相次ぐサッカー選手の脱税ニュース
明日は我が身
最近、欧州でプレーするサッカー選手の脱税のニュースが後を絶ちません。こうしたニュースを他人事だとは思えない現実が、僕にはあります。
こうしてニュースに取り上げられる選手には、選手をサポートするマネジメント会社として弁護士や税理士がいることでしょう。僕自身の代理人も弁護士資格を持っていて、国際的な税法で分からないことは聞くことがあります。
憶測で話すことになるので、ニュースとなっている各選手の脱税に対する原因を言及するつもりはありません。そもそも言及できるだけの内容がニュースの中にありません。
しかし、これは海外でプレーしようとする日本人選手にとっても気を付けなければいけない問題だということを、同時にここで伝えておきます。
選手の立場であれば、「管理者にに任せている。」ということで多くの脱税の疑惑が収集すればいいと思います。しかしこの問題によって何が起きるのか、実際に僕の体験談も含めて話したいともいます。
複雑なルールと面倒なプロセス
なぜこうした問題は発生すのか?
この脱税の問題となる多くの選手は、外国人選手が多いのが特徴です。国内選手で脱税疑惑を掛けられる選手は、比率から決して多くはありません。それには、租税条約という国家間の問題が挙げられます。
例えば、選手の移籍で発生する移籍金、それに紐づいて人や物、サービスなど国境を超えることで、移住地国と源泉地国との二ヵ国間で結ばれる条約によって支払われる税金の種類や税率、納税先などが変わるということです。
これは多くの場合、選手の税務担当やクラブ関係者に一任する場合は多いと思いますが、収入源が多ければ多いほどとても複雑で、管理も大変になります。そこに整理するだけでも選手一人では困難な訳で、管理者が節税を理由に整理しようものなら、疑惑となってわが身に降ってくるのです。
実は、僕も経験があるんです。クラブに税金管理を任せたら、その後別の国に移籍した後に前所属クラブの国の税務署から日本の住所に納税通知書が送られてきました。結局のところ、クラブと僕との税務に関する契約内容と選手が納税すべき種類に問題がありました。結果的に、クラブがその支払いに応じずに、選手に通達が来たという訳です。
これは決して、これから海外でプレーしようとする日本人選手にとっては無視でkないと思います。例えば、僕の場合は日本に住んでいないので、移住地国に住所を移しています。しかし、選手によっては日本の住民票から住所を抜かずに移籍したりしています。こうなったら、あらゆる二ヵ国からの納税通達の嵐になります。
これは知識だけの問題ではないのです。自分で整理しようとしても、税金制度は国によっても二ヵ国間の条約によっても異なり、正当に払いたくても手続きのプロセスに時間と手間が掛かったり、国によっては移籍する前に税金登録を自分でやらなければいけない部分もあって、かといってクラブやマネジメント会社に任せたら任せたでまた僕のように問題も起きる訳です。
どこまで誰に管理を任せて、どこに信頼を置くのか?
「マネジメント会社が管理している。例えそれによってプレーできなくなっても、絶対的な信頼を置く」だったら、それでいいと思います。
でも僕のように一人で海外に挑戦しようとする人(誤解のないように、応援してくれる人は少なからずいます。)、それを続けている人は簡単ではないですよね?実際に、税理士でも疑惑を掛けられる訳ですから。
少なくとも僕は、20代前半までこの仕組みを理解して、どこまで自分で管理とリスク回避できるかを深く理解する事から、ある意味逃げてました。だからこそ問題が僕のような問題も起きたとも思います。
ニュースに話を戻すと、こうした脱税疑惑について、多くの選手が口を閉ざします。上記を考えれば、当然だと思います。しかしそのニュースは、税務疑惑の内容ではなく、「~クラブの~選手が、脱税で口を閉ざす」となる訳です。
サッカーはいまやビックビジネスですが、選手やクラブのイメージ、さらにサッカーやスポーツの健全性までも脅かすものとなってはいけないんですよね。スポーツ選手の管理に警鐘を鳴らしているのだとすれば、確かにこのニュースで身辺整理をしている選手もいるでしょう。効果があったのかもしれませんが、他にも方法があったと思います。
判決後に公にするとか、公にするのであればもっと問題となっている内容も明らかにしてほしいと思います。脱税疑惑のニュースからスポーツ界やサッカー界は何を得るのでしょうか?意図的にサッカー界内部から発信されて、起きている問題だとすれば尚更、早急に対応する必要があると思います。
写真:pixabay