(宮沢氏のSMバーへの支払は「交際費」)

 小渕優子衆議院議員の「政治とカネ」による経済産業大臣の辞任などで、にわかに「政治とカネ」の問題がクローズアップされています。その中で、小渕氏の後任として経済産業大臣に就任した宮沢洋一氏の資金管理団体(言わば「後援団体」)が広島市内のSMバーに支払いをしていたことが、問題として取り上げられています。

 問題の取り上げ方としては、「自分(宮沢)は、そんな所に行っていない」とか、「政治資金をそんなところに使って良いのか」というような取上げられ方をしていますが、私には、SMバーへの支払の費目となっていた「交際費」の欄に多くの支払件数が並んでいたことが目に付きました。宮沢氏又はその秘書が、資金管理団体のお金を使って、頻繁に「接待」をしている疑いがあります。

(政治家等の接待は公選法違反)

 政治家や後援団体が選挙区内の人を接待することについては、公職選挙法ではどのように取り扱われているのでしょうか?公選法を所管する総務省が発表している「なるほど!選挙」では、概要次のように書いてあります。この中で、「寄附」というのは「金銭、物品その他の財産上の利益の供与」等であり、「接待」も一般的には「財産上の利益の供与」と解されています。言わば、「奢(おご)ってあげる」ことですね。

『政治家や後援団体からの寄附禁止(公選法199条の2、199条の5)

 選挙の有無に関わらず、政治家やその後援団体(後援会など)が選挙区内の人に寄附を行うことは、名義のいかんを問わず特定の場合を除いて一切禁止されています。有権者が求めてもいけません。』

(専門弁護士の見解)

この点に関して、公職選挙法や選挙違反事件に詳しい弁護士に問合せしたところ、次のように言っておられました。

「一般論ですが、選挙区内のヒラの後援会員や一般の方に酒食を出すことは寄附です。他方、後援会幹部と相談したり、新聞記者等から情報を得たりするために酒食を共にすることは、寄附ではなく、後援会活動費や事務所費でしょう。ただし、選挙が近くなると幹部と酒食を共にして御馳走することは、スイカ泥棒(注)として、事前運動買収になります。」

(注)「スイカ泥棒」とは、「スイカが丸まる太ったときに夜中にスイカ畑に行けばスイカ泥棒と思われる。しかし、種をまき芽が出たころに行っても間違われることはない。」という例えで、「選挙が近くなれば同じことをしても泥棒(事前運動)に間違えられることがある」ことを示したものです。

(私の国会での追及)

 実は、今回の宮沢氏の「交際費」の例と類似する事案として、以前、国会で林芳正・経済財政政策担当大臣(当時)に質問をしたことがあります。以下、その質疑応答の概要をご紹介します。

【2009年7月8日 衆議院内閣委員会】

○平岡委員 林芳正大臣が代表者となっている政治団体「林芳正を支える会」の収支報告書を見ると、組織活動費の中に、行事費、組織対策費、渉外費、交際費というのがある。そして、例えば平成18年分を見ると、30回近く、300万円ぐらいの費用が選挙区内外にある数多くの飲食店に対する支払いとして計上されている。

 まさか、選挙区内にある人たちに対して飲食の提供をしているということではないと私は思うが、そうでないということを確認したいと思う。

○林(芳)国務大臣 おっしゃる通りで、そうでないということをお答えさせていただきたい。政治資金については、政治資金規正法や公職選挙法などに従って適正に処理しているところであり、その内容は収支報告書に記載している通りである。

○平岡委員 記載してある通りなのでちょっと疑問に思っている。収支報告書に並んでいる店は、大体飲食を伴う店が多い。そういうところに1回10数万円ぐらいのお金が支出され、30回近くで年間300万円ぐらい払っているとしたら、「これは何のために使っているのかな」と普通は疑問に思うものだ。

 これらが、選挙区内にある者に対する飲食の提供、寄附ではないということについて、もう一度ここでちゃんと答弁して欲しい。

○林(芳)国務大臣 今指摘されたとおり、それから、私が最初に御答弁申し上げたように、そういうことはございません。

(宮沢大臣に要請する)

宮沢洋一・経産大臣の資金管理団体が「交際費」として使用した政治資金は、公職選挙法や選挙違反事件に詳しい弁護士が仕訳したように、公職選挙法に違反することなく正しく使われているのでしょうか。宮沢経産大臣には、この際、シッカリと調査して公表するように要請したいと考えます。

(了)