ザ・ブルード/怒りのメタフォー(1979) | とし104の気ままに映画プログ2

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ギャオスではない?!





久々にデヴィッド・クローネンバーグものいってみよ~か。




カナダが誇る奇才、天才(いやどっちかっていったら変態かも?)が自身もこの頃、離婚調停中でプライベートでもいろいろとゴタゴタしている最中に撮った作品らしいです。出ている登場人物の錯乱、迷走そして暴走する心理描写はクローネンバーグの己自身を合わせ鏡のように体現している作品なのかもしれません………………





フランク(アート・ヒンドル)は苦悩していた………

妻のノラ(サマンサ・エッガー)は精神を深く病んでいて 、一応、著書なんかもある有名な精神医のラグラン博士(オリヴァー・リード)のもとに入院して、かれこれ長い月日が経っているのであった…
その間、一人娘のキャンディスの世話はたまにノラのじいじやばあばに頼むことはあれど、シングルファザー状態で子育てをしていた。
こんなん環境で育つキャンディスは、まだ多分7、8歳の本来なら活発に元気に遊んだり過ごしたりするはずのお子ちゃまなのに…どこか冷めた感じの暗い大人しい口数の少ない子供となってしまっていた。







度々、ラグランの診療所(オンボロ小屋)にノラに面会を求めに行くのだが……「今、大事な治療の時期だから面会はお断りだよ!帰った帰った~」と面会謝絶状態で追い返されてしまう。「でも娘っ子のキャンディスだったら良いよ~」と言われる。

ラグランはノラへ最先端の医療としてサイコ・プラズミック?!という怪しげな治療法を施していた。はたしてサイコ・プラズミックとは一体??何ぞや???



今日もイクメンパパのフランクは、キャンディスのお着替えをしていたら……「むww~」キャンディスの身体は傷やアザだらけ?!一体??どうなってんのや!!
ノラの奴!キャンディスを、虐待していやがんな!!許さん!!と怒り心頭でラグランのとこへ乗り込んで行くが例によって例のごとく追い返されてしまうのであった。
しかもラグラン博士から、治療のために来週末もキャンディスをノラに面会させるよう要求してくる。断って裁判沙汰にしたところでカナダの司法はお母さん優先なんやで~とやんわりと脅してくる。


ノラと対面するラグラン博士は催眠療法のように、ノラの過去に問いかけるように治療を行っていく。

「ママったらドイヒーだわヮヮヮ~娘のあたしを殴るなんて許せない!!」
「キャンディス?愛しい娘にママがそんなことをするはずないわ。そんな暴力をふるうなんて頭のイカれたママだわヮヮヮ…あたいの母のようにね………」
「そうだ!そうやって怒りを憎しみをどんどんと増幅させるんだヮヮヮ…」
とノラの怒りを焚きつける・・・・・・
ラグランは「おまいの母親はそんなヒドイ事をしたのかい?信じらんね~な」とノラに問いかける…
ノラは「あいつはクソ女よ!私を殴ったうえに階段から突き落としたのよ!」と答える。
ラグランは「そうだ!その調子だ!!もっと怒るんだ!!」とノラを煽りまくる。ノラは目が据わったまま、息を荒げてくる。





場面が変わって………キャンディスはオトンポのフランクがお仕事なのか?ばあばのところにあずかってもらっている。そろそろお眠の時間やで~とばあばに促され、寝る支度をするキャンディスはばあばに昔のモノクロ写真を見せる。これがとってもお気に入りで小さい頃のママってギザカワユスだね~と言う。
その写真を見て(゜ロ゜;ハッとするばあば。キャンディスにママって入院してたの?と訊かれて…思わず言葉をつまらせる。
「ママは変なデキモノが身体にあちこちできて入院したんだヮヮヮ」と答えるのが精一杯であった。


その時?!キッチンの方からガタンガタン物をひっくり返す騒がしい音が聴こえてくる。シリアルや牛乳瓶をひっくり返してこぼして、食器類をガタガタ落っことしてやけに荒っぽく侵入してくる何か??がいる。ばあばは恐る恐るキッチンへと向かう。キャンディスは部屋で待たせておく。

ばあばが恐る恐る辺りを探っていると………物陰からミートハンマーを手にした醜悪な小鬼みたいな?グレムリンみたいな謎の子供型のキャンディスの着ている赤いスエットを着た格好をして襲撃してくる!!
虚を突かれたばあばはこの奇妙な生き物にタコ殴りにされて惨殺される!!



ばあばが無残に撲殺された死体を見て悲鳴を上げるのでもなく淡々とその死体を眺めているキャンディス。階段の手すりからばあばを撲殺した何者か?がじっとキャンディスをうかがっているかのようにいた。



キャンディスはばあばの亡骸をボケ~ッと眺めている。フランクが帰って来てばあばの無残な姿を発見して愕然とする。
警察の捜査が入るが、キャンディスは夢遊病のようにもやもやはっきりしていなくて
目撃情報を聞き出すのはとってもムリっぽかった。

ラグランのとこでは今度は、ラグランがノラのオトンポになりきり、ノラの話を聴いている………
「ワタシが娘を傷つけるからフランクがワタシから娘を奪おうとしている…ドイヒーだと思わない?」
「そんな~フランクは娘を守ろうとするいい父親を演じていたいだけなんだよ」

「フランクはそうなのかもしれないけど、オトンポはワタスがオカンポにぶん殴られてるときに…止めてくれなかったでないか!!」とラグランをポカポカ叩きまくる!!
「でもね…オトンポの事を愛してるのよ…オトンポはワタスの事を愛してくれるの??」




フランクは今度は仕事の都合で、キャンディスをじいじにあずかってもらうことにする。ばあばの葬式の準備でも忙しそうでもあった。

フランクはその足で、ラグランからサイコ・プラズミック療法を受けた男を訪ねる。彼が言うには「最初は精神的ダメージだけだが…やがて肉体的にもダメージを負ってくる!!」と説明されて、喉元に出来たというリンパ肉腫を見せてもらう。
それを見て思わず「キモッ」と顔をしかめるフランク。



じいじ(ノラにとってはオトンポ)は診療所前でラグランを待ち伏せる。ラグランが出てきて、ノラへの面会を強要するが…ラグランは頑として突っぱねる。じいじは「明日はばあばの葬式なんだぞ!知らないうちに葬るのがいいってのか!」とラグランに掴みかかる。

じいじは夜、ムカついていたので一杯ひっかけて、フランクに電話をかけ呼び出す。フランクはキャンディスを担任の先生に見てもらって、とりあえずじいじをほっとけないので、じいじのいるところに車を走らせる。
じいじはばあばが殺された現場にいて、ポケットウィスキーをグビグビやりながら、泣きながら昔の事を後悔しながら思い返していたが…ベッドの下に潜んでいたキャンディスの格好をした小鬼にボコられまくり撲殺される!!!

遅れてフランクが到着するが…やはりじいじもぶっ殺された後であった。邸を探っていると…不意に背中に「キシャ~ッ」と叫びながらまとわりついてくる小鬼にビックリしながらも、フランクは弾き落とす。
すると…小鬼は地面に倒れると、急に苦しみ出して、そのまま死んでしまう!!



こ奴が、じいじとばあばを殺した真犯人か?!と恐る恐る眺め、後の事は警察に任せる。




家でフランクの留守をあずかり、キャンディスの面倒を見てくれていた先生にノラから不意に電話が入る。
「こんなん時間に女教師が個人的な家庭訪問でございますか?このクソ女!クソビッチ!人でなし!こんの~泥棒猫!!!」とモロに勘違いした怒りのアフガンな電話をよこすノラに「失礼な!そんなんちゃうわ~」と慌てて電話を切る。



鑑識みたいなところにまわされた謎のグレムリンのような生き物は、調べてもらった結果、生殖器やへそがなくて、ラクダの背中のこぶのようなこの水ぶくれに栄養や生命活動に必要なエネルギー源が詰まっていて、それが空になって息絶えてしまったものだと推察される。つまり人間のようだがミュータントのようで人間ではない?!との判断がされたのであった。一体??こいつは何者なんだろう???と誰もが首をかしげる。



ノラはラグランに再びくってかかっている。「ワタスがここにいるからフランクが若い娘っ子に浮気に走ってもうたわ(# ̄З ̄)一体全体どないしてくれんねん!  ワタスは旦那と娘と三人で平凡に暮らしたいだけなんやで」とラグランに詰め寄る。ラグランは今度は担任の先生に扮し「貴女と旦那さんの間はもうオワタなんだよ…週末には娘に会えるからそれまで我慢せい!」と言う。

「そうはいかんぜよ!フランクとワタスの間には美しい思い出もたくさんあるし、見えない絆もあるんやで~お願いだから彼の心を弄ばないで!彼から潔く身を引いて…夫にちょっかい出さんといて…この泥棒猫!!!(一度は言ってみたいセリフですな)」とラグランで鬱憤を晴らしているかのようである。


フランクが帰って来て、担任の先生はノラの剣幕にすっかりビビった事を告げてそそくさと帰ってしまう。フランクはお礼も言う暇もなくキャンディスの寝ているところに行くと、キャンディスは怖い夢にうなされて目が醒めちまったと部屋の片隅で震えていた。フランクはキャンディスを抱き抱え「心配ないさ~もうばあばを殺した奴は死んじまったから、もう二度と出てくる事はないし、誰も死なないよ」となだめてあげる。




ラグラン診療所では、ラグランが助手に入院患者27人全員を強制退院させるよう命じる。そして27人全員がムリヤリにバスに乗せられ、診療所を後にする。


フランクはその入院患者の中でも特にサイコ・プラズミックの進んでいるマイクと面会する。
マイクは「あんたがノラの旦那か?ノラはラグラン先生の特にお気に入りの女王様だから、ワシらには目もくれないんだ!!用無しなんだヮヮ~彼女は中でも一番のサイコ・プラズミックの立証者で貴重な実験台だから、診療所にずっといられるんだ!!ラグランにもう捨てられちまったから俺はもう生きられない!!だから僕のパパンになってくりくり」




キャンディスは一応、平静を取り戻したので学校へと登校する。学校という安全なはずの場所にキャンディスを執拗につけ狙うかのように青とオレンジのフードのパーカーを着た小鬼軍団がキャンディスの前に現れる。キャンディスは何も言えずに固まってしまう。青小鬼とオレンジ小鬼は工作の授業に使うのか?道具のハンマーを手に取ると…ゆっくりと担任の先生に近づく。先生が授業の準備をしているのでキャンディスと小鬼に気づかない。




あっと(゜O゜;他の生徒たちが気づく間もなく先生は小鬼の二人がかりのハンマー攻撃でボコられまくり、またしても撲殺されてしまう((((;゜Д゜)))
ここにいた子供らはいくら演技とは言ってもトラウマにならんのだろうか?心配な悲惨っぷりです。一人の男の子が外に走って行き、ちょうど帰ろうとしていたフランクに「変な奴等が先生のことをぶってるよ!!!」と助けを求める。


フランクは教室に駆けつけるが、泣きじゃくる生徒たちと…無残に撲殺された先生の姿しかなかった!!
フランクは大声でキャンディスを呼ぶが、姿はない。小鬼たちに連れ去られたのであった。






ラグランの診療所では、腹がボテッと妊娠したかのように膨れたノラとそれを看病するかのように付き添う。

家に帰ったフランクに血相を変えたマイクが駆け込んでくる。彼は「ラグランには何か大きな計画があるらしい?!?!子供たちを育てている。納屋には変な子供たちがぎょうさんいて、あんたの奥さんとラグランが面倒を見ているんだ。だからおいらたちは追い出されちまったんだ!!」と言った。







フランクは意を決してラグランの診療所へと向かう。もうすっかり日が暮れて夜になっていた。
静まり返った診療所を外から恐る恐る様子を窺い、外から出てきたラグランに詰め寄る。「娘を返せ!!担任の先生をぶっ殺したのはオマイラだろう?奴等が娘をここに拉致って来たんだろう?娘を今すぐ返せ!!」
ラグランは特段、慌てる様子もなく「そうだとしたら娘は屋根裏部屋にいるはずだ。そこが棲家だ」と教えてくれる。
「おまいらは何を企んでいるンだ?奇形児を育てて…」
「あの子たちは奇形児ではない。ノラが産んだ?!ノラの子なんだ?!彼女の怒りが産み落としたのだ!!!!!」
「彼女の潜在意識の中から産まれてしまった子供たちなんだ!!ノラが両親への怒りを露にしたら、相次いで両親が殺された!!信じがたい事だが…その次は担任の先生も殺された!!
もし次に怒りの標的が私かフランク君なら、またどちらかが殺されるだろう?!」

「おいらは意地でもキャンディスを連れて帰るぞ!」
「なら言う通りにしろ…何とかして家族3人でやり直そう…と説得するんだ!!彼女に不甲斐ない夫として謝るんだ。ノラが平静を保てば『ブルード』たちもおとなしくなるし何もしない。その隙にキャンディスは私が屋根裏部屋から連れ出す。
ラグランは自分の人生を賭けたのであろうサイコ・プラズミックの実験にはノラの極端な性格が合致していたのか?成功はしたのかもしれないが…ブルードたちをノラの昂る激情を止めることが出来ずに手に負えなくなってしまったのであった┐('~`;)┌
フランクにはとても自信がなかったが、ここはラグランの指示に従うしかなかった。




こうして、ようやくフランクとノラの夫婦はご対面する。
「フランクなの?治療中は確か会えないはずだったような・・・・・・」
「お互いの誤解とわだかまりを溶いて解り合うために来たんだヮヮヮ~」

屋根裏部屋では、活動停止している小鬼たちとぐっすり眠っているキャンディスをラグランが見つける。

「君は僕の大事な妻だ!!それは生涯変わらない」
「マジマジ薬丸だったら良かったのに…………………」



必死で説得を試みるフランクに「ワタスの特別を見してやんよ!!!」とジュディー・オングばりにフードを捲って腹から産まれた胎児(ブルード)をフランクに見せつける。

産み落としたブルードをいとおしそうにペルペルしてあげ、臍の緒らしきものを食べるノラにさすがにビビるフランク。



そんな彼を見透かすかのように…………
「ど~う?こんなんワタスの事を嫌いになったでしょでしょ??キモいと思ったッショ??ホントはワタスのためだなんてぬかして娘を奪いに来ただけなんだろ!!!!!!!」

「そんな違うよ(ヾ(´・ω・`)ボキは3人でやり直したいだけなんだよ!」

「Liar!!こんの~嘘吐きが~!!おまいの魂胆はわかってんよ!キャンディスを連れてくンならワタスがキャンディスを殺す!」



ノラの感情が昂るとともに活動停止していた大量に産み落とされたブルードたちが一斉に目覚め、ラグランに掴みかかります!!
キャンディスに向こうに父親がいるから走って逃げなさいとキャンディスに促し、ブルードたちに銃で応戦して何体かは射殺するが多勢に無勢でラグランはブルードにたかられてなぶり殺しにされてしまう。キャンディスは走って逃げる。ラグランを抹殺したブルードたちは悪魔の視線をキャンディスに一斉に向けてくる!!



「止めろ!止めさせてくれ!!」
「キャンディスを殺すように指示したな!!」
「止めさせたかったら…ワタスを殺しなさい!!」

一旦は躊躇していたフランクはノラの首に手をかけ、首を力一杯絞める。ノラは激しく抵抗することもなく、あたかも殺されるのを待っていたかのようにされるがままに絞殺されてしまう!!



ノラがフランクの手により殺され、息絶えてしまうと…もう少しでキャンディスを取っ捕まえようとするすんでのとこだったがピタリと動きを止めて、次々に倒れ苦しみのたうちまわり、ブルードたちも死んで全滅してしまうのであった。




キャンディスをようやくのことで助け出したフランクはキャンディスを抱き抱えて悪夢の診療所を脱出する。車に乗せられ黙ってむせび泣くキャンディスの腕には……あたかもサイコ・プラズミックを施された患者たちのように、怒りの化身である水ぶくれが出来ていたのであったヘ(゜ο°;)ノ




クローネンバーグのこだわってきた肉体や精神の変容が随所に見られる作品であるかなとは思います。この後に作られる「ビデオドローム」や「裸のランチ」「スキャナーズ」「イグジステンス」などなどどれもフェチックないびつな世界観が展開されます。好みは分かれるとは思いますが、わたくしは結構好きかもです。

ちょうど自分のゴタゴタと作品の進行を合わせ鏡のように投影していたのかは定かではないですが…カナダのいかにも寒々しい空の下で繰り広げられる変態絵巻。一風変わった風変わりな作風をご覧になってみては如何でしょうか?

年も明けて寒いとても寒い((+_+))日々が続きますが…皆さまいかがお過ごしでしょうか?風邪などひかぬよう気をつけてください(*^^*)