視察報告@新宮市編 | 三宅秀明オフィシャルブログ「“おかえりなさい”のまちづくり」Powered by Ameba

視察報告@新宮市編

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10月4~5日に行なわれた総務常任委員会の行政視察の報告につきまして、
それぞれの自治体に分けて記載いたします。

まずは、新宮市から。


於:新宮市

面積:255.43平方キロ

人口:31,820人/15,823世帯
  (男性:14,707人)
   (女性:17,113人)
     *平成24年10月1日現在


視察事項
・津波・防災対策について
  町内会単位で「中核避難所」を指定し、地震が発生した場合、市は
 そこを拠点に救援救護活動を行なうこととされています。
  平成15年7月、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に
 関する特別措置法の施行に伴い、「東南海・南海地震防災推進地域」
 に指定されたことなどから、「地震防災対策アクションプログラム」
 を策定。
  このプログラムは新宮市で取り組むべき地震防災対策を整理・体系化
 したもので、本文において、東海・東南海・南海地震が連動して発生
 した場合、新宮地域に最大5,2mの津波が到来すると指摘しています。
  そうした観点から、地震対策の他に津波対策も各種実施されており、
 「蓄光型津波避難誘導看板の設置」、「バッテリー式避難誘導灯の導入」、
 「高いところマップ(全世帯配布)」、「震度感知式鍵ボックスの導入」、
 「学校防災教育の強化(平成24~)」などが特徴的な点としてあげられます。
  また、出前講座や訓練なども随時行ない、7月29日に市内全域を
 一斉対象に実施された津波避難訓練では、約5千人の参加があったとの
 ことです。
  なお、災害においては水の確保が重要となることから、井戸を調査する
 とともに、100t型の飲料水兼用貯水槽を設置し、もう1基も計画中です。
 

・平成23年9月の12号台風による豪雨被害状況及び復興対策について
  死亡:13名、行方不明:1名
  家屋全壊:78棟、大規模半壊:59棟、半壊:163棟
  床上浸水:1600棟、床下浸水:1249棟(平成23年10月5日付)
  避難者数最大値は1642名(平成23年9月4日午前7時時点)
  平成23年10月5日現在も、64名が避難中
  市内各所の道路が損壊・流木・泥などにより通行不可の状態となり、
 林道高田線は平成24年10月4日現在も復旧の見込みがないそうです。
  高田・相賀・南檜杖地区全域、熊野川町地区全域が、車両で集落まで
 進入できない、いわゆる孤立状態となった。(平成23年10月2日、
 全地区解消)
  上記の他、停電や断水、電話の不通、公共施設の浸水による行政活動の
 停止など、様々な被害がありました。
  復興対策にあっては、まず、被災前後の全市的状況と地区別の状況を整理
 して様々な課題を抽出し、それを基礎として復旧・復興への課題を全市的・
 地区別に検討し、「力強いふるさとの復興」という基本理念・目標を設定
 されました。
  この基本理念のもと、1.生活再建、2.都市と環境の基盤整備、3.
 地域活力再生、4.防災力向上、という4つの基本方針が定められ、そこから
 17程度の施策体系が整えられ、さらに、それらに対応する事業メニューが
 設定されています。
  そこには、元々人口減少や少子高齢化が進んでいた中での災害発生により、
 人口流出が起こっていることや、洪水被害が頻発する地域特性や二次災害への
 不安、世界遺産登録効果の薄れによって観光客が減少している中での観光
 施設の被災による観光客のさらなる落ち込みなど、非常に見通しの難しい
 課題が多数ありました。
  しかしながら、市域面積9割を山林が占めるところなどから、再生可能
 エネルギーの研究を検討したり、全国から1万人を超える人がボランティアに
 訪れたことから災害ボランティアの活動支援と連携強化に取り組んだり、
 明治22年や昭和28年にも大水害に見舞われていることから、今回の
 災害を後世に伝えるべく記録化していくなど、前向きな観点から様々な
 項目が設定されています。
  

・防災行政無線放送のメール配信サービスについて
  新宮市では、従前から大雨洪水警報などの防災気象情報を旧新宮市37
 ヵ所、旧熊野川町45ヵ所の計82ヵ所にあるスピーカーで市民の皆さんに
 お知らせしています。
  しかし、有効範囲が大体半径250~300m程度であり、気象条件に
 よっては聞き取りにくい場合もありますので、その対策として放送内容を
 そのまま携帯電話やパソコンに電子メールで配信するサービスを行なって
 おり、今回の災害以降、約6千件の登録があったそうです。
  配信内容は、防災行政無線の放送内容のうち、気象情報や特に必要と認めた、
 大雨・暴風・洪水の各警報、津波注意報・警報などになります。
  大災害等により、配信するための機器が被害を受けた場合や機器に何らかの
 障害が発生した場合は遅配や配信されない場合があるとのことですが、費用が
 月数万円と安価であり、利用者負担は無料であることから、市が軸にしている
 「逃げる防災」の観点からは、有効な手法であると思われます。