視察報告~伊賀編~(長文) | 三宅秀明オフィシャルブログ「“おかえりなさい”のまちづくり」Powered by Ameba

視察報告~伊賀編~(長文)

【伊賀市の概要】

平成16年11月1日、
上野市、伊賀町、阿山町、青山町、島ヶ原村、大山田村
の1市3町2村が合併し発足。(新設合併)

一時、三重・畿央地域として首都機能移転候補地にも
挙げられたことあり。

1990年(平成2年)に策定された伊賀創世計画に
「伊賀市を目標とする」との文言があるように、
従前より「伊賀市」の名称が定着していた。

新市の名称の決定にあたっては、名張市を含む当初の
法定合併協議会において全国公募を行い決定。


人口:100,566人(平成22年3月31日現在)
   [男:48,950人/女:51,616人]

世帯数:39,534世帯(平成22年3月31日現在)

面積:558.17平方㎞


【本市の概要】(参考)

人口:83,674人(平成22年4月30日現在)

世帯数:39,534世帯(平成22年4月30日現在)

面積:14.88平方㎞





合併を控えた平成16年6月より、伊賀市自治基本条例が
検討され、12月議会で可決、12月24日に公布・施行
されました。

自治基本条例は前文と第1章から第7章までの全58条で
構成され、その第4章は【住民自治のしくみ】と表題し、
第1節では「住民自治の定義」、「住民自治に関する市民の
役割」、「住民自治に関する市の役割」と規定しています。

第2節においては、市長の諮問機関及び市の重要事項に
関する当該地区の同意・決定機関として住民自治協議会の
定義・要件や権能などが規定されました。

また、第5章は【議会の役割と責務】と表題し、「議会の
役割と権限」、「議会の責務」、「議会の情報共有と市民参加」、
「議員の責務」についてそれぞれ規定しています。

合併を始めとするこうした制度改正を踏まえ、また、議長の
諮問機関たる議会のあり方検討委員会の議論などを経て、
議会基本条例策定への行動が始まりました。

北海道で開催された自治体学会で議会基本条例が演題となり、
旧上野市の議員がそれに出席されていたことや北海道栗山町で
平成18年5月18日に全国初となる議会基本条例を施行
されたことも後押しになったようです。

平成18年6~8月には56会場で83団体、累計500名
近い市民との意見交換会を行い、「政策論争がなされていない」、
「議会は何をしているところか、よくわからない」などといった
意見があり、1市3町2村単位でのタウンミーティングや
パブリックコメントでも様々な意見がでたとのこと。

議会内では、平成19年1月9日から2ヶ月弱の間に議員全員
懇談会を7回開催し、賛成・反対双方の立場から議論が行われた
そうです。

新市発足間もないこともあって様々な意見が飛び交い、完全
なる意思の統一は不可能だと見込まれたため、18名の発議者を
もって平成19年3月議会に議員発議で上程され、採決の結果、
22対11で全国初となる議会基本条例が制定されました。

担当者のご説明によりますと、この伊賀市議会基本条例には

1 第7条  議会報告会
2 第8条  一問一答と反問権付与
3 第9条  政策の発生源など7項目
4 第12条 政策討論会
5 第13条 出前講座
6 第18条 議会広報の充実
7 第20条、21条 議員定数・報酬の自主決定

以上7点の特徴があり、総じては市民への情報公開、市民との
情報共有が軸となっているようです。

第7条の議会報告会は議員4~5人で構成された班を単位として
前出の住民自治協議会ごとに年1回以上開催し、会場の設営や
記録、片付けなどは議員が行うとのことでした。

この報告会についてはさらに要綱などで細目を規定してあるの
ですが、基本的な考え方を示した文章の中で「あり方」として、
「議会活動であるので、議会報告を行う際には、議員個々の意見、
見解は述べない。(ただし、意見、提言聴取時、議員個々の意見を
求められた場合は、この限りではない。)」とあります。

一見すると、「所属政党や財政運営に対する考え方の違いなどで
収拾がつかなくなるのではないか?」と思うところですが、担当者
いわく、特に問題なく進んでいるそうです。

その他、第8条に登場する反問権ですが、これは「今から反問権を
行使します」と宣言して行うものではないため、どこからが権利の
行使なのかが不明瞭ではあるものの、議会・理事者側双方によい
緊張感が存在しているとのご説明でした。

その他にも様々な規定があり、早速当方でのケーススタディを
行っているところです。

今回学ばせていただいた伊賀市は、市町村合併を機に市の自治基本
条例を制定され、その後、議会基本条例を制定されました。

ここには、地名などの件もあり、ややもすれば合併で各地域間が
対立するという不測の事態が生じかねないため、大きな価値観の
枠組みを再構築しようとした形跡が感じられます。

本市でも、関西州や大阪都構想、かつては北摂政令市構想などが
あり、いつ大きな変化が起きてもおかしくありません。

こうした時代の流れに機敏に対応すべく、今回いただいた様々な
情報を活用し、政策立案を行ってまいる所存です。



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