
1988年9月22日。村井がオウムへ入信してから2年が経っていた。既に信徒数は3000名に増え、静岡県富士宮市に富士山総本部道場が開設した。
富士山総本部道場で行われていた「100日修行」の途中泊まり込みで修行にきていた信者の一人、真島照之(25)が突然、道場を走り回り壇上に上がって大声を上げるトラブルが起きた。
真島はもともと薬物中毒気味の体質で他の信者の修行を妨げることも多く、教団からは問題児扱いされていた。
村井はこの奇行を麻原に報告した。
村井「先ほどから真島が正気を失い奇声を上げて暴れ回っていますが」
麻原「頭がショートしておかしくなってるんだろう。風呂場に連れて行って水で頭を冷やせば治るだろ」
村井「承知しました」
村井は、早川紀代秀、岡崎一明、新実智光と共に、真島を取り押さえると女子浴室へ連れて行った。
このとき村井は現場を仕切り、麻原の指示通り、真島の顔にバケツで水をかけて冷やさせたが、それでも真島が暴れたため、今度は男子浴室へ連れて行き、ホースで水をかけ、4人で真島の頭を数回浴槽へ沈めた。
すると真島がぐったりとしたまま、動きを止めた。そこで今度は顔にシャワーを浴びせることにした。真島は動かないままだ。

村井は焦った。急いで医師の平田雅之を呼ぶことにした。
平田雅之「おい!いつまでやってるんだ!」
信者「マンジュシュリー大師はやめろとは言ってません!!」
平田雅之「もうやめとけ!」シャワーを止めさせた。
平田雅之「真島、聞こえるかッ?大丈夫かッ真島!」
「み…脈が無い…」

容体を確かめたところ、真島の呼吸は止まり、瞳孔が開いていた。
すぐ人工呼吸や心臓マッサージを試みた。
「尊師!」
麻原は、真島の頭に手を置き「シャクティ・パット」をしてみたが反応はない。
麻原「5大エレメントが分解した。もうダメだな」
村井は修行には積極的だった。しかし、ヨーガの行法にはろくに精通しておらず、麻原から渡されたマニュアルを読まなければ信徒からの対応ができていない状態だった。
当時教団は宗教法人としての認可に向けて動いていた。
事故が発覚すれば過失致死で罰せられるだろうし、オウムの評判は地に落ちるだろう。
麻原は幹部を会議室へ招集し、村井もこの会議に加わった。
麻原「教団に問題が生じた。ようやく、事故か違法活動の勢いがついてきたところであるのに、ここで公になれば、勢いは落ちるであろう。このことを公にするのは、さらに別の問題を生み出すことになると私は思う。最前の対応について、意見を言ってほしい。」
石井久子「宗教法人の認可ももうすぐ申請する予定です。今回のことが公になると所為人が遅れる可能性があります」
麻原「このまま警察に届けるか?届けると救済計画も大幅に遅れるな…」
知子「ここはどうでしょう。内々に処理した方が」
松本知子が事件の隠匿を提案した。石井と早川がこれに同意した。
麻原「村井はどうだ?」
村井「真島もグルにポアしてもらった方が幸せだと思います」
麻原「じゃあ具体的にどう処理する?」
村井「同情の床下に埋めてはどうでしょう」
結局、早川の提案で遺体は神への供物として果物や野菜を焼くのに使用する護摩壇で焼却することにした。村井も早川、岡崎と一緒に焼却の手伝い、大量のガソリンをかけた。
村井「準備…できました」
麻原「心を強く持て」
岡崎が新聞紙を点火し、護摩壇に火をうつした。
麻原「みんなでマントラを唱えろ」
「これはヴァジラヤーナへ入れというシヴァ神からの示唆だな」

麻原「オーム・マニ・ペメ・フーム」
村井「オーム・マニ・ペメ・フーム…」
岡崎・早川「オーム・マニ・ペメ・フーム」
その晩、マントラを唱えながら、村井はオウムに忠誠を誓った。
真島の骨は石井久子ら女性信者達がカナヅチで砕き、さらにすり鉢で粉々にして上九一色村の精進湖へ流した。