安倍首相が、昨日(19日)衆院鹿児島2区補欠選挙の応援で奄美市に入った際、「奄美大島から鹿児島市に電車や車で行くわけにはいかない。飛行機の運賃を半額にすると約束したい。」と街頭演説したそうです。これまた、自民党の石破茂幹事長に続いて、利害誘導罪に当たる発言です。

以前(1月17日)、石破幹事長が、沖縄県の名護市長選挙の応援で、自民党が推薦している候補の当選を目指すべく「〇〇(候補者の名前)ビジョン実現の後ろ盾となる財源として、500億円の名護振興基金の実現を図る。」と発言したことについて、その発言が「利害誘導罪」になることを指摘しました。

今回の安倍首相の発言内容も、「自民党公認候補者が当選したら運賃を半額にする」と言うことであれば、公職選挙法(第221条第1項第2号)に規定する「利害誘導罪」の虞のある発言です。石破幹事長の時にもご紹介したように、利害誘導罪は、概要、次のように規定されています。

『当選を得させる目的をもつて、選挙人に対し、選挙人に対する特殊の直接利害関係を利用して誘導をした者は、三年以下の懲役等に処する』

 ここで、「特殊の直接利害関係」の表現が分かり難いのですが、これは、「個人的な特殊の直接利害関係」(例;選挙運動員の子弟の就職の斡旋など)と「地方的・社会的な特殊の直接利害関係」(例;一地方の選挙人に、その地方の道路建設を約束することなど)の2つに分けられると解説されています。

 正に、安倍首相は、自民党公認候補を当選させる目的をもって、選挙人(有権者である奄美市民)に対して、「選挙人が利用する航空機の運賃を半額にしてやる」と約束をすることによって特殊の直接利害関係を利用して、自民党公認候補者への投票を誘導しているのです。

 自民党の幹事長である石破氏も、総裁である安倍首相も、利益誘導選挙にどっぷり浸かった選挙を行ってきたので、こんな発言について何の問題意識も持っていないのでしょう。しかし、権力や財力を使って選挙運動をすることが許されないことは、誰でも判ることです。マスコミも司法当局もチャンとした対応を取るべきです。

(了)