私たちは、毎日必ず食事をしなければ生きていけません。食事をする時に「この食品は安全なものか?」と思うことがあるのではないでしょうか。
では、消費者は何に基づいて「その食品の安全」を確信するのでしょうか。
一方、食品を製造する側は、消費者にどのような約束が出来ているのでしょうか。
今春、スペインでの世界食品安全会議に参加する機会があり、その会議の中に世界中で一年間に食品による疾病などの障害を受ける人の数が約220万人いることを知りました。しかも、その大半は先進国に多いことにも驚きました。後進国は食料が充分ではなく、飽食状態の先進国の方が危険な食品が市場に充満していることも納得できます。
食品の製造過程の安全や品質管理をHACCP(食品事故を予防する手法)で行う場合の取り組むべき様々な課題に対して、サポートする支援策事例をここにご紹介致します。
1.
事例その1
東北の委託製造を主に製造する会社様では、厚生労働省が承認する総合衛生管理製造過程を構築して運用していました。しかし、会社幹部の方は「この総合衛生管理製造過程を運用すると、本当に製品の事故を未然に防止できるのか?」という疑問を持たれていました。作成された総合衛生管理製造過程の書類を拝見しますと、確かにどこかのテキストに書かれている内容がほとんどで、この工場の実情に合ったものではないことが直ぐに分かりました。
そこで、製造現場の確認を忠実に行い、どのような危険が潜んでいるかをハザード(危害の発生要因)の分析を正しく行うことをしました。それには、正しい分析手法を講義とロールプレイすることの繰り返しになりました。
また、ISO22000規格の強みである実施したことの振り返り(検証といいます)をすることでPDCAサイクルの本来のスパイラルが回り始めたのです。マネジメントシステムの原則は、経営者自らイニシアチブを以って食の安全に邁進することですし、組織全体で構築・運用することが求められています。この仕組みをうまく利用したのです。今後、更に確立した仕組みを上手に活用していくと思っています。
2.
事例その2
関西のこの会社様は、食品に使用される原料の一つを供給するメーカーです。この会社は約10年の間、品質マネジメントシステム(QMS)を構築・運用していました。今回、このシステムの他にFSSC22000の仕組みを上乗せさせて確固たる「食の安全のシステム」を構築したいというご要望でした。
品質マネジメントシステム(QMS)を構築・運用されてきた実績がありましたから、仕組みの基礎が出来ていることになります。不足している仕組みは、一般的な衛生管理やHACCPの側面です。その一方、QC工程表などの作業の手順はしっかりできていますから、「なぜ、そのような作業をしているか?その作業で注意する点は何か?」を紐解いていきますと、HACCPのハザード分析に繋がったわけです。規格が要求する事項から、一つ一つ初めから作成する必要はなく、現状で実施していることを基礎にして「作業や管理目的を質問する」ことでHACCPの仕組みは完成形に近づくことが出来ました。
規格が要求していることの意図(目的)を具体的に説明することにより、何を(What to)やなぜ(Why to)を考える習慣が着実に身に付いた訳です。これが重要なことでした。どのように(How
to)は、会社によって違いますから、じっくり今後検討していけば宜しいのです。
最後に、8月9日に”GFSI(世界食品安全イニシアチブ)日本ワーキンググループ事務局”から「国内中小食品事業者の食品安全国際規格対応のためのタスクフォースの発足」のプレスリリースがされました。
