(名護市長選の結果)

米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設問題を最大の争点とする名護市長選挙が本日(19日)行われ、移設反対を主張する現職で2期目を目指す稲嶺進氏(68才、無所属。社民、共産、社大、生活推薦)が、移設推進を主張する前県議で新人の末松文信氏(65才、無所属。自民推薦)をかなりの差で破りました。

選挙戦の終盤では、「戦況が不利」と見た自民党の石破茂幹事長が、自民党の推薦する末松候補の当選を目指すべく、「(末松氏の政策である)スエマツビジョン実現の後ろ盾となる財源として、500億円の名護振興基金の実現を図る。」と、選挙違反(利害誘導罪)になりかねない発言をするリスクも犯しましたが、その効果もなかったわけです。

(名護市民の民意)

今回の市長選において、政府・与党からの利益誘導が行われたにもかかわらず、このような結果が出たことで、名護市民の「辺野古への移設反対」の民意がはっきりしました。日米両国政府は、この名護市民の民意を尊重することを余儀なくされると思いますが、それでは、今後どんな選択肢があり得るのかは難しい問題です。

(他の選択肢はあるのか)

普天間基地は、「世界一危険な基地」(米国ラムズフェルド元国防長官)と言われており、このまま存置しておくことは許されません。移設については、国外又は県外への移設は、鳩山由紀夫政権の下で鋭意実現に向けて努力されましたが挫折しています。辺野古以外の県内移設も、多くの候補地が検討されてきていましたがまとまりませんでした。

(原点に戻っての検討が必要)

ここは、原点に戻って、先ず国民的理解を得る必要があります。①米海兵隊が日本国内の基地にいる必要があるのか(国外の基地でも対応可能ではないのか)、②必要があるとしても沖縄県内でなければいけないのか(県外の基地でも対応可能ではないのか)等々鳩山政権時代にも議論された問題を、もう一度原点に戻って議論することが必要だと思います。

(鳩山政権でなぜ挫折したのか)

「鳩山政権で努力してダメだったのだから、もう一度やってもダメではないか。」という人もいるでしょうが、鳩山政権で何故できなかったのか、その理由を分析してみる必要があります。そこで、私が鳩山元首相から直接聞いた話も含めて、その理由を私なりに考えてみたいと思います。

その最大の理由は、鳩山元首相が移設場所の決定の時期を自ら「2010年5月末」にセットしたことだと思います。その期限については、鳩山元首相は「沖縄県知事選挙、参議院通常選挙の前に結論を出すことで、区切りを付けようとした」からと説明していましたが、自ら設定した僅か6か月程度の期限で、自分自身を追い詰める結果となったのです。

その他、首相が関係各省の大臣と官僚を掌握できなかったこと、ウィーキーリークスでも暴露されたように官僚がサボタージュしたこと、「海兵隊は1パッケージだから移設先は65マイル以内」との出所不明の情報に惑わされたこと等があるようです。これらの問題の真偽も含めて、原点に戻って検討し直し、国民的理解を得る必要があると思います。

(了)