涼宮ハルヒの消失・続き(2010) | とし104の気ままに映画プログ2

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ブログの説明を入力します。B級な映画や主にホラー映画を自分の独断と主観でupさせていただきます♪そんなに投稿マメではないですが、よろしくお願いします。









前回の投稿での写真数がいっぱいに近づいてきたので後半は、また続きにて紹介させていこうと思っています。よろしくお願いします。





やっと手がかりをつかんだキョンは、ハルヒと古泉と共にどっかの喫茶店にて話し合いをする。
キョンはこれまでの経緯と、この一年は涼宮ハルヒを中心に世界は平凡から異様な世界に変化していて、ハルヒがSOS団を春先に結成して、極々ドノーマルな一般人ピープルなキョンを始めに宇宙人である長門由希、時間旅行者の未来人の朝比奈みくる、転校生ながら超能力者である古泉一樹を次々とスカウトしていき今現在に至っていることを伝え、12月18日を機にそれらの状況が一変してしまったことを説明する。

古泉が「つまりあなたは…あなたが元々いた世界から異世界へと強制的に移動させられてしまったのか?或いは今まで過ごしてきた世界が何らかの力でそのもの自身が変えられてしまったのか?と二つの可能性がありますね」と分析してくれる。

ハルヒはキョンの言うことを、素直に信じてくれる。

「ジョン・スミスには2回会ったわ…………校庭に絵を描いた後に…帰る途中で背後から『世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしくな』って言ってたわ」

「せっかく繋がったかと思ったら…またピントがズレてるな。しかし?いつそんなこと言ったんだ…そのジョン・スミスは。ハルヒに余計な入れ知恵をしているようなもんじゃないか」

「で、あたしの精神が憂鬱になると…閉鎖空間ちゅうのが発生して、宇宙が崩壊しそうになるんでしょう?でもその事をそっちのあたしは知らない!?あたし本人だけが…………」

ハルヒは軽く頷くと
「面白いわね!」と目をキラキラさせる。

「信じるのか?向こうのおまいは俺の言うことにロクに信じようとはしなかったんだからな」

「そのあたしは本当におバカさんね。あたしは信じるわ。だってその方が断然にィ面白いじゃない!!!!!」


「SOS団か?楽しそうね。ねえ?あたしもその部室へ行ってみたいわ。あたしが世界を変えてしまった張本人なら?何かを思い出すかもしれないし…それに長門由希さんや朝比奈みくるさんにも会ってみたいし…………」


ハルヒの思い立ったら吉日な、速攻的な思考は相変わらずだな……とキョンは感心してしまう。

外で古泉にキョンは訊かれる。
「あなたが元いた世界では、あなたに涼宮さんの気を引く属性はなかったんですよね?」
「今も昔も俺の特技は、知らず知らずの内におかしなことに巻き込まれてるってことぐらいさ…」
「ならばあなたの世界の涼宮さんは本当にあなたを気に入っているんですよ。属性とか関係なしに」とちょっと羨ましがられる。


北高近くに来た3人は、どうやってハルヒと古泉を北高に潜入させるか考える。
そしてキョンの体操服とジャージをハルヒと古泉に借してあげる。恥ずかしがることもなくさっさと着替えるハルヒ。

「完成ィッ」

「なあハルヒよ。ポニーテールにしてみないか?」

「何で?」

「特に意味はない……」

「まっこの方が運動部っぽく見えるかもしんないけど…簡単そうに見えてちゃんとするの意外と大変なのよ…これでいい?」

「バッチリだ!!俺の目には魅力度36パーセント増しに見えるぜ!」

「バカ・・・」

世界が変わっても相変わらずポニーテール萌えのキョンであった(*´-`)


3人はまんまと北高に潜入する。
「あらゆる意味で…走り出したハルヒを止めることは誰にも不可能なのだ。俺はもちろん。こっちの古泉もそれを熟知している」

ハルヒは文芸部室に行く前に、書道部にい
る朝比奈みくるを拉致る。いつもながらの強引な手段に…以前は見慣れていたが泣きそうになるキョン。


ハルヒは文芸部室へ入る。
古泉を除く全員が初対面なのに堂々と臆することなく「こんにちわ♪あたし涼宮ハルヒよろしくねッ」と明るく挨拶をする。
ようやく一同が文芸部室に揃うことになるのであった。


「ここがSOS団の部室か?いいわね♪
色んなもん置けそうだし、で?これからどうするの?」
「おまいは何も考えずにここに来たのか?
こっちの世界でもSOS団を結成しようとしているのか?」
「別に名前なんて何だっていいわよ。とりあえず当面の目的は・・・そうねあんたが異世界人だったら元の世界に戻れるようにするとかさ…」


その時、不意にブォッとパソコンのスイッチが起動する。一同はビビる。

パソコンのモニターには『yuki.N』の文字が出る。
「これを貴方が読んでいるとき、ワタシはわたしではないだろう………このメッセージが表示されたと言うことは…そこに貴方、涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹が存在しているはずである」
長門のメッセージに安堵するキョン。
「これは緊急脱出プログラムである。起動する場合はエンターキーを。そうでない場合はそれ以外を…起動させた場合、貴方は時空修正の機会を得る。ただし成功の保証はない。また帰還の保証もない。
このプログラムが起動するのは一度きりである。実行の後、消去される。非実行でも起動せず消去される。

Ready?………」


キョンは深く溜め息をつくと、長門に問いかける。
「長門。これに心当たりはないか?」

「ない」

「本当にないのか?」

長門は困惑するばかりである。

キョンは改めて長門、ハルヒ、みくる、古泉を見つめ・・・・・・・・・・・・・
「長門が残してくれたメッセージ。これに今更悩んだりなんかしない。俺が確認するのは自分自身の気持ち………俺はこの世界から脱出したいのか?」

キョンの気持ちが逡巡している。だがやがて決心する。

「長門、すまない。これは返すよ…」
としわくちゃの入部届けを返す。

「そう…………………………」
悲しそうな顔をする長門に横目で、
「長門だがな、実を言うと俺は最初からこの部屋の住人だったんだ。ナゼなら俺はSOS団の団員のその一だからさ」



キョンは躊躇いを振り払いエンターキーをポチッと押す。





強烈な立ち眩みや目眩と共に、色んな人の会話が飛び交い、意識が遠のいていく。


目を覚ますと、誰もいないがらんとした文芸部室にいた。長門もハルヒもいなければ…何のアイテムも置いていない。

「暑い?!」

慌ててコートを脱ぐキョン。一体今はいつなんだ??過去か?未来か?
校舎から外に出て、ファミマに入り新聞を手に取り納得する。

「そうか?!3年前の七夕に来たのか!!!!!」

「この日は朝比奈さんにタイムトラベルに付き合い、気を失った朝比奈さんの代わりに大人の朝比奈さんと会い、中学1年のハルヒに手伝わされ校庭に地上絵を描いたんだ。その後、タイムトラベルが出来なくなった朝比奈さんと長門のマンションへ行って、助けてもらった…」
(テレビ版の『笹の葉ラプソディ』を観てないと解りづらいかもです)

この時代には助けになりそうな二人がいる。マンションに待機している長門の前に大人の朝比奈さんに先に会いに行く。

キョンは公園で朝比奈さんの膝枕で寝ている自分を映画の1シーンのように陰から眺めていた。そしてもう一方の草陰から出てくる大人の朝比奈さんを見つける。

大人朝比奈さんが立ち去ったのを確認してキョンは彼女に声をかける。

「あなたとはお久しぶりですね♪ここにあなたが来ることは既定事項でしたから…」
大体のことを察しているのを確認したキョンは安堵の笑みをうかべる。

キョンと大人朝比奈みくるはベンチに座って話をする。

「ハルヒが言っていた、帰りがけに声をかけられたジョン・スミスってのは俺のことですか?」
「あなたですよ…今のあなた」
「これからあなたを導くのは、私の役目です。でもそれ以降はあなたは自分自身の手であなたを導かねばなりません。わたしはあなたを手伝うだけ」

まだ長門のマンションへ向かうのに少し時間があるのでベンチで2人は話をする。あたかもデートをしているカポーのようである。
大人朝比奈さんがキョンの肩にしだれかかってくる。ドキドキσ(≧ω≦*)のキョンに何かを語りかける。

長門のマンションへ戻る前に…キョンは自分の為すべきことをしておかなければならない。帰ろうとしている中1ハルヒに向かい大声で叫ぶ。

「おーい。世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!!」
ハルヒは聞き届けるとサッと立ち去る。


「覚えておいてくれよ……ジョン・スミスをな。

忘れないでくれ。ここに俺がいたことを………………………」



もう一人のジョン・スミスは他ならない俺のことだったんだな…




長門のマンションを訪れるキョンと大人朝比奈は、708号室のインターホンを呼ぶ。キョンは再び長門へ経緯を説明し、長門の助けを借りたいことを伝える。
無言でオートロックのドアが開く。これまた長門に初対面したときとまるっきし一緒である。

長門の部屋へ入る2人。チラッと隣の客間に目をやるキョン。

「開けて見てもいいか?」
「開かない。その部屋の構造体ごと時間を凍結している」



テーブルをはさんでキョンは長門に説明する。
「かなりややこしい話なんだが…………説明した通りだ。俺は未来のお前によってこの時代に飛ばされて来たんだ」
と栞を渡す。

長門は目をつぶり…………
「確認する」と探っていくが………

「同期不能。その時代の時空連続体そのものにアクセス出来ない。システムプロテクトがかけられている。だが事情は把握した。再修正は可能」
キョンはホッとする。
「この事態を引き起こした時空改変者は涼宮ハルヒの情報創造能力を最大限利用し、世界を構成する情報を部分的に変化させた。
故に改変後の涼宮ハルヒには何の能力も残っていない。そこには情報統合思念体も存在しない。時空改変者が涼宮ハルヒより盗み出した能力により12月18日を起点に…世界の有り様を改変させた…」

長門はメガネを外すと…………
空中に浮かんだメガネが注射器へと変化する。注射器ではやりずらいとキョンが言うと、今度はピストル風に短針銃へと変形させる。

キョンは銃を構えながら、

「で?誰が犯人だ。世界をすっかし変えた時空改変者って奴はどいつだ。ハルヒでないとすると…一体誰なんだよ?」

「それは・・・・・・・・・」





驚きを隠せないキョン。

「本当にそいつが犯人なのか?」
「そう」
「なぜ?どうして?」


行くべき時間を伝える長門はキョンの腕を甘噛みをする。

「そのままでは貴方たちも時空改変に巻き込まれるので防御処置を施す」

大人朝比奈さんにも同様に処置を施す。





キョンと大人朝比奈さんは出発の準備をする。
「では行きましょうキョン君。これからが本番です」


「長門。ありがとな……また会おう。文芸部室で。しっかり待っていてくれよな。俺とハルヒが行くまで……………」

「待っている…」
長門は頷いてくれた。






キョンは大人朝比奈さんに手を取ってもらい、長門の示唆してくれた3年後の12月18日の早朝へとタイムスリップをする。
奇しくもその場所は再開したハルヒと古泉と着替えをしたあの場所だ。

キョンと大人朝比奈さんは、曲がり角から息をこらして、時空改変者が現れるのをじっと待つ。

薄暗い道を北高の制服を着た女子がスタスタやって来る。キョンにとっては見慣れたその彼女の表情は暗がりのためうかがうことは出来なかったが 、彼女は空に向かって手をスッとかざす……………………………………

つむじ風のようなのが巻き起こる。大人朝比奈さんが「すごい!強烈な時空震だわ………彼女にこんな力があったなんて?実際見ても信じられません」と言う。
一般人のキョンには何が起こっているのかさっぱりわからないですが・・・


世界の改変が終了して、あのキョンが想像もしなかった…ハルヒが消失したあの世界がやって来た!!
キョンは意を決して彼女の前へ大人朝比奈さんと共に立ちはだかります。

「よっ。俺だ、また会ったな長門。お前の仕業だったんだな?」

「なぜ?………貴方がここにいるの??」

「お前こそここで何をしてたのか?自分でわかっていたのか?」

「散歩……………………」



キョンは長門のマンションにて事の真実を長門本人(3年前の七夕の時の)から告げられたのである。

「私のメモリーに蓄積されたエラーデーターの一つ一つが、内包するバグの原因となり、結果異常動作を引き起こすこととなる。それは不可避な現象と予想される。私は必ず3年後の12月18日に、世界を再構築するであろう?!そのエラーの原因は特定不可能……………」


キョンは頭の中で思いを巡らす。

「違う(ヾ(´・ω・`)そうじゃないんだよ長門。お前は疲れていたんだ。ハルヒの突拍子もない思いつきに振り回されたり、俺たちの身を守ってくれたり、おそらくは俺たちの知らないところで秘密の活躍をしていた。神経疲労が積もりに積もっていたんだ!!
俺にはよくわかる。長門が自分でも理解できないのは思いっきりベタなヤツなんだ。人工的に造られたヒューマノイドな筈だったが時を経て…持ってきたんだ…………
それはな『感情』ってヤツなんだよ…
ハルヒも含めて俺たちは長門に任せる依存心があって思考停止していた。おかげで長門は世界を一変させちまおうとするくらいにおかしくなっちまったんだ!!
バグ、エラーそんなんじゃない。これは長門自身が望んだことなんだ。こういう普通のノーマルな世界を長門は望んだんだ。

ここ数日間俺を悩まさせていた…疑問の回答は明白だ。何で?また俺だけは元のままにしておいたのか?答えは至極単純。俺に全ての選択権を委ねていたのだ。

変えた方がいいのか?
元の世界がいいのか?

俺に選べと言うシナリオなわけだチクショウめ・・・・・」


キョンによる自問自答が続く。


「おまい自身に質問する…イエスorノーで答えろ。

心ならずも面倒事やトラブルに巻き込まれることになる一般男子高校生、嫌々ながらもハルヒの難題に奮闘するのが俺のスタンスだったはずだ。
……………………そんな非日常な学園生活をお前は楽しいと思わなかったのか??

この一年はハルヒに振り回され、暗殺されそうになったり、閉鎖空間に閉じ込められたり、猫が喋ったり、そん中に宇宙人、未来人、超能力者がいて、当の団長様のハルヒだけが知らないと言う…この矛盾。

そんな異形の世界を変えてくれた………世界が落ち着いたノーマルな状態にしたのに、おまえはエンターキーすなわち緊急脱出プログラムを押してしまった。自ら別の日常を放棄してしまった………………それは何故だ?????
もう一度訊くぞ!これで最後だ。はっきりと答えろ。

俺はハルヒとハルヒの起こす不可思議な日常を楽しいと思っていたんじゃないのか?言えよ!!」

キョンは心の中のもう一人の自分に頭を踏んづけられながら……自分の葛藤を振り払う。

「……………当たり前だ!!楽しかったに決まってるじゃないか!!わかりきったことを訊くな!!!!」



時間にしては数秒間だけのことだったのかもしれない。長門に対峙するキョンは静かに短針銃を構える。

「そういうことだ…長門。
やっぱりあっちの世界は俺にはしっくり来ない。俺は今のお前じゃなくて…今までの長門が好きなんだ。それに眼鏡はない方がいい」

「な、何を言っているの?」

「長門!元に戻してくれ。言ってくれたら俺も協力する。こんな要らない力を使ってまで無理矢理に変わらなくたって良かったんだよ……………………」

「キョン君。何を言っても無駄よ。この長門さんは何の力も持たない、ただの女の子だもの………」と大人朝比奈さんに言われる。

長門は細い肩を震わせている。

「すまん長門・・・」





とその時!!!!!

背後からキョンめがけて飛びかかってくる奴がいる!!!
「キョン君!危ない!!!」






「長門さんを傷つけることは許さない!!」

「ヒッ」

キョンの腹めがけて鋭いサバイバルナイフが突き立てられていた!!

「あ、朝倉さん?!」

「そうよ♪長門さん。私はちゃ~んとここにいるわ…あなたを脅かす存在は私が排除する。そのために私はここにいるんだから………あなたがそう望んだんじゃないの?そうでしょう長門さん」

キョンからナイフを引き抜き、戦闘の舞いを踊るようにクルクル回る。鮮血が長門にピシャッとかかる!!!

「う、嘘だ…長門がこんなことを望むはずがない。異常動作を起こした長門と共に長門が再生させた朝倉も、異常なヤツになってしまった。こいつは長門の影だ!!」

血まみれになって倒れるキョンにとどめを刺そうとする朝倉。キョンの顔が苦痛に歪む…ゆっくりとナイフを振りかざす朝倉。


その時!何者かが朝倉のナイフを素手で掴む?!?!?!

「・・・?!なぜあなたが??どうして?………」

「いつかどこかで見たような光景だな…意識がぼやけていく………あれ?朝比奈さんが2人?いる?!走馬灯かな?
ヤバイ?死ぬ!?」

遠のいていく意識が辛うじてあるキョンに
「すまねえな…訳あって助けることは出来なかったんだ。だが気にするな…俺も痛かったさ。後のことは俺たちが何とかする。今は寝てろ」と言われるのを聞き届け

「す、すまん長門・・・・・」

キョンは意識を失う………………………………






どれくらいの時が経ったのであろう。全ては悪い夢?!だったのであろうか?
「ナイトメアシティ」のように夢オチのような展開だったのだろうか?
ハルヒと2人で閉鎖空間に閉じ込められたあの夜のような……………………………………………


キョンは病院のベッドの上で…目を覚ます。傍らで古泉がリンゴの皮を剥いていた。
「やっとお目覚めですか。随分と深い眠りだったもので。おはようございますと言うべきか…もう夕方ですけどね」

古泉は北高の制服を着ているのを確認したキョンは今現在がいつか?訊ねる。そして12月21日の16時過ぎと確認する。


キョンは腹を確認するが…朝倉に刺されたはずの傷は無くなっている。
古泉からの言によると…18日の午後、SOS団でクリスマス会の買い物に行く際、一番しんがりを歩いていたキョンは階段から真っ逆さまに転落したということらしい。血の気の失せた涼宮さんを初めて見ました、と説明された。

「当時、部室棟には我々以外には誰もいないはずだったんですがね…涼宮さんは階段の上に誰か?いたような気がすると言っていました。誰かに突き落とされたのかもしれません。あなたの証言待ちだったんですが」

キョンは辺りを見回す。察した古泉は「僕たち団員は交代交代ですが…団長ともなると部下の身を案じるのも仕事のうちだそうでして…ずっとここに泊まり込みで三日前から看取っていたんですよ」と言われる。

キョンはベッドの横で寝袋に収まっているハルヒを発見する。ハルヒの頬っぺたを突っついてやる…

「んんがァァ~?」
「こらァキョン!起きるんだったら起きるって言ってから起きなさいよ!!こっちにだって準備ってもんがあんだから…」

「心配かけたようだな…悪かったな…」

「わかってるんだったらいいわよ。団員の心配をするのは団長の務めってやつだからね。あたしはねちゃんとわかってたわよ…このキョンが目を覚まさない筈がないって………SOS団は年中無休なんだからね。三日分の病欠は高くつくわよ。団員全員にお茶の奢り三日分!それとクリスマスパーティーでトナカイの衣装を着て一発芸をやんなさい!いいわね♪」と指を突きつける。
いつものハルヒ節に安心するキョン。


直ぐに退院というわけにもいかず、暫し検査入院となり、今夜も病院に泊まり込みになる。病院の屋上に上がり、ぼんやりと神戸西宮の夜景を眺めながら、落ち着いて考えをまとめる。

「もしあのまま世界を修正しなかったらどうなっていただろう?長門も朝比奈さんも古泉も特殊な能力は全くない一高校生で、ハルヒも単なる騒がしい、性格がチョイひねた女子高生だったとしたら…………」

「だが、もう答えは出ているんだ…俺は今この時が楽しいんだ…………そうでもしないと死にかけてまでやった俺の行為は全て無駄になってしまう。俺を救ってくれたあいつは?答えはわかっている。もう一度あの時代に行って再修正してこなければならないんだ………………『すまねえな。訳あって助けることは出来なかったんだ。だが気にするな。俺も痛かったさ。後のことは俺たちが何とかする…今は寝てろ』だったかな。大体合ってるよな?」


キョンが振り返ると…………

佇むように長門由希の姿があった。

「よっ」


長門はゆっくりとやって来ると………

「全ては私の責任にある」とボソリと言う。

「お前はわかっていたんだろ?12月18日に世界を作り変えちまうのを3年前から、ずっと………」

「わかっていた…」

「だったら何で?言ってくれなかったんだ?いつでもいいから俺に言ってくれればよかったんじゃないか?そうすりゃ俺たちにも手の打ちようがあったかもしれないのに」

「仮に私が事前に伝えたとしても…異常動作を起こす私は、貴方たちからその記憶を奪った上での世界を変化させていただろう。そうしないという保証はない
私に出来ることは極力、貴方だけ可能な限り元の状態のまま、12月18日を迎えられるよう保持することだけ…」

「脱出プログラムをちゃんと残しといてくれただろ。あれで充分だよ」



「長門。悪かったな………………」

「雪!」


この時、雪が神戸の空をチラチラと落ちて来ていた。長門は一瞬ハッ(゜ロ゜;とした表情を浮かべる。長門はあの12月20日の再修正プログラムを打ち込まれて元の感情を持たない人型ヒューマノイドに戻ったはずなのだが…………感情を完全に失ってはいなかった!!!



キョンと長門は…しばらくそのままでいたが…………長門は重い口を開く。

「私の処分は検討されている。私は再び異常動作を起こさないという確証はない。私が存在し続ける限りは…私の内部エラーは絶えず蓄積する。それはとても危険なこと」


「クソッタレと伝えろ!!!」
「お前の親玉の情報統合思念体に言っとけ!お前が忽然と行方不明になったりしたら…俺は暴れるぞ!そして何が何でもお前のことを取り戻しに行く。俺自身に何の取り柄もないけどハルヒを焚き付けることくらいは出きるんだ」
「そのための切り札を、カードを俺は持っている。俺はジョン・スミスだと言ってやればいい。俺には大した力はないけど…ハルヒにはある。長門が神隠しにでもあったら、一切合切をあいつに明かして信じさせてやる。それから長門探しの旅に出るのだ。涼宮ハルヒが仲間の誰かがいなくなって、ほっとくようなヤツじゃない。身勝手で自己中で他人の都合を考えないはた迷惑な俺たちの団長様が黙ってないぜ」
「つべこべぬかすようなら、ハルヒと一緒に今度こそ世界を作り変えてやっぞ。お前はここにいるが情報統合思念体のいないような世界だってあいつなら作れるんだ!!全宇宙をひっくり返しても、必ずお前を取り返す…………お前の親玉にそう伝えろ!!」

キョンはガッシリと長門の手を握りしめる。その力強い意思をしっかりと見つめる長門。

「伝える………………………

ありがとう……………………」














キョンは無事、退院して12月24日のクリスマスイブ&終業式の日を迎える。



私立光陽園学園は共学から女子高に戻っていて、谷口は風邪をひいていない、鶴屋さんは元気よく挨拶してくれる。朝比奈さんも鶴屋さんも俺のことをちゃんと見知っている。世界はようやく元通りに戻ったのであった。


キョンは冬空を眺めながら考える。

「しかしながら…選択権は未だ俺の手の内にある。俺は長門と朝比奈さんと共にもう一度過去に行って…………世界を修正して来ないといけない」


キョンはいつもの通りにSOS団の部室へと足を運ぶ。

「全くな………………」

「もう後戻りはきかない。俺はこっちを選んじまったんだからな…ハルヒたちと過ごす世界が空回りするバカ騒ぎの方を選んだのだ…………ならば最後まで責任を取るべきだろう。これで俺は傍観者から当事者の一人になってしまった。俺はこの世界を積極的に守る側の方へ…誰かに押しつけられたわけでなく自らの手で挙手したんだ」



部室からは既に…芳しい香りがする。ハルヒたちによる料理がもう始まっているみたいだ。この高揚感、満足感の正体は何であろう?まだ一仕事残っているというのに…………

でもまあ・・・・・・・「時間はまだある。遠い未来ってわけでもないが、今すぐ緊急ってわけでもない。なあ?世界よ少しくらいは待てるだろう。再改変するまで、せめてハルヒの特製鍋料理を食してからでも遅くはないだろう?」

と部室のドアノブを開けるキョンであった…………




一方の図書館で、読書をしている長門。こちらもいつものような光景である。ふと目をやると小学生の男女が、貸し出しカードを作るのに悩んでいる。

男の子の方が積極的に「ほら出来た♪」と女子を助ける。女子は「ありがとう」とカウンターの方へ走って行く。その姿を見届け、再び本のページへと視線を戻す長門。
微妙ながら表情がほっこりしているような?そんな気配を感じられるエンディングとなります。


エンディングの曲は…さすがに「ハレハレユカイ」ではなく、長門由希役の声優さんの茅原実里が歌う「優しい忘却」がしんみりとさせてくれます。

京都アニメーションの映像の美しさといい、劇場版アニメの映画は単なる総集編みたいなのが多いのですが…オリジナルに劇映画に仕上げたストーリーといい、各キャラクターもいい感じに際立っています。

ハルヒも最初の登場はコント赤信号の渡辺正行のように「待たせたな!!」な感じですし、大人朝比奈さんはストーリー上欠かせない重要人物になりますし、世界の改変とともに復活した朝倉の恐怖の殺人鬼っぷりは怖いながらも美しいです。

何よりも準主役の長門由希に尽きます。今回は主役のハルヒを喰って完全に主役に変わっています。今まで無感情ヒューマノイドの宇宙人だったのが、自我がバグとして萌芽してきて、感情というものを持ち始め人間くさくなってくるのはまた斬新でありきたりなネタかもしれませんが、グイグイとストーリーに引き込まれていく新たな魅力を放っています。

 テレビで最近やったので、もしキョンが長門の構築した新たな世界の方を選択したら?のストーリーで「長門由希ちゃんの消失」もあります。そちらと見比べてみるのも面白いかもしれません。

新緑のいい季節になってきました。熊本県や大分県の被災した方々はさぞかし大変だとは思います。頑張ってください。
わたくしめは地道にブログを進めて参りますのでよろしくお願いします(*^^*)