今日は、文化放送「おはよう寺ちゃん」でも、山口・阿武町で起きた給付金4630万円の誤送金問題を紹介し、簡単にコメントした。24歳の男性が返還の意思を示さず、どうやらすべてを使ってしまったという話である。

 

 もちろん返還すべきものだし、また町当局のそもそもの誤送金も論ずべき話ではある。そこらへんの議論は好きにやればいいと思う。ネットでも説教家やマウントとりや、あるいは蘊蓄マニアや、「社会正義」に燃えた人達がこの問題を論じている(らしい)。時間がないので丁寧にみることはできない。

 

TBSのワイドショー「ゴゴスマ」が連日といっていいくらいこの話題をとりあげ、それが高い視聴率をもたらし、今日の放送では100分まるごとこの問題だったそうである。これにはかなり驚いた。確かに珍しい事案かもしれないが、そこまでやる必要があるとは思えなかった。ところが、以下の記事では、司会の石井亮次アナウンサーが「ある私企業が間違って振り込んじゃいました、だったらここまで報じません。テレビご覧になってるみなさん全員がおさめてる税金なんです」といって100分まるごと同問題を扱ったことを“正当化”しているようである。

 

 

だが、税金の不正な使途や問題をはらむ話題は、金額もはるかに大きく、また日本経済・社会を揺るがすほどの問題も他にあると思うのだが、それがこれほどの熱意で放送されることはない。いま国会で議論されている補正予算問題などはその典型だろう。他にもまだまだあるのだが、この「(どんなに少額でも)税金を払ってるんだから、どんな問題も好きなだけ議論していいのだ」みたいなワイドショー的態度にはかなり違和感を感じる。日本で税金をおさめてる個人は、1億人を超えるだろう。今回の事案は一人当たり50銭いかない程度の税負担にかかわる話題である。もちろんこの「税計算」はやや筋違いな議論かもしれない。しかし50銭の税を払ったことで、われわれはものすごい好奇心の爆発を、ワイドショーに認めてもらっているのだな、と思う。

 

というより、石井アナウンサーも単に視聴率がよかったから放縦に100分番組やりました、といえばいいだけなのだ。