少年は残酷な弓を引く(2011年 イギリス)
監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スゥイントン、ジョン・C・ライリー、 エズラ・ミラー

幼い頃から自分に執拗な悪意をもった息子に対する、母親の葛藤の日々を描いた緊張感溢れるサスペンス。
photo:01


作家のエヴァは自由奔放に生きてきたが、結婚、出産を期に家庭に入り、子育てに励もうとするが、何故かその息子が自分にだけ懐かない。成長と共に彼の態度はエスカレートし、悪意に満ちた行動に成す術を失っていく・・・
photo:02


サム・サッカーでティルダを思い出したので、慌てて鑑賞。やはり独特の佇まいに見惚れてしまいます。アーティスティックな雰囲気に憧れるのでしょうか。映画はその辺りを含めてうまく利用してます。元作家の自由な女性が、妊娠したことで一人の女性として人生をやり直しますが、その子供が自分にだけ懐かず、どうしても言うことをきかない。それでも母親の愛で包み込もうと努力しますが、それに反比例するかのように行動が悪意に満ち、コントロール不可能な子供になっていきます。
この状況はかなり異常ではありますが、多かれ少なかれ自分の思い通りには子供は成長しないわけで、それに苛立ったり、諦めたりと、いろんな感情を親は学んで行きますね。怒ったり、怒鳴ったりで、自己嫌悪に陥ったりします。それでも粘り強く子供を信じることが大事なのだと思いますが、これが本当に難しいですね。そういうことを考えながらちょっと感慨深げに観ていました。しかし母親の愛には父親は敵わないんですねぇ。それにしてもティルダの息子を演じたエズラ・ミラーの緊張感溢れる演技が恐ろしかったです。
photo:03

サム・サッカー(2005年 アメリカ)
監督:マイク・ミルズ
出演:ルー・ブッチ、ティルダ・スゥイントン、キアヌ・リーブス

「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督のデビュー作。17歳になっても親指を吸う癖を治せない少年の不安と成長を描く。
photo:01


オレゴン州の郊外に住む17歳の少年ジャスティンは、これからの人生に漠然とした不安を抱え、親指を吸う癖を治せずにいた。そんな彼のために行きつけの歯医者のペリー先生が催眠術をかけてその癖を治してしまう。癖は治ったものの不安を解消する術をなくしたジャスティンは自分の行動をコントロールできなくなってしまうが・・・・
photo:02


この映画を観るまで、ティルダ・スゥイントンの存在をなぜか忘れていました。忘れていながらも何本か見てるんですけどね。デレク・ジャーマンの作品や、オルランドで強烈な印象を残していたのですが、何故か最近の映画では記憶から飛んでいました。今回、母親役で出ていて急にガツンと思い出しました。やはり存在感があって好きな女性ですね。
photo:03


映画は少年の抱えるフラストレーションを上手く表現していて、空気感では同監督の「人生はビギナーズ」や、ソフィア・コッポラ監督の「SOMEWHERE」辺りと似た感じの印象を受けましたが、こちらはきちんと子供に焦点が当たっていたという感じでしょうか。観ながら物語がどう進んで行くのかちょっと心配にもなりましたが、とても爽やかで気持ちのいい青春映画に仕上がっていました。
photo:04

5月7日に家族全員で無事ジャカルタ入りしました!
まだまだ忙しくて映画を観る余裕がありませんが、飛行機ではビリー・クリスタルの新作コメディを観ました。
とりあえずネットがつながったので、時間を見て再開しますので、引き続きお付き合いよろしくお願いします!
物価の高騰と、渋滞に悩む日々・・・うーん、頑張ります。
ミルク(2008年 アメリカ)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・ペン、ジェームス・フランコ、ジョシュ・ブローリン

1970年代、自らゲイであることを公表し、ゲイを始めあらゆるマイノリティの社会的地位向上のために立ち上がった活動家ハーヴェイ・ミルクの人生を描いた伝記ドラマ。アカデミー賞主演男優賞受賞。
photo:01


1972年、ニューヨークの金融業界で働いていたハーヴェイ・ミルクは20歳も年下のスコット・スミスと偶然駅で出会い、そのまま恋に落ちる。間もなく二人はサンフランシスコに生活の場を変え、同性愛者が多く住むカストロ地区にカメラ店を開く。陽気なミルクの人柄に多くの同性愛者が集まり、店は自然とゲイの社交場となっていく。一方、社会の同性愛者への偏見はまだまだ強く、その立場を守ろうと次第に政治に目覚めていくミルクだったが・・・
photo:02


いつも言いますが、ガス・ヴァン・サントは最も信頼している監督さんです。でも好き嫌いはあると思います。僕は、彼がいつもリアルさ、空気感を大切にしてくれるから大好きです。でもエレファントや、パラノイド・パークなんかを観ていると自分が映画を観ていたことさえ不確かになるドキュメンタリー感というか、夢遊病になったような不安感が気になったりします。なのできちんと脚本があって、俳優が演技している本作を観てるとなぜかホッとするというか、映画そのものに入り込める安心感があったりしますね。うまく伝わらないかもしれませんが、そういう気になりました。
で、ショーン・ペン、素晴らしいですね。実在の人物のハーベィはドキュメンタリー映画の予告でしか見たことがないものの、その存在感、カリスマ感、いやらし感、逞しさ感、そのものに見えてきます。そしてそれに負けず劣らず、彼に寄り添うスコットを演じたジェームス・フランコが素晴らしい。アカデミーが彼をノミネートしないのは何故なのでしょうね。その生き生きした表情がとても良かったです。この2人のカップルも僕の映画史上に残したくなりますね。ゲイの愛って、ノーマルの愛と相手に対する気持ちは変わらないんだなぁ、という当たり前のことが伝わってきました。しかし演技とはいえ、愛を込めてチュッ、チュするのも大変ですねー。なんか異性とのキスを見る時には感じない感触を感じてしまいますね!
photo:03

photo:04

photo:05

この人が本物のミルク氏
英国王のスピーチ(2010年)
監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター

吃音症に悩まされたエリザベス女王の父、イギリス国王ジョージ6世が、スピーチ・セラピストのサポートを受け、戦争という難局に立ち向かう姿を描いた伝記ドラマ。アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞受賞。
photo:01


英国王ジョージ5世の次男ジョージ6世は、幼い頃から吃音に悩まされ、人前に出ることを恐れ、内向的な性格になってしまっていた。それでも吃音を治そうと何人かの言語聴覚士の元で様々な治療を続けていたが、一向に改善の兆しは見られなかった。そんな中、妻が探してきたスピーチ矯正の専門家であるオーストラリア人のライオネルは王子に対して遠慮することない態度で風変わりな治療法を実践していく。そんな中、兄のエドワード8世が王室の認めない女性との愛を貫くため王位を返上してしまい、ジョージに王位継承が回ってきてしまう。
photo:02


レ・ミゼラブルの監督ということで、観ました。
王室のどこか屈折した生活の中で、毅然と振る舞う人たち。どの国でも王室は同じような状況、悩みを抱えているんだと思います。所詮人間なのですが、そうは許してもらえない立場、大変だと思います。この主人公ジョージも様々なプレッシャーや偏見等に押しつぶされ言語障害になってしまったようですが、風変わりな治療法により精神をリラックスさせ治療していき、いつしか信頼関係を築いていくジョージとライオネルのやりとりを楽しみながらも、やはり戦争に向かって行く中で、急に王位継承が回ってきたジョージの焦り、プレッシャーを中心に描かれています。コリン・ファースは、重圧感に押し潰される王子の焦燥感をうまく演じていました。
トム・フーパーは手堅い演出でうまくまとめ上げていた印象がありますが、僕はきっちりした撮影が好きでした。監督の正統派な演出にあったきっちりしたカメラがとても心地よかったですね。
国民から愛された王とのこと、欠陥を持ちながらも職務を全うする姿に信頼したのでしょうね。そういう意味で人間の優しさを感じられる映画でした。
photo:03


なかなかブログ更新できず、泣きのブログを書きましたが、沢山の励ましのお言葉いただき有難うございました。引き続き頑張ってまいりますので、お付き合いの程、よろしくお願いいたします!