本日は、私の61回目の誕生日です。多くの方々から、お祝いのメッセージを戴き感謝しています。

ところで、私の今年の目標の一つとしてお伝えしていた「政治はエキサイティング(仮題)」の著作が、難題に直面しています。原稿(案)が一応できましたので、私の敬愛する大学教授を通じて出版社の編集者に意見を求めたのですが、次のようなコメント(主要部分のみ)を戴きました。

『さて、原稿ですが、全文を丁寧に読み込んだわけではありませんが、自費出版的なものでない限り、このままでは難しいと思います。政治家が、こうしたものをまとめて書くというのは重要ですから、冊子のようにまとめて新聞記者などのマスコミ関係者一部官僚や知識人等に配るのはいいと思いますが、一般的な書籍にするのは厳しいというのが私の印象です。

(略)

(著作に書いてある)理念も、たぶんそれに伴う法制度もそのとおりなのかもしれませんが、例えば、集団的自衛権が一定の支持を集めているのは、中国やロシアの脅威にいまの制度で対抗できるのか、という懸念が国民にあるからでしょう。私からいえば、その想定がある部分空想的、非現実的だと思いますが、実際に、国境線でいざこざがあるわけで、何か有効な対応をすべきだというのはある程度の広がりがある感情だと思います。

そこに対して、現状でどうか、できないことはどうするのか、万が一の場合はどうなるのかといったことについて、具体的で、説得的な答えを政治家に期待しているのが現代の感情だと思います。


アベノミクスにしても、同様ではないでしょうか。将来のことはわからないが、ともかく短期間で株があがり、上場企業は大きな黒字を出し税収が増え、戦後最大の予算を組める。新幹線は前倒しでどんどん通るし、TPPも進みそうだし、農業改革も、規制緩和もある程度は進むかもしれない。とりあえず、そのおこぼれを待ったほうが、現実性が高そうだ……云々。

(略)

平岡氏の主張がすべて正しいかしれない、しかし……ということだと思います。

日本で唯一「三権」のすべてを体験している人の実感、

政権を取りながら現状に至った民主党議員としての実感、

法務大臣まで務めた人が落選してしまう実感、

一部企業は儲かっているが、地方は衰退するばかりで、たぶんいつまでたっても上昇することないという実感、

給料は上がらないのに、物価が上がり続ける実感、

原発はやめたほうがいいかもしれないが、やめたらどうなるかわからないという実感、

格差の実感、

教育の現場の荒廃の実感、

高齢化社会の現実の実感、

人口減少社会の実感

未来を語るよりも生き残りを語らなければならない人々の実感……


あらゆる実感がこの原稿にはないように思われます。

人柄や政策能力等は申し分ないのでしょうが、人のこころを動かすにはそれでは足りません。そして、人のこころを動かせないならば本の出版は難しいように、私には思われます。』


ある程度予想された意見とは言え、ある意味残念です。日本の国民意識が編集者氏が指摘されるようなものであることは、私も、自分自身の選挙を通じて徐々に失望感を抱くくらい痛切に感じているところです。そんな状況だからこそ、あえて政策の本質を皆さんに問うていくような本を書いてみたいと思ったところです。ただ、「私が政治家として取り組んできたことを記録として残しておきたい」という私心もあったことは事実ですので、その点を見透かされてしまったな、という実感です。

ご指摘を踏まえ、最終的には「政策面での自分の政治家として足跡」を残すための自費出版も考えたいとは思いますが、「多くの皆さんに政策の本質を訴えたい」という私の著作の目的が、編集者氏が指摘されるような「実感」を伴うような著作(多くの人が「世間や政治家は、〇〇〇と言っているが、成る程、そういう考え方もあるのか」と気付いてくれるような著作)を生み出すことと両立するのか、一度、編集者氏を交え相談したいと思います(ただし、私としては、「政治家として落選したこと」、「民主党が国民の支持を失ってしまったこと」等、私が「実感」として持っていることでも、「恨み辛み」的なことを書きたいとは思っていません。)。

皆さんからのお誕生日のお祝いに心から感謝申し上げます。

(了)