(映画「標的の村」の鑑賞)

日本の米軍基地が密集する沖縄県の東村(ひがしそん)高江のヘリパッド(離発着地帯)建設に反対する住民の活動を7年間にわたって記録してきたドキュメンタリー映画「標的の村」を、本日(14日)、岩国市中央公民館で鑑賞しました。

(「標的の村」とは)

「標的の村」というのは、1960年代のベトナム戦争時に、ベトナムの村を想定して沖縄の演習場内に作られた村です。そこでは、農村に潜むゲリラ兵士を見つけ出して襲撃する訓練が行われ、高江の住民がベトナム人の役をさせられていたそうです。

高江のヘリパッドも、高江を取り囲むようにして6,7か所建設される計画になっており、正に、現代版「標的の村」が想定されているようです。しかも、このヘリパッドでは、当初は、オスプレイの訓練実施も曖昧にされていましたが、今は、頻繁にオスプレイが飛び交っています。

(ヘリパッド反対運動とオスプレイ反対運動)

映画では、住民の皆さんがヘリパッド建設に強く反対している様子や、沖縄県民が一体となってオスプレイ配備に反対している様子が良く伝わってきました。しかし、10万人の「オスプレイ配備反対県民大会」では、県民の総意を優先させるため、ヘリパッド建設反対は脇へと追いやられたそうです。

(解決の糸口は何か)

映画を見る限りにおいては、ヘリパッド建設反対の解決の糸口が見えてきません。上映後のゲストトークに登場した高江の住民・石原岳さんに「解決の糸口として何が考えられますか」と聞いてみましたが、石原さんからは直ちに「わかりません」との率直な返事が返ってきました。

石原さんに言わせると、「今の状況は、水道の蛇口から水があふれ出しているのを、少人数の手で止めているような状況だ。栓を閉めるためには、メディア、行政、政治家など訴えられる所には訴えていく等、できる範囲でやって行くしかない。」ということです。ある意味では、開き直った気持ちにならざるを得ない状況のようです。

(やっぱり、政治が大事)

確かに、この問題は、現地で頑張っても、建設の当面の阻止はできても、根本的な解決にはならないでしょう。突き詰めていけば、日米地位協定において国民の権利をどう守っていくのか、我が国の安全保障政策の中で在日米軍をどう位置付けるのか等、国民全体が考えるべき課題です。やはり、その点を政治がキチンと受け止めなければなりません。

(了)