(解散総選挙の狙いは何か)

 安倍首相は、19日にでも衆議院を解散し、来月2日公示・14日投開票の総選挙を行おうとしています。これに対し、野党からは「大義なき解散」との批判も出ており、安倍首相は、「国民生活に直結する消費税に関する政府方針の変更」に信任を得る意義を強調しようとしています。

しかし、消費税率の再引上げを先送りすることについて国民の信任を得るために本当に解散総選挙が必要なのでしょうか。誰でも増税は嫌ですから、「消費税率の再引上げの先送り」との政府の判断は、容易に国民の支持を得られるでしょう。安倍首相の真の狙いは、別のところにあると考えられます。

(真の狙い:その1)

安倍首相の真の狙いの第1は、安倍政権の延命です。安倍内閣の支持率がある程度高く、かつ、野党の選挙体制が整わないうちに解散総選挙をやってしまえば、不人気な政策や不祥事が少々あっても、与党は衆議院では過半数を取れるでしょう。まさに、安倍政権を延命させるための党利党略、私利私欲の行動と言ってよいと思います。

(真の狙い:その2)

真の狙いの第2は、選挙に勝利することで安倍政権の不人気な政策や不祥事に関する「議論封じ」を行うことです。野党の選挙準備不足の状態であっても「勝ちは勝ち」。「選挙に勝ったんだから問題はないんだ」と言って、「問答無用」の議論封じを認める「免罪符」を得ることができます。

そんな不人気な政策や不祥事には、①憲法解釈の変更による集団的自衛権の容認、②特定秘密保護法の来月10日からの施行、③地元住民が消極的な原発再稼働、④普天間基地の辺野古への移設(沖縄県知事選挙結果の帳消し)、⑤安倍内閣閣僚達の「政治とカネ」などがあります。

(真の狙い:その3)

真の狙いの第3は、今後、野党からの解散総選挙要求を封じることです。安倍政権には、近い将来失敗が予想される重要な政策が幾つかあります。それらの政策の失敗が判明した時には、野党から責任追及されるでしょう。その責任追及において解散総選挙を迫られることを封じておこうとするものです。

失敗による責任を追及されそうな政策には、①アベノミクスの失敗(今や、中小零細企業、地方、庶民等にはデメリットの方が大)、②拉致問題での成果なし(北朝鮮「特別調査委員会」の調査期間は、来年7月頃まで)③中・韓との冷え切った外交の深刻化、④TPP交渉の失敗(交渉決裂か、日本の大幅譲歩か)などが考えられます。

(解散の前提を欠く解散)

以上が、今回解散の真の狙いと思われますが、そもそも、今回解散は、解散の前提条件を欠いています。2年前の党首討論で、野田総理(当時)と安倍自民党総裁とが約束した「定数削減」が未実行なのです。あの時、国民に消費税の負担増をお願いするのなら、「国会議員も身を斬る改革をすべし」として合意したのが、「定数削減」でした。

(私利私欲の解散に怒りを)

こんな党利党略・私利私欲の解散総選挙を見過ごすわけにはいきません。見過ごしてしまえば、「一党独裁」状態にある自民党の横暴を今後とも許してしまうことになりかねません。有権者の皆さんは、怒りをもって投票に臨みましょう。

(了)