(武器輸出三原則の見直し)

政府は昨日(11日)、国家安全保障会議の関係閣僚会議を開き、武器の輸出を原則禁じる「武器輸出三原則等」に代わる新しい原則として「防衛装備移転三原則」と称するものの原案を決定しました。

(武器輸出三原則とは)

「武器輸出三原則等」では、共産圏と国連決議による武器禁輸措置をとられた国、及び紛争地域への武器輸出を禁止し、他の地域への武器輸出は「慎む」としています。その結果、原則として、武器及び武器製造技術、武器への転用可能な物品は輸出しないこととなっています。

(防衛装備移転三原則とは)

今回の新たな「防衛装備移転三原則」の原案は、「紛争当事国や国連安全保障理事会の決議に違反する国など、国際的な平和と安全の維持を妨げることが明らかな場合は、移転しない」等の三つの原則を盛り込み、3月下旬にも閣議決定される見込みだそうです。

(武器輸出三原則見直しの理由)

しかし、「武器輸出三原則等」を見直そうとする理由には、大いに疑問があります。今回の「三原則」見直しの理由として、一つには、米国をはじめとする友好国との武器の共同開発・生産に我が国が参加するため、もう一つには、防衛装備品のコストを削減するため、と言われています。

(疑問の1:米国は紛争当事国ではないのか)

第一の理由についての疑問。米国は度々「紛争当事国」になっていますので、「防衛装備移転三原則」では、依然として、米国とは武器の共同開発・生産をすることはできません。米国は「紛争当事国」だけれど例外にするつもりでしょうか、それとも、「米国は紛争当事国ではない」と言い張るのでしょうか。

(疑問の2:国際的軍縮はどうなっているのか)

 第二の理由についての疑問。防衛装備品の調達コストを下げるには軍縮が一番ですが、最近、「軍拡競争」の兆候が見られる一方で、軍縮の話は聞きません。ジュネーブ軍縮会議は、近年は実質的交渉や議論の行われない停滞状態が続いていると酷評されています。日本は、「平和国家」として、もっと国際的な軍縮努力に力を入れるべきです。

(了)