国家戦略特別区諮問会議が先月の22日に開催され、そこで加計学園による獣医学部新設を論議してきた民間委員が、最近のこの「加計学園問題」について、それをことさらに問題化、疑惑の対象に政治的な思惑でしている、一部メディア(特に朝日新聞や報道ステーションなど)や野党の批判を念頭においてでしょうが(彼らは明言はしてませんが)、反批判を展開しています。

 

八田達夫先生のブログにもこの発言が掲載されています。

 

獣医学部新設に関する国家戦略特区諮問会議での発言

https://tatsuohatta.blogspot.jp/2017/05/blog-post.html

 

公式の議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai30/gijiyoushi.pdf )にもありますので以下に転載します。

 

○八田議員 次に、特区における獣医学部新設の審議の経緯について、個人的な考えを申し述べさせていただきたいと思います。本件は52年間にわたって学部新設を認めてこなかった岩盤規制に取り組んだものでございます。
獣医学部の新設が認められなかったことが、なぜ岩盤規制なのでしょうか。新設の薬局は既存の薬局から100メートル以上離して立地すべしという薬事法における距離制限は違憲であるという最高裁の判決が1975年にありました。薬局の新設は需給関係を崩し、既存の薬局に不利益になります。したがって、既存の薬局が新設を嫌がることは当然であります。しかし、憲法が保障する営業の自由に鑑みると、新設が需給関係を崩すことは薬局の新設を制限する理由にはならないということをこの違憲判決は示しております。
同様に、獣医学部の新設が需給関係を崩し、既存の大学や獣医に不利益をもたらすことは、学部の新設を制限する理由にはなりません。教育及び研究の質を担保するものであれば、大学や学部の新設は認められるべきものです。しかし、日本では、獣医学部、医学部、薬学部の新設は、需給調整を目的とした文科省の告示で、認められていません。これら3学部に限っては、大学設置審議会で教育や研究の質を審査することすら認めていないのです。営業の自由を保障する観点、および競争によって利用者の利益を最大化するという観点からは、この文科省告示は明らかに撤廃すべき岩盤規制であります。
今回の獣医学部の新設は、せめて特区ではこの告示に例外を作ろうという試みです。しかし獣医学部の新設に当たっては、既得権益側が激しく抵抗し、新設するとしても2つ以上は認められないと主張するので、突破口として、まずは一地域に限定せざるを得ませんでした。そうである以上、地域的に獣医学部の必要性が極めて高く、しかも福田内閣以来、永年要求し続けた地域に新設を認めたのは当然であります。この選択が不透明だなどという指摘は全く的外れであります。むしろこれまでこの岩盤規制が維持されてきた政治的背景こそ、メディアは、究明すべきです
しかし、突破口を作ったことには、大きな意義があります。今後、続けて第二、第三の獣医学部が認められるべきです。
最後に、明治4年に前島密が国際標準の郵政事業を開設しようとしたときに、飛脚業界が猛反対いたしました。前島は、大変な苦労を強いられました。長い目で見て必要な岩盤規制改革には、摩擦はつきものです。既得権者は必死に抵抗します。今起きていることもそういうことだと思います。しかし、こうしたことで改革のスピードが鈍ることがないよう、国家戦略特区における更なる改革を果敢に断行していきたいと考えます。そのために官邸のサポートを引き続きお願いしたいと思います。

 

さらに竹中平蔵委員も猛烈に反批判を展開しているのでそれも引用。

 

○竹中議員 ありがとうございます。
まず、指定区域の評価に関しては、今回、沖縄県と新潟市について、計画の提出を求めたい。ここが今までよりも一歩踏み込んだところだと思っておりますので、これをぜひ実現して実効あるものにしたいと思います。
八田議員が最後におっしゃったことは、民間議員共通の認識であると思います。医学部の新設が38年ぶりに、今年4月にようやく実現した。しかし、気がついてみると、獣医学部のほうは50年近く認められていない。まさにこれは岩盤規制です。必ずですけれども、こういう場合は推進する側と、いわゆる抵抗勢力の間でバトルがあるのは、これはもう当然のことであって、そこでやはり激しいやり取りを行わなければいけないということになります。そして、そういう結果、とりあえず、まず、1校をつくろうと。そこで、実はこの特区諮問会議でも、
11月の諮問会議で、まず、広域的な、獣医学部がないところにつくろうということで、正々堂々たる、一点の曇りもない議論をしてきた

それに対して、非常に理不尽な議論が今、行われていると思います。私も政府の中にいるときに、随分理不尽なことを言われて、まあこんなものかと思いましたが、何が理不尽かというと、私たち市民社会の常識として、やはり人を非難するときは証拠に基づかなければいけない。証拠主義。しかし、今、証拠だと称しているのは出処不明のもので、そういうものに基づいて議論するということ自体が、私は批判されるべきだと思います
もう一つは、例えば人が何かの責任を問う場合は、立証する責任がどちらにあるのかと。例えば私が何か悪いことをしたといって、私は何もしていませんと。何もしていないということの証明はできません。これは悪魔の証明です。だから、今行われていることは、証拠主義の無視と、そして、立証責任の転換ということが、平気で一部のメディアと一部の議員によって行われているわけです。これが続くと霞が関は結構大変なことになると思います。もう、改革なんか、やれなくなります。
改革をさせなくしようというのが、その狙いだとも言えるわけですけれども、リスクを負って抵抗勢力と闘うと、証拠もないのにいろいろなことを言われて、自分は何もやっていないということを自分が証明しないといけない。私は、今、本当に、関係の閣僚の方、そして事務局に、非常に強い同情、深い同情を覚えます。こういうことに屈することなく、ぜひ、この改革を進めていただきたいという思いでおります。

 

竹中氏にはその主張に賛否それぞれあるが、この発言はまさに正論中の正論である。

 

さらに坂根正弘議員も率直に語っているのでこれも。

 

○坂根議員 私は「日本再興戦略2017(仮称)」の指定区域の追加について話をするつもりだったのですが、今治市の獣医学部の件について、私自身区域会議のときからずっと出席して話を聞いてきましたので、今起こっているあの批判というのは、私自身が批判されているような思いで、非常に憤懣やる方ないという思いです。
どういう意味かといいますと、参入規制で52年間守られたというのですが、永年規制で守られた業界というのは本当に世界に遅れをとるのです。医学というものは、お医者さんの技量は日本のレベルは高いのでしょうが、医学と工学の結びつきの医療機器、それから医学と薬学の結びつきの創薬、新薬ですね。それから医学と獣医学の関係の、動物由来の感染症。ことごとく、欧米に比べて遅れをとってきたという思いが強くて、私はこの特区の場でも、最後の審査のときに、今度の獣医学部は、ぜひ、動物由来の部分をしっかりやっていただきたい、と強く要望させていただきました
私はたまたま今日、地方大学振興及び若者雇用等に関する有識者会議の中間報告を山本大臣に手交するのですが、その中でも、実は、その都道府県の高校卒業生の進学希望者数に対する大学定員数というものは、東京都と京都府が約200%で圧倒的に飛び抜けて高くて、続く大阪府と愛知県、福岡県あたりが約100%で、全体の約半数近くの県は50%以下なのです。すなわち、東京都と京都府のこの集中具合というのは、むちゃくちゃなパーセントになっていまして、今日、東京23区の大学の定員数は今後基本的に増やさないという内容で中間報告を上げる予定ですが、この今治市については、既に審議の過程で愛媛県との間で長い間話し合いを継続されてきたという経緯と、東京都と京都府は学生の流入がむちゃくちゃ集中している、こうした背景が頭にあって、納得してきたつもりです。したがって、何とか、理不尽な指摘を乗り越えていただきたいと思います