(市民集会の開催)

昨日(23日)、1963年5月に埼玉県狭山市で女子高校生(当時16才)が殺害された「狭山事件」の再審を求める市民集会が、東京都の日比谷野外音楽堂で開催されました。この市民集会には、支持者の方々約3千人が集まりましたが、私も、狭山事件再審弁護団の一員として参加しました。

この日は、狭山事件で無期懲役が確定(現在、仮釈放中)した石川一雄さん(75才)が、51年前に別件逮捕された日に当たります。その日以来、石川さんは、317か月後に仮釈放されるまで、拘束され続けてきました。そして、密室での取調べによる「自白」を19649月に全面否認してから50年近くも、無実を訴えての闘いをしているのです。

(相次ぐ再審決定、再審無罪)

この日の市民集会には、今年3月再審開始決定がされた袴田事件の袴田巌さん(78才)や、再審無罪となった足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さん・桜井昌司さん達も激励に駆け付け、再審を求める連帯アピールを行っています。「東電社員殺害事件」のゴビンダさんも含め、最近、再審決定や再審無罪が相次いでいるのです。

(再審弁護団への参加理由)

私は、今年1月から、狭山事件再審弁護団の一員に加えてもらいました。と言うのは、昨年11月に、山口県で開催された「部落解放・人権確立をめざす県民の集い」で初めて石川さんの話を直接聞く機会があり、石川さんのためにも、社会正義の実現のためにも、私も何とかお役に立ちたいと思ったからです。

私には、この狭山事件再審弁護団に入りたかった理由が上記の外にもあります。それは、狭山事件の再審決定を実現させることを通じて、現在、政府の法制審議会で審議されている「取調べの可視化」や「証拠開示制度の拡充」の必要性・重要性を国民に知ってもらいたいということです。

(狭山事件での問題点の指摘)

 この点については、この日も、経過報告を行った弁護団の中山武敏主任弁護人たちは、検察庁による新たな証拠の開示を通じて、石川さんの自白の信用性に重大な疑義があることや、これまで有罪の証拠とされてきた被害者の時計、万年筆、かばんなどについて捜査員が不正工作を行った可能性があることが判明したことを指摘しました。

 いずれ、裁判所(東京高裁)は、狭山事件の再審の可否について判断を下す時、上記の弁護団の指摘についてその調査結果を示すこととなるでしょう。この調査結果が、きっと、国民の皆さんに対し、「取り調べの可視化」や「証拠開示制度の拡充」の必要性を訴えることとなることを確信しています。

(了)