんに支えられていると思う。いつでも、どんな時でも。
彼女もまた俺に支えられていると思っていてくれればいいのに。
そんな甘い希望を胸にこっそりと秘めた時だった。
「敦賀さん」
「ん?」
「私、今までコーンと彼にもらった石に支えられてきたんです」
「うん」
「でも、本気で役者を目指すようになってからは…敦賀さんに支えられているんです」
「………」
ほんのりと桜色に頬を染め、最上さんは恥ずかしそうに視線を俺から外す。
彼女はあまり深い意味もなく、単純に俺を目標としているといった気持ちからの言葉だろう。
今は…そう、今はそれだけでいい。それ以上は望まない。
最上さんがここにーーー君だけが俺のそばにいるだけでいい。他に望むことなどない。
「俺も君に支えられているよ」
最上さんは驚いた顔をしたが、次第に嬉しそうな笑顔になった。幾分か声も弾んで聞こえる。
「そうなんですか」
「うん。食事のことなんか特に」
期待をしていたのか彼女は微妙な顔になってしまった。思わず吹き出しそうになる。
「他にはないんですか~?」
「………」
「もういいです。敦賀さんに期待した私が間違っていたんです」
すっかり最上さんはふてくされてしまい、やけになってコーヒーを飲み干していた。
ホントは君の存在そのものが俺の支えになっているんだけど。
これはまだ言わないし、言えないけどね…。
「そろそろ時間かな?」
俺はその場に立ち上がり、一緒に立ち上がろうとしている最上さんに手を差し伸べる。
「ありがとうございます」
目の前にある俺の手に戸惑いながら彼女は手を重ねる。俺よりも一回り以上大きさの違う小さな手は柔らかで温かい。
俺はそのほんのわずかの触れ合いを楽しむ。
「私先に行ってこれを捨ててきますね」
最上さんは俺の分の空き缶も引き取りそのまま走って行ってしまう。
俺はもう一度だけ上を見上げ、桜を眺めた。すると、向こうから最上さんが呼んでいた。
「敦賀さん!遅れちゃいますよ」
最上さんは俺に向かって大きく手を振っている。
俺は彼女を目を細めて眩しげに眺め、それから小走りで足を運んだ。
ソメイヨシノと人が寄り添って生きているように、俺も君と寄り添っていけたら、と願いながら。


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と、まぁ、こんな感じです。
少しはお楽しみいただけましたら幸いでございます。

ちなみにひどうはソメイヨシノよりも山桜の方が好きです。
ソメイヨシノは花ばっかりですが、山桜は葉っぱと花が一緒です。緑の葉っぱの中に咲く花がいいんです。

ということで、次こそは延び延びになってるお話をお披露目できますように…。う~ん。