15日、第2次安倍政権になって初めて、与党が国会での強行採決に踏み切りました。強行採決された法案は、社会保障制度改革の道筋を示した「プログラム法案」ですが、自民、民主、公明の3党合意に基づき進めてきた政府の「社会保障制度改革国民会議」の提言を受けて、改革に向けたスケジュールを定めているものです。

しかしながら、3党合意の当事者の一者である民主党は、この法案には年金や高齢者医療の制度改革が盛り込まれておらず、また、70歳から74歳の医療費の窓口負担を段階的に1割から2割に増やすことなど負担増を先行させていることに反発していました。民主党の厚労委員会理事が言っていたように、15日は「社会保障と税の一体改革の終わりの日」になってしまったようです。

今回の与党の強行採決は、今後の与党による強行採決連発を予想させるものでもあります。と言うのも、安倍首相は、事あるごとに「決められる政治」を明言し、菅・官房長官も、今回の強行採決について「丁寧な議論が行われた。強行採決ではない」と言い張っているからです。今回の強行採決をマスコミや国民が軽視すると、早速、特定秘密保護法案の強行採決が心配されます。

ところで、私も、野党時代には、与党による強行採決を何度か味合わされたことがありますが、逆に、「強行採決が必至」と言われていた状況をしのいだこともあります。それは、郵政民営化解散総選挙(2005年9月)後、与党議員が衆議院で圧倒的に大勢を占める中、当時の小泉首相に、「共謀罪の創設」を目指した法案の強行採決を見送らせた時です。

その時も、今と同様、衆議院では圧倒的に与党が多数、参議院でも与党が多数を占めていましたが、衆議院法務委員会では、徹底抗戦をする中で審議が長時間にわたり、審議において怒号が飛び交うことも再々でした。このような状況を通じて、「共謀罪」の危険性がマスコミや国民にも知れ渡り、強行採決しようにもそれができない状況が生じてきていたと思います。

数日前に、「国家安全保障に関する特別委員会」で、特定秘密保護法案の審議を傍聴しましたが、審議の盛り上がりが今一つのように感じました。特定秘密保護法案の危険性が国民にも知れ渡るよう、野党議員の一層の奮起を期待したいと思います。

(了)