11(火)から13日(木)まで、沖縄県の基地問題、とりわけ「普天間基地の辺野古移設」問題について調査するため、私を団長とし、山口県議会議員(1人)と岩国市議会議員(4人)から成る「ふるさとから基地問題を考える懇話会」(通称「ふるさと基地懇」)。

が沖縄県を訪問しました。

先月19日(日)に行われた沖縄県名護市長選挙で、辺野古(名護市)移設に反対する現職の稲嶺進・名護市長が再選されたにもかかわらず、我が国においては、名護市長選挙の結果が国の政治に全く考慮されておらず、かつ、国民の多くが沖縄の基地を巡る問題について本当のことを知らされていないと感じるからです。

 以下が、その調査結果の概要です。

(1) 辺野古移設に関して

普天間基地の辺野古への移設について、「そもそもの必要性」を否定し、その根拠を疑問視する声が多くあった(稲嶺名護市長、伊波洋一・元宜野湾市長、名護市議、宜野湾市議)し、「辺野古移設」の真の目的に疑いを持つ声(伊波)があった。

また、ケネディー駐日米国大使が沖縄訪問時に名護市長にも面会を求めたのに対し、日本政府の閣僚が「沖縄の声を聴くために」と言って沖縄に来ても、移転先となる名護市の市長の生の声を聞くことはなかったことに厳しい批判(稲嶺)があった。

米国を含む海外でも、辺野古埋め立てには反対の声が広がっており(安次富浩・ヘリ基地反対協議会会長)、米国内での訴訟活動も予定されている(名護市議)との説明があった。

以上のことを踏まえ、名護市長を含め、面会した多くの名護市・沖縄県関係者は、辺野古への移設に強く反対しており、地元事情からは辺野古移設の実現は困難であると感じられた。

(2) 岩国市長等の対応について

岩国市長等が仲井真知事の埋め立て承認前に「KC130を岩国が引受けること」を表明したことについて、「その評価は控えたい」とする声(照屋大河・沖縄県議)もあったが、「それを裏から見ると、『辺野古移設を推進する』ことがあるのではないか、と私たちの目には映っている。」(稲嶺)との指摘もあった。

また、2010年頃に宜野湾市を訪問した福田良彦・岩国市長と面談した伊波市長(当時)は、今回の調査において「結局、KC130の岩国移駐は、普天間基地の空域や利用時間に余裕ができて、オスプレイの訓練強化や外来機の訓練の増加などによって、市民にとってはより受け入れ難い負担が増加するという問題がある。」と指摘し、「福田・岩国市長は、自分(伊波)に『KC130を早く引き受けてくれ』と言わせたかったようだが、自分は問題点を知っていたので言わなかった。」と説明した。

沖縄の基地負担軽減について全国的に取組んでいくことについては、「基地の移転先が『第2の沖縄』にならないよう、被害の実態を知っている沖縄も一緒に頑張っていきたい」との声(照屋)、「議員協議会の設置提案について検討されていると聞くが、辺野古移設推進派だけで設置されるのは困る。」との声(宜野湾市議)があった。

(3) 地域振興策について

地元振興策について、「貧しい時代には通用したが、今の時代には通用しない。裏の話、内実も分かって来た。」との指摘(稲嶺)があり、「稲嶺市長は、再編交付金に頼らない街づくりを証明した。」(名護市議)として、地域振興策の問題点や稲嶺市長の具体的な取り組み状況を、宜野湾市長経験者(伊波)が説明してくれた。

また、多くの方が、沖縄県の有力な経済人である「かりゆしグループ」の平良朝敬CEOの言動や基地跡地利用(那覇市の新都心等)の高い経済効果を紹介し、これらの点を市民にもっと啓蒙し、全国に発信していく必要性があることを指摘していた(宜野湾市議、照屋)。

なお、米国のメイヤー国務省日本部長(当時)が「沖縄人はゆすりの達人」と言ったことに対し、「今回の名護市長選挙で、沖縄県人や名護市民は違うということを示した。」との声(安次富)もあった。

(4) 基地所在自治体の支援の在り方について

基地の存在を理由として国の支援に頼ることの問題点を多くの人が指摘していた。他の自治体からは「沖縄県が多くの支援を受けている」との誤解を受けていること(名護市議)、沖縄県の自治体が自らの努力を怠ってきたこと(伊波)、国からの緊要性のない支援策が自治体の自主性を損ね、自治体に赤字をもたらした過去の事績(伊波)等が指摘された。

(5) 基地負担について

地位協定がこれまで改正されてこなかったことについて厳しい批判があった(稲嶺)ほか、「岩国の負担増に対しても、連帯して取り組みたい」との声(宜野湾市議)があった。

(6) その他

今回の名護市長選挙について、「私(稲富)を推してくれる市議の中には保守も革新も半々でいる。『辺野古に基地を作らせない』との一点でまとまっている。イデオロギーではなく、生活、人権という問題でまとまっている。」との指摘(稲嶺)があった。

(了)